100カメ:「鎌倉殿の13人」に密着 “4秒”のためにイノシシを2時間半撮影 スタッフの奮闘が明らかに

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第23回「狩りと獲物」の一場面 (C)NHK
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第23回「狩りと獲物」の一場面 (C)NHK

 NHKのドキュメンタリー番組「100カメ」(火曜午後11時)では、俳優の小栗旬さんが主演を務める同局の大河ドラマ鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)第23回「狩りと獲物」(6月12日放送)の撮影に密着した。同番組は、気になる場所に100台の固定カメラを設置して人々の生態を観察するドキュメンタリーで、その模様は14日に放送される。番組の桜井和紀プロデューサーと大木莉衣ディレクターが取材に応じ、大河ドラマスタッフの奮闘ぶりや、収録で苦労したことなどを語ってくれた。

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 番組では、「鎌倉殿の13人」の脚本にたった一文字書かれた“猪(イノシシ)”のために、助監督が巻狩りで追われるイノシシの映像を別撮りに行く様子が流れる。2時間半にわたり、イノシシを追いかけて臨場感あふれる映像を収めたものの、ドラマ本編で使用されたのは2カットで計4秒だった。

 大木さんは「私自身、ドラマがどのように作られているか初めて知りました。三谷幸喜さんが『イノシシ』と書いたら、その一文字のためにどれだけ労力がかかっているのかが分かりました。演出の方たちが考えた世界観を助監督の方たちが実現していく大変さが印象に残りました」と取材を通しての発見を話した。

 今回の「100カメ」では、助監督や美術、撮影、制作、技術スタッフたちが集結した会議、エキストラが準備をする様子、そして静岡県裾野市で行われたロケなどをカメラに収めた。ロケはもともと2日間で行われる予定だったが、雨、さらには季節はずれの雪の影響で、予備日に実施することになった。

 大木さんは「雨が降る可能性は分かっていたのですが、雪が降ったときはすごく寒くて、機材がぬれたりしないかすごく心配でした」と大変な撮影になったという。

 寒さが厳しい状況でも平然と立っているキャストたちの姿を見た桜井さんは、「雨から雪に変わる天気でしたが、キャストの皆さんは薄着。寒そうなんですけど、小栗さんをはじめとして、寒さを感じさせないで現場にたたずんでいらっしゃいました。僕らとは違う意味でプロフェッショナルなんだと感じました」と俳優部のすごみを感じた瞬間だった。

 ◇撮影時間1000時間から30分に編集 泣く泣く落としたエピソードも

 今回の撮影時間はおよそ1000時間。最大で1800時間にわたり、カメラを回し続けることもあるという。1000時間から30分に編集することになるが、大木さんは「何が撮れたかを見る“ラッシュ”という作業の時間が多いですが、私は大河ドラマのファンでもあるので、皆さんの動きが興味深かったです。楽しみながら作業していました」と振り返る。

 泣く泣く落としたエピソードも「たくさんありました」と明かし、「馬の手配担当だったり、本当にいろいろな方がいらっしゃって。美術会議も撮らせていただいたのですが、歴史用語が飛び交う会議でした。それぞれの方がプロフェッショナルで、紹介したいなとは思ったのですが……」と取捨選択は難しい仕事になった。

 まさに、スタッフたちの“努力の結晶”が詰まった同番組。見どころについて聞かれた桜井さんは「チームの連携を見ることができるのが100カメの魅力。誰かひとりではなく、みんなが活躍している様子を見ていただけたらと思います」とアピール。番組は、4月からレギュラー放送がスタートしたが、取材に多くの時間を要するため、6月21日の放送をもっていったん“お休み”となる。

 「準備期間をいただいて、いまのところは秋以降に再開できるように鋭意制作しております。必ず再開しますので、引き続きよろしくお願いいたします」とグレードアップして戻ってくることを誓う。

 また、今回の取材会には「鎌倉殿の13人」の制作統括の清水拓哉さんも参加。清水さんは「最初はあまり面白いところは撮れないと思っていましたが、密着していただくのはうれしかったですし、僕らの仕事を客観的に見てみたかった」とオファーを引き受けた理由を明かす。続けて「完成した『100カメ』を見て、『鎌倉殿』のみんなが無事に撮ってきてくれたことに改めて感動して胸が熱くなりました」とスタッフの頑張りをたたえた。

 

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