杉野遥亮:連ドラ初主演で詐欺師役 鈴木大介「老人喰い」が原案

連続ドラマ「スカム」で主演を務める杉野遥亮さん (C)「スカム」製作委員会・MBS
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連続ドラマ「スカム」で主演を務める杉野遥亮さん (C)「スカム」製作委員会・MBS

 俳優の杉野遥亮さんが、MBSで6月30日深夜、TBSで7月2日深夜にスタートする連続ドラマ「スカム」で主演を務めることが6月4日、明らかになった。ドラマは、ルポライター鈴木大介さんが振り込め詐欺をする若者たちの実態を取材した「老人喰い」(ちくま新書)が原案で、杉野さんは裏社会に身を落とすも、詐欺の才覚でのし上がっていく詐欺師の主人公・草野誠実を演じる。杉野さんが連続ドラマの主演を務めるのは、今回が初めて。

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 ドラマは、社会的要因から振り込め詐欺に手を染めざるを得なかった若者たちのドラマを克明に描きながら、「世代間格差」という現代日本が抱える社会問題を突きつける社会派詐欺エンターテインメント。リーマンブラザーズの経営破綻により、日本でも多くの失業者が生まれ、若者の貧困率が高齢者のそれを大きく上回るなど「世代間格差」という言葉が取りざたされた2008年の東京近郊が舞台となる。映画「孤高の遠吠」「全員死刑」などの小林勇貴さんが監督を務める。

 杉野さんが演じる主人公・草野誠実は、順風満帆な勝ち組人生を歩んできたが、新卒切りにより無職となり、時を同じくして発覚した父親の難病治療のため、振り込め詐欺を始める。裏社会を舞台に等身大の若者から犯罪者へ身を落としていく役どころとなる。

 杉野さんは、今回のオファーを受けた時のことを「うれしさと巡り合わせを感じました。杉野遥亮としても一俳優としても、今後の財産になる方との出会いや経験がここにあるんじゃないか、と思いました」と振り返り、初の座長として「自分なりの現場の雰囲気の作り方やメリハリ、熱量、ものづくりの楽しさが視聴者の皆様に伝わるよう心がけています。尊敬する共演者の皆さんと現在も撮影していますが、いまだに座長と言われると照れます」と思いを語っている。

 自身が演じる役柄について「誠実の深い思いに同調できる部分が多々あります。社会に対して思うこと、不条理、悔しさが誠実の反骨心につながりますが、僕自身も納得できないことや悔しさが前に進むきっかけにもなっています。その根底にあるものは今を生きる人々に突き刺さると確信しています」とコメント。

 続けて「社会の不条理に対する考え方とそれに立ち向かう手段としての詐欺、何が正解で何が不正解か分からないパラドックスですが、そこに懸命に生きる僕たちを笑っているうちに、気がついたら切なくなってくれたら勝ちだなと思っています。誠実たち詐欺グループの姿を通してカタルシスを感じてほしいです。勢いのある攻めたカットが1話からふんだんに存在します。監督いわく勝ちの画です。あわせてお楽しみください!」とメッセージを送っている。

 「スカム」は、MBSで6月30日から毎週日曜深夜0時50分、TBSで7月2日から毎週火曜深夜1時28分に放送。全9話。

 小林勇貴監督のコメントは以下の通り。

 ◇小林勇貴監督のコメント

 ――主演の杉野さんの魅力はどんなところですか。

 今回、杉野さんが演じた草野誠実という役は、お金の事情で追い詰められてしまった若者なんですが、その役の気持ちに寄り添いながら、役の痛みを受け取りながら、演技をするという共感能力の高さが監督として本当にうれしいですし、役者として非常に信頼しています。また、ともすれば、詐欺=罪=悪いことという方程式でモノを考えがちですが、想像力を持っているからこそ、そんな単純な方程式で割り切れないことがこの世の中に存在することを本能的に理解しているのは彼の人間としての柔軟性であり魅力だと思います。

 ――この作品を通じて表現したいこと、伝えたいテーマはどんなものですか。

 この物語は仕事の話。つまり、生きるために取る手段はなにか?というテーマです。ほとんどの若者が相対的に貧困で、日本の8割もの資産を高齢者が所有している。そんな追い込まれた時に、若者がとった生きる手段はなにか?という日本の事実の話なんです。この現実を目の当たりにした時の驚き、そして善悪の複雑な感情、人の生きる手段は単純ではないことを、多くの視聴者に感じてもらいたいです。

 ――本作を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。

 極悪な“杉野遥亮”をお楽しみください。

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