海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
「仕事における目標みたいなものがないんです。やる気がないわけではなく、何か与えて頂ければ120%でしっかり応えます!」。こう語るのは、フリーアナウンサーの田中みな実さん(33)だ。田中さんといえば、昨年は初写真集「Sincerely yours…」(宝島社)が大ヒット。“女優元年”でもあり、体当たりでラブシーンに挑んだり、“お色気女泥棒”になったり……とインパクトを残した。放送中のドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系、土曜午後11時15分/ABEMAで全話独占配信)では、眼帯姿の謎めいた秘書役を担当する田中さんに、フリー転身後の“転機”という女優業について聞いた。
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ドラマは、“歌姫・浜崎あゆみ”が誕生するまで、そしてそこに秘められた出会いと別れを描いた小松成美さんの同名小説(幻冬舎)が原作。歌手の安斉かれんさんがアユ、俳優の三浦翔平さんがレコード会社「A VICTORY」の設立者でプロデューサーのマサを演じる。脚本は鈴木おさむさんが担当。テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」と共同制作される。
2019年に配信されたドラマ「奪い愛、夏」(ABEMA)に続いて、鈴木さんの手がける作品に出演する田中さん。鈴木さんは、女優としての田中さんの可能性を「面白い」と話していたが、田中さんは「こんな私に可能性を見いだしてくださって、今回につながっているんだとしたらとてもありがたいことですし、実際にお仕事をして『またこの人とやりたいな』と思ってもらえるのは、こういうお仕事をする上では大変にうれしいこと」と思いを明かす。
今回、田中さんが演じているのは、「A VICTORY」の社員で、マサの秘書の姫野礼香。決して右目の眼帯を外さない謎めいた美女で、長年マサに思いを寄せており、マサが離婚するのを待ち望んでいる。愛するマサがアユに肩入れするのが許せず、激しく嫉妬し、狂気すら感じる姑息な手段でアユへの嫌がらせを繰り返す……という役どころだ。田中さんは、「マサのことを狂わしいほど愛していて、『マサのことを誰よりも理解しているのは私!』という思いを、ここぞとばかりに周囲に知らしめる狂気じみた愛(執着)に支配されている人物ですね」と印象を話す。
「奪い愛、夏」では、松本まりかさん演じる空野杏の同僚の広報部員・井川瞳を演じた田中さん。物語の途中からどんどん悪女の顔を見せ、視聴者からは「田中みな実怖い」「田中みな実が悪女すぎて最高すぎる」などの声が上がるなど話題を集めた。
「普通のOLだったのが、突然(怪演が話題を呼んだ主演の)水野(美紀)さん側に覚醒する、っていう場面があったんですよね(笑い)」と振り返りながら、「今回ははじめ(1話)から謎めいているし、狂気に満ちています。色気を振りまきつつ、恐ろしく、猟奇的。礼香劇場をご堪能いただければ」と話す。
田中さんは、1986年11月23日生まれ。埼玉県出身。2009年、TBSテレビに入社。「サンデージャポン」(同局系)などの人気番組の司会を務め、2014年9月末に退社。同年10月からフリーになった。
昨年2~3月に放送された女優の山口紗弥加さんの主演ドラマ「絶対正義」で、本格的な演技に初挑戦した田中さん。女優業一発目から、キス&ラブシーンに体当たりで挑み、「ルパンの娘」(フジテレビ系)には“お色気女泥棒”役でゲスト出演し、強烈なインパクトを残した。「奪い愛、夏」では狂気をはらんだ演技を見せた一方、「モトカレマニア」では等身大の役を演じ、演技の幅を見せた。
女優元年としては大活躍だった印象だが、「訓練を受けたわけでもなく、お芝居の勉強をしたこともないので、いつまでもずっと自信を持てずにいるし、初めての現場はやっぱりとっても緊張します……」と告白する。今作のクランクイン当日も「まったく眠れなかった」といい、「実際に現場に入っちゃうと、そこに溶け込んでいくことがなんとなくできるんですけど、それまではとにかく不安。転校生みたいな気持ちでいます」と明かす。
一方で、アユ役の安斉さんがドラマ初出演ということで、「微力ながら少しでもサポートできれば」と話した田中さん。自身が女優デビューしたときのことを思い出すといい、「『絶対正義』のときに、山口(紗弥加)さん、片瀬(那奈)さん、桜井ユキちゃん、美村(里江)さんが、『誰にでも初めてってあるから』と言ってくださって、とってもあたたかく迎え入れてくれて」とエピソードを語り出す。
「(業界用語の)“シロミ”って何!? 何もかもが初めてで戸惑う私に、『みな実ちゃん、初“シロミ”です~!』と那奈さんが盛り上げてくれたり」と明かしながら、「私はそこまではできないと思うんですけど、そっとかれんちゃんを見守って、私自身もご迷惑にならないように作品の一員になれたら」と話していた。
田中さんといえば、「みんなのみな実」と公言するなど“ぶりっ子キャラ”として注目を集めてきたが、フリー転身後は、女性ファッション誌や美容誌で特集が組まれるなど、美にストイックな姿勢も支持され、女性人気を獲得。評価が一変した。
そんな田中さんに、フリーになってからのターニングポイントを聞いてみた。「それはおそらくお芝居への挑戦だったと思います」と女優業であったと明かしながら、「まったく違うジャンル、やったことのない分野に足を踏み入れて、そこから幸いにも次へ次へとつながっていって、単発も含めると5作目の出演になります。求めていただいたからには、裏切りたくない。期待に添いたいです」と意気込みを語る。
“女優・田中みな実”として臨んだこの日のインタビュー取材では、「すごく声が小さくなってしまって……」と自らを語りながら、「“女優然”としてしゃべるのも違うし、かといって、『私、本職アナウンサーなので』って言い訳がましくもなりたくないし、こういう取材ってただひたすら戸惑ってしまいます。どうふるまえばいいのでしょうね。いまだに分かりません……」と本音を漏らす場面もあった。取材が終わり、「撮影、頑張ってください」と記者が伝えると、「ありがとうございます」とお礼を言いながら、「すみません、(取材の)要領を得なくて……」と話す姿が印象的だった。アナウンサーとして“聞く立場”にも立ってきた田中さんならではのこまやかな気配りを感じた。
「台本を読ませていただく限り、礼香の狂気じみた言動が物語をかき回し、いろんな人の感情を引き出していくのかなと思っているので、今回は諸先輩方に引っ張っていただくばかりでなく、自分主導でのお芝居も求められる気がします。『ちょっとやりすぎているから抑えようか?』と監督に言われるくらいにやりきれたら、悔いなく作品を全うできるのかなと思っています」と話していた田中さん。今作での“怪演”も期待したい。
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