上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第13週「1964-1965」(1月24~28日)からは京都へ舞台が移った。京都で新生活を始めたるい(深津さん)と錠一郎(オダギリジョーさん)だが、さまざまな場面で上白石さんが初代ヒロインを務めた安子編を彷彿(ほうふつ)とさせるシーンがあり、岡山時代を思い出す視聴者が続出している。演出上の仕掛けを制作陣に聞いた。
ウナギノボリ
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第13週では、回転焼き作りに挑戦するるいが、安子ら岡山で和菓子屋を営んでいた橘家の人々が口にしていた、小豆を炊く時のおまじない「小豆の声を聞け。何をしてほしいか。小豆が教えてくれる。おいしゅうなれ、おいしゅうなれ……」を唱える場面が登場する。
また、岡山時代に橘家のご近所さんだった赤螺(あかにし)家の面々が成長した姿で登場。岡山編で父・吉兵衛を演じていた堀部圭亮さんが、大人になった息子、吉右衛門として再登場している。100年の物語となる今作を、俯瞰(ふかん)的に見て楽しんでいる視聴者であれば、思わずニンマリとしてしまうようなキャスティングやシーンが盛り込まれている。
チーフ演出の安達もじりさんは「赤螺家の皆さんが再登場することは、最初から想定して作っていました。そこに堀部さんがいるだけで、時空を超えてきた感じがしますよね。このドラマならではで楽しみだと思い、撮影していました」と明かす。
錠一郎がるいから自転車の乗り方を教わるシーンでは、岡山で安子が稔(松村北斗さん)から乗り方を教えてもらったシーンをオマージュした。安達さんは、「カット割りは『安子編』とほぼ一緒なんです」といい、「台本で、藤本さんの仕掛けがあり、演出としても、ジョーのキャラクターとしておかしくない範囲で、『安子編』に寄せました」と明かす。さらに「この先も、こんなことがあったなと、これまでを思い起こさせるシーンが、ときどき出てきます」と予告する。
岡山を想起させるようなシーンは、制作陣が意図せず撮影し、視聴者が“発見”したものもあるという。制作統括・堀之内礼二郎チーフプロデューサー(CP)は「視聴者の方々には、僕らも考えていなかったような響き合いに気づいてもらえることも多い」という。
例えば、第52回(1月14日放送)では、るいが錠一郎の告白に結論を出せず、身を引こうとするシーンは、「僕自身は気が付いていなかったんですけど、安子が稔に英語の辞書を返し、『もう忘れられると思います』と別れを切り出した場面を思い出した方もいらっしゃいました」といい、「同じ構造になっているシーンは、意図的にやっているものもあるし、結果的に響き合ったものもあり、『こういうことを(脚本を担当した)藤本(有紀)さんは考えていたのかな』と、驚かせられることばかりです」と改めて脚本の“妙”に感嘆していた。
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