川床明日香＆出口夏希：「沈黙のパレード」で“愛されて育った”姉妹役　何テークも重ねた分、思い入れ強く

　福山雅治さん主演の「ガリレオ」シリーズの映画最新作「沈黙のパレード」（西谷弘監督）に出演している川床明日香さんと出口夏希さん。川床さんが「nicola（ニコラ）」（新潮社）、出口さんが「Seventeen（セブンティーン）」（集英社）と、ティーン向けファッション誌出身という共通項はあるものの、2人が共演するのは初めてだという。物語に欠くことのできない定食屋「なみきや」で愛されて育った姉妹を演じた川床さんと出口さんに、撮影の思い出などを語ってもらった。

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　◇どのシーンにも思い入れが…

　「沈黙のパレード」は、東野圭吾さんの同名小説（文春文庫）が原作。行方不明の女子学生が遺体で発見されるが、容疑者の男は証拠不十分で釈放。なぜか男は、女子学生の住んでいた町に戻る。町全体を憎悪の空気が覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起き……というストーリーが展開する。福山さんが主人公の物理学者・湯川学を演じる「ガリレオ」シリーズの、9年ぶりの最新映画として、9月16日に公開された。

　川床さんは「長い時間をかけて撮ったので、すごく思い入れのある作品です。コロナの影響もあって、撮影期間が延びたりしたので、無事公開を迎えることができてうれしいです」と喜ぶ。

　出口さんも映画について「試写で初めて見たとき、自分のお芝居がどう映っているのかを心配して、ドキドキしていたのですが、気づいたら一つの作品として見入ってしまっていて、すてきな作品に参加できたんだなってことを実感しました」と語る。

　2人は菊野商店街で定食屋「なみきや」を営む並木祐太郎（飯尾和樹さん）と真智子（戸田菜穂さん）夫妻の娘役で出演。川床さんが姉の佐織、出口さんが妹の夏美をそれぞれ演じた。

　撮影では、西谷監督の熱意の下、一つのシーンを撮るのに何テークも重ねたという。川床さんは、「だからこそ、どのシーンも思い入れがあるし、佐織としての思い出が深まったような気がします」と話すなど、努力が実った今は、それらもいい思い出だ。

　福山さんをはじめ、柴咲コウさん、北村一輝さん、檀れいさん、椎名桔平さん、田口浩正さん、岡山天音さん、村上淳さん、吉田羊さんら錚々（そうそう）たる先輩俳優とも共演。

　出口さんは「初日から、（みんなが集まっている）『なみきや』のシーンで。撮影期間中は、足を引っ張らないように、間違えないようにと、終始緊張をしていました。集中力が切れやすいタイプなのですが、先輩方の出す雰囲気のおかげで、私もやりきることができたのかなって思います」と振り返った。

　◇みんなで作り上げた「仮装パレード」

　映画では、夏祭りの日に行われる盛大な「仮装パレード」のシーンも大きな見どころとなっている。

　出口さんは「大人数のエキストラさんが参加して、時間もかかって、結構、大変でした。私自身、あんなに大がかりな撮影は初めてでしたし、撮影最終日でもあったので、暑い中、ずっとみんなで作り上げたってことに感動しちゃって」としみじみとし、「声がかれるくらい、朝から夕方まで叫んで。“この町”で生まれ育ったんだって、夏美として感じることができました」と笑顔で明かす。

　一方、川床さんも劇中で“3年前の夏祭り”に参加。佐織として運命を変える歌声をステージで披露している。

　歌のレッスンを「4カ月くらいやらせていただいた」と話す川床さん。「歌っている映像を毎日撮って、ボイストレーナーの方に見てもらう、という作業を重ねて。そういう期間があったからこそ、さらに歌を好きになれたし、佐織という役を知る上でも大きな軸にもなったので、すごくいい経験をさせていただきました」と得るものは大きかったという。

　◇素晴らしい先輩方に囲まれ、常に刺激的で学びがあった

　改めて撮影の日々を思い返し、「この作品では、一つの役に対してすごく時間をかけて準備をさせていただいて。だからこそできたお芝居、表現というのはあると思います。素晴らしい先輩方にも囲まれ、常に刺激的で学びのある現場でした」と語る川床さん。

　「役をいただいたとき、ご縁があったんだなと感じることが多いので、これからも出会えてよかったなと思える役や、作品に出会えたらいいなと思います。佐織は割と自分に近しい役だと思えたので、そうではないときに、自分はどう役にアプローチし、演じられるのかということに興味があります」と“次”へと目を向ける。

　出口さんは今後に向けて、「まずは経験を積むことが最優先なのかなって思っていて。そこからさらにやりたいことが見えてくればいいなって思っています。今はやっとお芝居に対して前向きになれたところなので、もっといろいろな役をやってみたいです」と意欲をのぞかせた。