金曜ロードショー:プロデューサーが語る吹き替え版の魅力 他局版放送の謎も明かす

金曜ロードショーのロゴ=日本テレビ提供
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金曜ロードショーのロゴ=日本テレビ提供

 テレビで見たい映画を視聴者からリクエストを募る企画「金曜リクエストロードショー」で、映画ファンから注目を集めている、日本テレビ系の「金曜ロードショー」(午後9時)。企画では、声優の石田彰さんがレオナルド・ディカプリオさんを演じた「タイタニック」の日本語吹き替え版や、当時12歳で、子役時代の浪川大輔さんが主人公を演じた「E.T.」なども放送され、話題となった。番組の北條伸樹プロデューサーに、吹き替え版ならではの魅力などを聞いた。

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 ◇「タイタニック」は石田彰バージョンを望む声

 金曜ロードショーでは昨年から、リクエスト企画を展開。これまで「天使にラブ・ソングを…」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「E.T.」「プラダを着た悪魔」「タイタニック」が放送され、いずれも話題になった。さらに今後、5月28日に「スタンド・バイ・ミー」、6月11日に「グーニーズ」の放送を控えている。

 懐かしい名作が揃っているが、公開当時に上映された吹き替え版や、過去に同局で放送されたバージョン、または他局で放送されたものなど、さまざまな吹き替え版が放送されている。

 北條さんは吹き替え版の魅力について「画面に集中できることだと思っています」といい、「どうしても字幕版だと字を追ってしまうので、映像の情報に追い切れない部分もあると思います。吹き替え版だと話に集中できますよね」と持論を展開。また、「演じる声優さんによってキャラクターが全く違って見えますし、いろんなバージョンを見る楽しみもありますよね」と話す。

 いくつもある吹き替え版の中から、金曜ロードショーで放送されるものは、どのように決定されているのだろうか。「『タイタニック』では、リクエストで『石田さんバージョンが見たい』という声が非常に多くあったんです。ですので、声の多かった石田さんバージョンでいこうとなりました」といい、「石田さんバージョンはDVDやBlu-rayには収録されておらず、非常に貴重なんです。過去に日テレで放送されていたものを覚えていてくださった方が多かったので、ぜひ期待に応えようという経緯がありました」と話す。

 6月に放送予定の「グーニーズ」は、声優界の大御所である野沢雅子さんや古谷徹さん、藤田淑子さん、坂本千夏さんらも出演した、TBS版を放送予定だ。また、過去には「ホーム・アローン」で主演のマコーレー・カルキンさんを、矢島晶子さんが演じたことで人気のフジテレビ版を放送したこともある。

 北條プロデューサーは「映画の吹き替えの著作権は制作した局ではなく、映画会社に帰属するので、どこの局のバージョンでも放送できるんです」と説明。他局版を使うことに戸惑いはないのか聞くと、「視聴者の方が見たいと思っているものを放送することに、戸惑いはありません」ときっぱり答えていた。

 ◇過去2年、「金ロー」の声優登場実績は?

 2019年度、2020年度に放送された金曜ロードショーの、声優の登場実績を見ると、「アラジン」のジーニー役をはじめ、「魔女の宅急便」「バック・トゥー・ザ・フューチャー」「美女と野獣」など9作品の山寺宏一さん、「IT/イット」のペニーワイズ役をはじめ、「アナと雪の女王」「スターウォーズ」「ホーム・アローン」など、同じく9作品の多田野曜平さんが1位。続いて「天空の城ラピュタ」などの8作品の故・永井一郎さん、「スターウォーズ」など7作品の森川智之さん、「ハリー・ポッター」などの6作品の高木渉さんと、そうそうたる面々が並ぶ(シリーズ作品は1作品として集計)。出演頻度としてもハリウッドスターを超える回数だ。

 北條プロデューサーは、「それだけいろいろな声が出せる、幅の広さ。プラスで芸歴が長く、いろいろな作品に出ていらっしゃるという印象です」と尊敬のまなざしを向ける。

 「5月21日にテレビ放送となる実写版『アラジン』には、山寺さんと多田野さんのツートップがそろって出演されています。また、5月28日の『スタンド・バイ・ミー』には、森川さんと高木さん、さらに高山みなみさんもリバー・フェニックスの声を演じていて、『コナン』メンバーが揃っています。声優さんに注目してみるのも、面白いですね」と吹き替え版の楽しみ方を語っていた。

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