ミステリと言う勿れ:名言プレーバック第8、9話編 ストーカー被害の“システム”に疑問、犯罪者の心理も

連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン
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連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン

 3月28日に最終回を迎えたフジテレビ系“月9”ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(月曜午後9時)。田村由美さんの同名人気ミステリーマンガ(小学館)が原作で、社会で当たり前とされていることに疑問を持ち、持論を展開していく主人公・久能整(菅田将暉さん)の姿が話題を呼んだ。これまで、闘病や虐待に関する整の考えに反響が集まったが、第8、9話では犯罪者と被害者の立場についてや、犯罪者の心理についての意見が印象的だった。物事の本質に迫った登場人物たちのせりふを改めて振り返りたい。

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 ◇「向いてるから教師になりたいわけではない」

 第8話では、世話になっている大学教授・天達春生(鈴木浩介さん)の誘いで、整が山荘で行われるミステリー会に参加。バーベキューをしていると、参加者のデラ(田口浩正さん)に「教師になりたいと聞いた」と話しかけられた。すると、蔦薫平(池内万作さん)からは部活やサークルに入っているのか、接客のアルバイト経験はあるのかと尋ねられる。いずれもないという整に、蔦は「大丈夫か? あんまり向いてないような気がするけど」と口にした。

 そんな蔦に整は「向いてるから教師になりたいわけではないです」と返答。やりとりを見ていた天達も「自分に苦手なものがあると認識している教師は、生徒にも苦手なものが理解できる。自分ができることは人もできると信じている教師は、多くを取りこぼすことになる」と語り、整の考えに寄りそった。

 ◇「ストーカーと被害者の理不尽なシステムに腹が立ちます」

 第9話では、ミステリー会が開かれる山荘で過去に起こった天達のパートナー・美吉喜和(水川あさみさん)殺害事件の全貌が明かされた。喜和はストーカー被害に遭っていたことから山荘に身を隠していたが、なぜかストーカーが居場所を突き止め、事件に発展してしまった。

 そこには橘高が知らず知らずのうちに、ストーカーに喜和の居場所を教えてしまっていたという背景があった。橘高はそれに気づき、急いで山荘に向かったが、既に喜和はストーカーと共に亡くなっていた。橘高は自らのミスを知られたくなかったために、天達に事実を伝えないでいたのだった。

 「俺を恨めばいい。喜和さんを殺したのは俺なんだから」と放った橘高に、整は「喜和さんの事件が起こったのは橘高さんのせいじゃない」と言い、「僕はストーカーに腹が立ちます。ストーカーが野放しにされて、被害者のほうが逃げて、隠れて、その結果全てを捨てて不自由になって、殺されるとおびえながらやっぱり殺される。その理不尽なシステムに腹が立ちます」と自身の考えを述べた。

 ◇「殺す選択肢のある人間には、殺される選択肢も生まれてしまう」

 さらに第9話では、喜和の事件をきっかけに、橘高自身が犯罪に手を染めるようになっていたことも判明。最近都内では喜和の事件と類似の事件が起こっていたが、実は橘高が市役所勤務である自身の立場を利用して殺人を教唆していたのだった。

 整は喜和の事件での橘高の行動について「問題なのはミスをしたことじゃなくて、それを話さなかったことです」と核心を突き、「話せていれば、次の被害もなくて、橘高さんも怖がらずに済んだ」と話した。

 「怖がる?」と聞き返した橘高に、整は「この場所でみんなで集まろう、懐かしい会を開こう、なんて裏がありそうで、来るのが怖かったんじゃないですか」と言って、橘高が復讐(ふくしゅう)されることにおびえていたのではないかと推察。整の発言を受けて、天達は「殺す選択肢のある人間には、殺される選択肢も生まれてしまう」と語る。越えてはならない一線を踏み越えたからこそ新たに生まれる不安について言い当てた名言だといえるだろう。

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