岸辺露伴は動かない:実写化「1対1の心理戦」にフォーカス “人間ドラマ”にもこだわり 演出語る 

ドラマ「岸辺露伴は動かない」の一場面=NHK提供
1 / 6
ドラマ「岸辺露伴は動かない」の一場面=NHK提供

 荒木飛呂彦さんの同名マンガを俳優の高橋一生さん主演で実写化したNHKのドラマ岸辺露伴は動かない」(総合)の新作3エピソード(第4~6話)が、12月27~29日に放送される。ドラマは、荒木さんのマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの人気キャラクター・岸辺露伴(高橋さん)が主人公で、第1~3話が昨年末に放送されて話題を集めた。昨年に引き続き演出を務めた渡辺一貴さんは、「ジョジョ」シリーズの魅力に「文学的」であることを挙げ、実写版「岸辺露伴は動かない」でも登場人物同士の「1対1の心理戦」にフォーカスしているという。渡辺さんにドラマ制作におけるこだわりを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇「文学的」なジョジョの世界では「会話劇、心理劇」が重要

 本作は、岸辺露伴が遭遇する奇怪な事件や不可思議な現象に、女性編集者・泉京香(飯豊まりえさん)と立ち向かうサスペンス・ホラーだ。

 「岸辺露伴は動かない」を含む“ジョジョ・ワールド”について、「会話劇、心理劇こそが重要な世界だと思っています」と語る渡辺さん。「『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは、ビジュアルや、動きや、バトルも魅力的ですごく面白いのですが、その一方で、言葉のやりとりだったり、ワードのチョイスなんかを見ても、すごく“文学的”だと思っていたんです」と打ち明ける。

 続けて「だから、もし実写化させていただけるのであれば、会話劇、心理劇を重視するアプローチで取り組んでみたいと思っていました。なので実写化のゴーサインが出て、どのエピソードを実写化するか決める際、言葉のやりとり、心理劇、腹の探り合い、言葉の駆け引きが中心になるエピソードを選びました」と説明する。

 ◇なぜ「ジョジョ」本編エピソード?

 12月28日に放送される第5話「背中の正面」は、チープトリックというスタンド(架空の超能力)が登場する「ジョジョの奇妙な冒険」本編のエピソードが原作。同エピソードを実写化しようと思った理由も、「会話劇、心理劇」を色濃く描けると思ったからだという。

 「1対1の駆け引きや、言葉のやりとりが多く描かれている本編のエピソードが、チープトリックのエピソードでした。もちろん本編には本編の流れがあって、そのまま無理やり実写化するということは避けたかったので、今回の3話の流れの中にうまく組み込めるように、脚本の小林靖子さんたちと相談しながら制作していきました」

 また、実写化でこだわったことは、「人間ドラマを描くこと」だという渡辺さん。「“露伴対誰か”の二人芝居を通して、濃密な時間を作れたらいいなと思っていました。それは映像が得意とするところかもしれなくて、(原作の)コマとコマの間の“すき間”を膨らませるというか、増幅させるという作業はとても楽しかったです」と振り返った。

 ドラマ「岸辺露伴は動かない」は、27日午後10時に第4話「ザ・ラン」、28日午後10時に第5話「背中の正面」、29日午後10時に第6話「六壁坂」が放送される。NHK・BS4Kでは第4~6話が30日に一挙放送される。

写真を見る全 6 枚

マンガ 最新記事