木村拓哉:立てる音にも気を使う“唯一性” 「若者のすべて」「教場」監督が語る俳優としての魅力

2021年1月3、4日の2夜連続で放送される「教場II」のポスタービジュアル(C)フジテレビ
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2021年1月3、4日の2夜連続で放送される「教場II」のポスタービジュアル(C)フジテレビ

 木村拓哉さんが、右目が義眼で白髪というビジュアルの“最恐”教官・風間公親(きみちか)を演じたスペシャルドラマの続編「教場II」(フジテレビ系)が1月3、4日の2夜連続で放送される。これまで、美容師、パイロット、検事などを演じてきた木村さんだが、特異なビジュアルで風間教官を熱演し、新境地を開拓したと言っても過言ではないほどのインパクトを与えた作品だ。「教場」シリーズのメガホンを取った中江功監督に、木村さんの俳優としての魅力を聞いた。

 ◇“ダークヒーロー”木村拓哉を見たかった

 「ひとつ屋根の下」「Dr.コトー診療所」など、フジテレビの名作を手がけてきた中江監督は、木村さんが出演したフジテレビ系の連続ドラマ「若者のすべて」(1994年)、「ギフト」(1997年)、「眠れる森」(1998年)、「空から降る一億の星」(2002年)、「プライド」(2004年)でもメガホンを取り、木村さんとは20年以上、ドラマで苦楽を共にしてきた仲だ。

 教場シリーズの原作は長岡弘樹さんの同名のベストセラー小説(小学館)で、主人公の風間は“ダークヒーロー”だ。中江監督は、実写化が決まった段階で木村さんに白羽の矢が立っていたといい、これまで“正義のヒーロー”のようなかっこいい役を演じてきた木村さんではなく、「“ダークヒーロー”を演じる木村さんを見たかったんです」と振り返る。

 ◇警察学校の教官役で“独特の演技”封じられる

 木村さんの演技というと、片足に体重を乗せた立ち方、ポケットを上手に使った演技、インパクトに残る言葉遣いなど、独特の表現でキャラクターを際立たせ、視聴者を魅了してきた。しかし、今回の警察学校の教官は、真っすぐ立つ、ポケットに手を入れない、教官らしい言葉遣いといった、木村さん“独特の演技”が封じられた。

 2020年1月に2夜連続で放送された前作では、警察官を目指す生徒が集う警察学校を舞台に、警察官にふさわしくないと判断した生徒に容赦なく退校届を突き付ける風間教官と生徒の関係性をミステリーとして描くドラマの中で、木村さんは、美しい姿勢、たたずまい、言葉遣いだけでなく、生徒たちの一挙手一投足を見抜く観察力にたけ、ただ者ならぬオーラを全身に漂わせた風間を体現。中江監督も「難なくやってのけてくれました。本当にすごい」と絶賛する。

 前作放送後のSNSでも「風間教官の迫力にのまれた…」「キムタクの演技すごすぎる…」「ものすごいドラマを見させられた感じ…」「ずっと息詰まってた」といった声が上がり、話題になった。昨年10月に発表された、優れたテレビドラマを表彰する「東京ドラマアウォード2020」では、作品賞「単発ドラマ部門」のグランプリを受賞した。

 ◇立てる音さえも表現

 “独特の演技”も封じられたにもかかわらず、“ダークヒーロー”風間教官役で新たな一面を見せた木村さん。そんな“俳優・木村拓哉”の魅力はどこにあるのか。中江監督は「自分が演じるからには自分にしかできない表現をしたいという思いは強いと思います。完璧にやりたいという思いも強く感じます」と即答した。中でも、「役へのアプローチが早い。そして役の全てを体にたたき込む。バイクに乗るなら免許をすぐに取りに行くし、美容師の練習も医者の勉強もしたことだと思います。職業に関するキャラクター作りには手を抜かない」と語る。

 そして、木村さんの演技については「ファストフードのCMで独特の持ち方も話題になりましたけど、彼の場合ただ座るだけのアクションでも動き方とタイミングが人と違い、かっこよさがあります。例えば、普通に立つだけの演技でいいところ、木村さんは斜に構えて座ったり、机に体重を預けたり、独特の所作で表現をする。それが彼の個性だと思います」と分析。

 さらに「若いときから、常に人に見られて成長してきた。どういう動きをすればかっこよくなる、かっこよく見えるのか、逆にかっこ悪いのか、どうすれば人と違うのか自然に身についたのだと思います」と語る。実際、木村さんは、シーンの撮影後、モニターで自身の演技をチェックしないという。

 教場での風間教官は、足早に廊下を歩く背中と、花壇の花に水をあげる背中では、どこか違う雰囲気を漂わせていた。背中だけで違う印象を与える演技は難しいと思うが、中江監督はそんな木村さんについて「僕がバックショットが好きというのもあるのですが、彼からは『どこから撮られても全部、表現しますよ』という気持ちを感じます。『若者のすべて』の時から、その気持ちは変わってないと思います」と明かした。

 中江監督には、木村さんの演技でもう一つ絶賛する表現があるという。それは「音の出し方が非常にうまい。スタッフと“音職人”と呼ばせていただいています(笑い)」と明かす。教場では、風間が机に書類を置く音、廊下を歩くときの「カツッ、カツッ」という靴の音など木村さんが実際に立てた音を上手に編集して使っているといい、「普通、俳優は音にまで気を使わない。そんな俳優はほかに見たことがありません」と、唯一無二ともいえる木村さんの演技の魅力を熱く語る。

 最後に中江監督は、いろいろなキャラクターを独特の表現で体現してきた木村さんについて「なかなか違いに気付く人はいないと思いますが、よく見ると、全部、演技が違うのが木村さん。何やっても一緒とよく言われましたけど(笑い)、全くそんなことはありません。台本をよく理解していて、作り手の考え方に近い部分も持ち合わせている。せりふや動きを含め、自分のミスを許さない、一言で言うとプロフェッショナル」とたたえた。

 続けて、木村さんが見せた演技に全く違う演技を要求しても応える「順応性も持ち合わせています」。撮影現場でとっさの要求に応えることができる裏には、キャラクターをつかんでいる理解力と演技の引き出しを多く持ち合わせていないとできないものだ。中江監督は「まだまだ、木村さんの演技は未知数。これからも違うキャラクターを演じているところを見てみたいですね」と、楽しそうに語っていた。

 「教場II」では、木村さん扮(ふん)する風間教官が1年ぶりに帰還。木村さんが体現する風間教官の演技を、目と耳で堪能したい。1月3、4日の2夜連続、共に午後9時から放送される。

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