1月9日にスタートした2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で主演を務める俳優の小栗旬さん。ドラマは、源頼朝にすべてを学び、武家の世を盤石にした男、鎌倉幕府の二代執権・北条義時が主人公で、脚本は、2004年の「新選組!」、2016年の「真田丸」に続き3度目の大河ドラマ執筆となる三谷幸喜さんが手掛けている。「脚本をいただいて読んだとき、『なるほど、こういう切り口で始めていくんだ』と感じた」といい、「頼朝が挙兵するまでは、北条のみんなのホームドラマみたいになっている。大河ドラマって意外と家族の物語から始まると思いますが、そこは三谷さんのユーモアもあって、楽しんで見てもらえるものになるんじゃないかなというふうには感じました」と手応えを感じる小栗さんに話を聞いた。
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「鎌倉殿の13人」は、三谷さん作の予測不能のエンターテインメント作。野心とは無縁だった若者は、いかにして武家の頂点に上り詰めたのかを描く。6月9日のクランクインから約半年が経過。ここまで、義時の10代から20代前半くらいまでを演じてきたという小栗さんは、今回の三谷幸喜脚本の特徴として「ちょっと」というワードが「結構、出てくる」と明かす。
「僕たち大河ドラマや時代劇では『ちょっと』って絶対に言っちゃいけないと思って参加するのですが、三谷さんの脚本には『ちょっと』というのが結構、出てくるので、『ちょっとって言っていいんだ』みたいな感じでやっているところはあるかもしれないです。それこそ自分も『ちょっと待ってください』というところがあるのですが、頼朝役の大泉(洋)さんも『ちょっといいかな』というせりふがあって。大泉さんも『まさかこんなせりふ、大河で言うとは思わなかったな』とか言っていました。時代劇でアドリブになった場合、なかなかうまくその時代の言葉を口にしながら(アドリブ)挟めなかったりするのですが、今回はそういう部分の縛りが薄い分、面白くできてるところもあるんじゃないかなと思います」
チーフ演出は、同局の連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」(2013年)や「エール」(2020年)、コント番組「サラリーマンNEO」「となりのシムラ」シリーズなどで知られる吉田照幸さんが担当している。
「今まで出会ってきたいろいろな演出の方たちと歩んで来られた道のりもまた少し違っていて、それでいて大河ドラマに参加するというところで、吉田さんの中でも迷いや葛藤みたいなものがあるとは思うのですが、意外とそれを僕には話してくれたりして。『僕いまこういうことで悩んじゃっているのですが、小栗さんどうですか?』みたいな話をされる方なので。そこがすごく信頼できるし、それでいて、そこで吉田さんが見つけた形みたいなものが、演じていて腑(ふ)に落ちることが非常に多い。一緒にやっていてワクワクさせてくれる監督さんだなというふうに思っています」
三谷さんの脚本と吉田さんの演出は「今、非常にいい方向に向かっているんじゃないかなというふうに僕は思っています」という小栗さん。
大河ドラマの撮影は長丁場が常で、登場人物の変化も当然のように描かれるが、「まず一つ言えるのが、スタートの時点でチーフの吉田さんもひっくるめて演出陣と、『今回は変に先を見越してやっていくのはやめましょう』みたいな話になった」と打ち明ける。
演じる北条義時は、田舎の平凡な武家の次男坊だったが、姉・政子が源頼朝の妻となり状況が一変。頼朝の右腕として、一癖も二癖もある坂東武者たちの間を奔走する……。
「最初のころに吉田さんが、“ジャズのセッション”じゃないけれど、突発的に生まれていくものを大事に今回はやってみないかっていう話をされていたので、意外と僕も『ここから始めて、こうやっていくんだ』みたいな計算みたいなものは、あまり持たずに演じています」といい、「結局のところ今現在撮影しているあたりでも、義時はひたすら周りに振り回され続けてはいて、振り回される中で、『何が自分にできるんだろう』というところの選択を始まりの頃からずっとしている。ただ段々と、義時自身も気付いていない選択肢の幅がどんどん増えていっているというのは事実だし、そこが面白い形になっているな、とは思っています」
そんな小栗さんによると、第15回あたりから「一気に物語が加速していく感じがある」といい、「物語上、なかなか一筋縄ではいかないというか、史実がもちろんあって、それを読み解いていくと、鎌倉時代はなかなかの陰謀渦巻く世界にもなっていく。よく現場でも、15回まで見てもらったら、きっと視聴者に、『今後どうなっていくのだろう』と思ってもらえるんじゃないかという話をしています」と自信をのぞかせていた。
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