加山雄三:「95歳くらいまではやるつもり」 コンサート活動引退も消えない音楽への情熱

加山雄三さん
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加山雄三さん

 歌手の加山雄三さんが9月9日に開催した「加山雄三ラストショー ~永遠の若大将~」が11月6日、WOWOWで放送・配信される。85歳を迎えた加山さんが、アーティスト活動などは継続するものの、今年限りでコンサート活動から引退することを発表。「まだ歌わなくなるわけじゃないから。音楽は生涯の親友」と話す加山さんに、コンサート活動を引退するに至った経緯、ラストショーを終えての心境、自身にとっての音楽活動と俳優業、今後について聞いた。

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 ◇ラストショーで感じた、聞いてくれる人がいるありがたさ

 コンサート活動からの引退を考え始めた時期について、「2年ぐらい前、始まりがあれば終わりがある。どこかでけじめをつけて終わりにしようと思った」と加山さん。「それをいつにするか」を迷った時期もあったが、熟考する中で決断に至った。

 「『まだできる』『もうちょっとやってみよう』と続けていく中、去年ぐらいからやめようという方向に気持ちが動いていった。どう受け止められるか(という不安)はあったけど、自分自身がきちっと最後までやる。それが一番良いなど、考えに考えて結論を出した。まだできると思っているぐらいでやめるのがいいのかなって」

 最後のホールコンサートとなったラストショーは、「絶対明るく終わりたい。ラストだからってショボショボしちゃダメでしょう」という心境で臨み、多くのファンを魅了。「85歳でステージに乗って歌っているなんて世の中そうはいない。無理しちゃいけないけど、人間は頑張ればできる。それをまた聞いてくれる人がいることがありがたい。それがある以上、歌い続けたいなと思う」と感謝の念を口にする。

 ◇“最後の1曲”に込めた幸せをつないでいくという思い

 2部構成で開催されたラストショーの第1部は海にまつわる曲が中心となったが、加山さんは、「海辺に育ったのもあり、海にまつわる歌が多い。海から恩恵を受けたり学んだりしたことがたくさんあって、そういうことはやっぱり身についている。そういう自分からにじみ出るものを大切にしたいなと思った」と選曲の意図を明かす。

 アンコールのラストで歌ったのは「愛する時は今」で、「しあわせつかもうよ」「しあわせ渡そうよ」といった歌詞が印象的なナンバーだ。

 加山さんは、「(後生に)残していくものを音で伝えていきたい。音を愛し音を生きてきた人間としては、それが大事」と切り出し、「最初は幸せをつかもうと思うけど、今度は渡していこうと。幸せはもらうものでもあり、与えていくものでもある。そのことを大切にしていこうという気持ちを伝えたかった」とショーの締めくくりに選んだ思いを語る。

 放送されるラストショーの見どころを聞くと、「見て楽しんでもらいたい。見どころはいっぱいある」と自信たっぷりに呼びかける。

 ◇現在も「未発表の曲が山ほど」

 音楽活動と俳優業、いずれでも活躍し続けてきた加山さんにとって、音楽と映画は切り離せないものだが、当時について、「曲を作っているうちに映画の中で使おうかと考える」と振り返り、「あまり考え込まず、流して歌っているのをずっと録音する。聞き直して『いいな』と思ったものを曲にしていく。30分で3曲書いたこともあって、『お嫁においで』はそのうち一つ」と驚きの作曲エピソードを明かす。

 現在も「未発表の曲が山ほどあって、これから出てくると思う。どういう詞をつけようか、つんく♂に作ってもらおうかなとか、いろいろ考えているのがある」と楽しそうにアイデアを口にする。

 ◇「若大将」シリーズは自身の「分身」 まだまだ終わらない音楽との絆

 ラストショー放送日には、加山さんが主演を務めた映画「若大将」シリーズから3作品が特集放送。加山さんは同シリーズを、自身にとって、「自分のできる部分、かなりいろんなところを使っているから、俺の分身のようなもの」と表現する。

 当時の思い出を、「みんな良い思い出だけど、とにかくいろいろな外国に行けたことがうれしかった」とほほ笑み、「(若大将が挑戦したものは)水泳にしたってスキーにしたってそれぞれできるけど、全部があんなにカッコよくはないね(笑い)」と謙遜する。

 では、俳優と歌手のどちらがより楽しく、また難しいと感じているのだろうか。

「どっちが難しいかな……やっぱりどっちも難しいと思う。ただ音楽は生涯の親友だから、音楽に携わっている方が好きだね」

 そんな加山さんは、かつてゲームの「バイオハザード」のテクニックが話題となったが、そのころは「夜中の3時になってもやっていて、かみさんから『いいかげん寝た方がいいよ』と言われた。最後クリアできて『やったー!』となったけど誰も起きていなかった」と言って笑う。今は「いろんなものがあって面白い」とYouTube視聴にハマっているという。

 これまでもさまざまな挑戦をしてきた加山さんに、今後チャレンジしたいこと、成し遂げたいことを最後に聞いた。

 「最高齢で何かというのを全部成し遂げたい。85歳を超えてまだ何かやっているという人はそういないし、トニー・ベネットが91歳でレディー・ガガのレコーディングに参加していたのだから、まだ自分もできる。95歳くらいまではやるつもり。負けていられないけど、やっているうちにポッと自然に(最高齢に)なっちゃうだろうね(笑い)」

 「加山雄三ラストショー ~永遠の若大将~」はWOWOWライブで11月6日午後7時半から放送・配信。同日には、映画「若大将」シリーズから「大学の若大将」「エレキの若大将」「アルプスの若大将」の3作品が放送される。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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