イチケイのカラス:原作からキャラ設定を変えたワケ ドラマPが語る“直感”と好調の理由

連続ドラマ「イチケイのカラス」のワンシーン(C)フジテレビ
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連続ドラマ「イチケイのカラス」のワンシーン(C)フジテレビ

 初回から4週連続で視聴率2桁キープと好調の竹野内豊さん主演のドラマ「イチケイのカラス」(フジテレビ系、月曜午後9時)。原作となった浅見理都さんの同名マンガでは、ドラマで黒木華さんが演じている坂間千鶴は坂間真平という男性で描かれている。さらに、竹野内さん演じる入間みちおは、マンガでは小太りでメガネをかけたビジュアルと、ドラマ化にあたってアレンジが加えられたことがうかがえる。キャラクターの設定を変えた意図を、後藤博幸プロデューサーに直撃した。

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 ◇刑事裁判が案件に真摯に向き合う姿を

 イチケイのカラスは、絶対に冤罪(えんざい)を生むことのないよう、自らの足で現場検証を行い、事件の真相を明らかにしていくという異端な刑事裁判官のみちおや、みちおと真逆で冗談が通じない堅物タイプのエリート・坂間ら東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)メンバーの活躍を描く“リーガルエンターテインメント”。民放の連続ドラマで刑事裁判官が主人公として描かれるのは、同作が初めてだ。

 後藤プロデューサーは、2018年8月に発売された単行本1巻が出た直後に原作を発見し「イチケイのカラス」というタイトルに「キャッチーさ」を感じたという。さらに、裁判を題材とした“リーガル作品”が多数生まれているにもかかわらず、刑事裁判官にクローズアップした連続ドラマがないことにも魅力を感じた。

 裁判というと「立証」「訴状」、“甲乙”といった難しい専門用語が登場し、裁判官という職業が具体的にどういう職務を全うしているのかイメージがつかず、視聴者に敬遠される可能性がある。

 しかし、後藤プロデューサーは、原作1巻で、みちおと坂間が法廷に社会科見学に来た学生に裁判官という職業について分かりやすく説明するシーンを読んで、「ドラマでも上手に視聴者を導入できる」と活路を見いだし、「裁判官が一つ一つの案件に真摯(しんし)に向き合う姿をドラマとして表現したら面白いと思いました」と振り返る。

 ◇竹野内豊の“三枚目”、黒木華の“堅物”にインスピレーション

 題材は決まったが配役と設定はどのように決めたのか。後藤プロデューサーは「実は、どなたに出演していただいて、どうやろうって考える時期が長かった」と明かし、試行錯誤を繰り返したという。そんな中、以前から着目していたという「竹野内さんのユーモアあふれる演技で3枚目のみちお、演技力に定評がある黒木さんに堅物の坂間を演じていただくと、非常に面白くなるとインスピレーションを感じました」と説明。坂間の性別については意図的に変えようと思ったわけではないといい、みちおのビジュアルについても、竹野内さんの優しい人柄に自然とみちおを連想させる部分がうかがえることから、特段メガネをかけたりといったことはしなかった。

 「竹野内さんのみちお、黒木さんの坂間というのがスポンとハマらなかったら、ドラマ化しなかったかもしれません」と、ドラマ「5→9(5時から9時まで)~私に恋したお坊さん~」「花ざかりの君たちへ ~イケメン♂パラダイス~」「SUITS/スーツ」シリーズなどを手掛けてきた後藤プロデューサーならではの“直感”が働いたのだという。

 ◇竹野内豊のみちおは“想像以上” 視聴率好調の要因は…

 後藤プロデューサーの狙い通り、竹野内さんは劇中でカレー屋のコスプレをしたり、坂間のロッカーにくさやを入れたりと破天荒なみちおをユーモアたっぷりに表現。さらに、堅物な坂間を演じる黒木さんと丁々発止なせりふの掛け合いも見せ、毎週、視聴者の笑いを誘っている。

 後藤プロデューサーは竹野内さんの演技について「私がイメージしていた以上にみちおを三枚目に表現してくださり、すごくうれしかった」と話し、黒木さんの演技についても「専門用語が多いのに、あれだけ早口でせりふを発している。容易なことではありません」と2人の演技に感服したという。

 ドラマは、第4話までで平均視聴率(世帯)12%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調だ。後藤プロデューサーは、さまざまな思いを抱えて犯行に及んだ被告たちのバックボーンを追求するため“捜査”を行うみちおら裁判官の熱い思いを描いた心温まるストーリーも好調の支えになっているとした上で、竹野内さんと黒木さんが「破天荒なみちおと堅物の坂間というキャラクターを見事に表現してくださったことが視聴者の心をつかんでいる一つだと思います」と分析していた。

 原作をアレンジして誕生した竹野内さんのみちおと黒木さんの坂間が、今後もどのような活躍を見せるのか期待が高まるばかりだ。第5話は5月3日午後9時から放送される。

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