特撮ドラマ「仮面ライダー」の展覧会「生誕50周年記念 THE 仮面ライダー展」が、サッポロファクトリーホール(北海道札幌市)で開催中だ。同展の「北海道スペシャルアンバサダー」を務めているのが、「仮面ライダーエグゼイド」(2016~17年)で主人公・宝生永夢(ほうじょう・えむ)/仮面ライダーエグゼイド役を務めた俳優の飯島寛騎さん。地元での大役に「生まれ育った地で自分が演じたライダーをアピールできること、50周年記念の仕事をできることは光栄。盛り上げていきたい気持ちでいっぱい」と笑顔を見せた飯島さんに、放送当時の思い出や自身にとっての「仮面ライダー」という存在について聞いた。
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自身の地元・北海道での開催に、「地元を盛り上げたいという理由でこの仕事を始めた部分もあるので、盛り上げたい地で展示会を開けるのは光栄。さらに仮面ライダーもそうですし、皆さんに恩返ししていきたい思いもあるので光栄です」と喜ぶ。
そんな飯島さんが出演していた「仮面ライダーエグゼイド」はシリーズ45周年イヤーに放送され、自身にとってもテレビドラマ初主演作となったが、当時を「がむしゃらでしたね」と振り返る。
「当時は20歳になったばかりでわからないことがどうしても多かったし、東京がシンプルにわからなかった部分もあります。とにかく大変でした」
作品に関する思い出が数多くある中、今でも思い出すような出来事を聞くと、「オーディションは札幌から東京に通っていたのですが、仮面ライダーが決まったとき、『(東京に)すぐ越してきて』と言われました」と合格時に言われた言葉が強く印象に残っているという。
「『明日にでも来て』くらいの勢いで、『そんなにすぐ?』って驚きました」と当時の心境を明かし、「気持ちも含め何も用意していなかったので、ちょっと待ってほしいと言って。それで気持ち撮影が遅れたかも(笑い)」と冗談を交えつつ話す。
新作「仮面ライダーギーツ」の脚本は、「仮面ライダーエグゼイド」や「仮面ライダーゼロワン」を手がけた高橋悠也さんが担当。高橋さんの脚本の魅力を、「伏線の回収の仕方が尋常じゃなく、想像できない」と分析し、エグゼイド脚本における“うまさ”を明かす。
「誰もが忘れていたようなこと、『もうこれはこれでしょう』と置いたようなものまで回収しているところは、僕らキャストも感動しました」
当時「僕(永夢)を殺してくれ」とバッドエンドを望むも、高橋さんに「無理だよ。絶対殺さないから」とやんわり“拒否”された過去を持つ飯島さんだが、「(自分のように)“反発”する者もいることすら、そこから生まれるものも加味して書いているのは、悠也さんの素晴らしいところ」と絶賛。そして、「だから『仮面ライダーギーツ』も楽しみです」と期待する。
「仮面ライダーエグゼイド」はスピンオフ作品が数多く制作され、檀黎斗/仮面ライダーゲンム(岩永徹也さん)が何度も“復活”。さらに、ポッピーピポパポ/仮面ライダーポッピー役の松田るかさんも、「仮面ライダーリバイス」のスピンオフ「仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス」に出演しているが、飯島さん自身の“復活”に関しては、「タイミングなのかな」と思いをはせる。
「永夢が医者としてどうなっているのかは面白いのでは。出世しているのか、異動しているのかといったリアリティーも含め、10年ぶりに会った同級生の変化に驚いた経験は多くの人があると思いますが、そういうのも描けたら面白いのでは。ただ檀黎斗は相変わらず檀黎斗だなって(笑い)。“野放し”ですけど、ちょっと復活しすぎですね(笑い)」
近年では10周年作品が制作されることも多く、まだ少し先のことであり影も形も見えない段階ではあるが、ファンによる「仮面ライダーエグゼイド」への期待は高まるところ。飯島さんも「やれるなら面白いのでは」と前向きな発言を口にする。
永夢の10年後についても「多分、小児科にはいるとは思いますけど、どうなっているのだろう。まあ“闇落ち”はないかな(笑い)。もしかしたら職を変えているかも。旅に出ているとか、いろいろふくらんでいくなと思います」と楽しそうに想像を張り巡らせる。
飯島さんをはじめ「仮面ライダーエグゼイド」メンバーの活躍はめざましいが、「みんな口に出しては特別言いませんが、たまに連絡をとったりSNSを見たりして『次はこういうのをやるのか。負けていられない』みたいな感じで高め合っています」と互いに刺激を受けていると話す。
飯島さんは「仮面ライダー俳優」と呼ばれることもある状況には、「もちろん仮面ライダー作品があってこその自分もあるのでうれしい」と喜びつつ、「役者としての今後も築いていかないといけないので、あえてそれ(仮面ライダー)を自分で抑えることもしています」と神妙な表情で語る。
ファンから期待されることには、「エグゼイドのときから僕らのことを見てくださっているので大事にしたい。そこからできた関係性なので、これからも大事にしていきたい」とにっこり。「だから今回のように(ファンの期待に応えるため)たまには面白いことができたら」と仮面ライダーであり続けることを誓う。
「エグゼイド」に携わった期間を、「激動の1年。がむしゃらにもやっていたし、ずっと宝生永夢で生きていたので、正直あまり“記憶”がない」と強烈なインパクトがあったことを告白。だからこそ「永夢は常に自分の中にいるし、すぐに戻れる」と話し、「20歳の自分だからできたはあるだろうし、今の年齢でやったら永夢もあんな感じじゃないと思う。当時だからできた宝生永夢だったかな」と分析する。
THE仮面ライダー展について、「子供のころ見ていたものがあって興奮しました。昭和、平成、令和と現場で使われていた小道具が展示されていて、例えばクウガのベルトは倉庫の4階の一番すみっこにあったというほど激レア中のレアなものまである。ファンにはたまらない空間なのでは」と熱く語る。
「エグゼイド」関連の展示では「『シャカリキスポーツ』というガシャットの自転車があるのですが、北海道で展示されている乗り物は1号のバイクと自転車しかない。あとは会場に行って気づいてほしい。会場をよく見てみてください、とだけ言っておきます。特にエグゼイドコーナーは楽しみにしていだけたら」とアピール。
「子供から大人まで楽しめるので、会場に行って空間を楽しんでいただき、それでジンギスカンを食べ、北海道のパワーそして仮面ライダーのパワーを受け取ってもらえたら」と呼びかける。
作品としての「仮面ライダー」の魅力を聞くと、「永遠の憧れです」と即答。「もちろん人によって主人公が好きとか敵幹部が好きとか観点は違いますが、時代は変わっても“軸”は一緒。正義を貫くスタイルは変わらない」と説明し、「その力強さは藤岡(弘、)さんはじめ歴代の方々が築いてくださったもの。その歴史を愛してくれる皆さんを大事にしたい」と力を込める。
最後に宝生永夢、仮面ライダーエグゼイドが飯島さんにとってどんな存在かを聞いた。
「永夢がいたからこそ今の飯島寛騎がいる。永夢とエグゼイドに1年半寄りそったからこそ、今前向きにポジティブにいられる自分がいるのではと思います」
「生誕50周年記念 THE 仮面ライダー展」の札幌会場は16日まで。東京では、池袋・サンシャインシティ ワールドインポートマートビル展示ホールAで12月23日~2023年1月15日(1月1日は休館)に開催される。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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