注目映画紹介:「初恋」窪田正孝×三池崇史監督 孤独でピュアな2人を巻き込む裏社会の抗争劇が痛快

映画「初恋」のメインビジュアル(C)2020「初恋」製作委員会
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映画「初恋」のメインビジュアル(C)2020「初恋」製作委員会

 三池崇史監督の初の恋愛もので、窪田正孝さん主演の映画「初恋」が2月28日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開される。ヒロインは、3000人からオーディションで選ばれた新星の小西桜子さん。大森南朋さん、染谷将太さんら実力派キャストが集結している。医師から余命宣告を受けたボクサーが、偶然出会った少女と共に、裏社会の抗争に巻き込まれていくオリジナルストーリー。ピュアな恋と、バイオレンス・アクションという三池ワールドが炸裂(さくれつ)する。

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 天涯孤独のプロボクサー、葛城レオ(窪田さん)は、まれな才能を持ちながら格下相手にKO負けし、医師からは余命わずかだと告げられる。失意のうちに新宿・歌舞伎町をうろついていると、大伴刑事(大森さん)に追われたワケありの少女モニカ(小西さん)と出会う。レオはモニカと行動するうちに、大伴刑事とヤクザの双方から追われることになる……という展開。

 窪田さんと小西さんの透明感は、一夜の夢のような切なさが漂う。一方、ヤクザたちはギラギラしていて面白い。策士のヤクザ、加瀬役を染谷さんが演じるほか、塩見三省さん、村上淳さん、内野聖陽さんらが渋い魅力たっぷりに演じている。

 ベッキーさんの怪演も見逃せない。三浦貴大さん演じる半グレ上がりのヤクザ、ヤスにほれているジュリ役で、激しいアクションもこなしながら、復讐(ふくしゅう)の鬼となってキレまくり、狂気さえもいじらしく見えてくる。

 ピュアで孤独なレオとモニカが一瞬にして出会い、濃密な夜が始まる。2人の周辺で、アクの強いコワモテ連中の抗争が痛快に展開されていく。ヤクザと裏取引をする悪党刑事、刑事に協力すると見せかけて私腹を肥やすヤクザ。チャイニーズマフィアの面々も粒ぞろい。強烈なキャラクターを、全ての俳優たちがエネルギーMAXで演じていて、一瞬も目が離せない。

 それぞれが腹の底で勝手な欲望を抱えている姿が、滑稽(こっけい)なシーンで語られ、度肝を抜かれる。危険な逃避行の中で、生きる瞬間を共にし、心を寄せ合うレオとモニカ。2人の運命の行方にハラハラ、ドキドキする。

 三池監督は、ドラマ「ケータイ捜査官7」(2008年)のオーディションで窪田さんを見いだし、「十三人の刺客」(2010年)でも起用。今回の作品で本格タッグを組んだ。トロント国際映画祭をはじめ、世界の映画祭と全米で先行公開され、世界を沸かせている。「孤狼の血」、「パンク侍、斬られて候」(2018年)などの紀伊宗之さんが企画・プロデュースを担当している。(キョーコ/フリーライター)

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