放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
2022年10月期のおもなドラマ主題歌を紹介。今年の秋ドラマは、中島みゆきさんの新曲のほか、Official髭男dism、緑黄色社会、DISH//の書き下ろし曲といったバンド勢の楽曲もそろった。秋ドラマで注目の主題歌をピックアップした。
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吉沢亮さんが主演するフジテレビ系“月9”ドラマ「PICU 小児集中治療室」(月曜午後9時)の主題歌は、中島さんの新曲「倶(とも)に」(12月14日両A面シングル「倶に/銀の龍の背に乗って」をリリース)。スケール感のあるすがすがしい楽曲で、優しくて力強い歌声が印象的だ。
ドラマの舞台は、北海道・丘珠病院のPICU=小児専門の集中治療室。若手小児科医・志子田武四郎(しこた・たけしろう、吉沢さん)らが、どんな状況のどんな子供でも受け入れられるPICUを作るため、医療用ジェット機の運用を可能にすべく奮闘する物語。
歌詞は「転びそうになっても、雨に打たれても、目指すところへまっしぐらに走っていけ」と訴えているようで、失敗してくじけそうになる主人公・志子田を叱咤(しった)激励しているかのようだ。また「倶に」というタイトル通り、共に一つの目標に向かって、命ある限り闘っている医療従事者や患者らの姿に寄り添う包容力も感じさせる。
川口春奈さん主演の「silent」(フジテレビ系、木曜午後10時)の主題歌は、Official髭男dismの書き下ろし曲「Subtitle」(配信中)。「“君”への愛をどう伝えよう」という強い思いを歌い上げる一方で、愛ゆえの感情のあやうさやはかなさも伝わってくる奥深いラブソングだ。
ドラマは、青羽紬(川口さん)が、かつての恋人・佐倉想(目黒蓮さん)と8年ぶりに再会するも、想は聴力をほとんど失っていた……というラブストーリー。紬は、中学からの幼なじみで想の高校時代の友人でもある戸川湊斗(鈴鹿央士さん)と交際していた。だが、手話を用いながら再び心を通わせていく紬と想を見た湊斗は、紬との別れを決意。それを機に、紬と想は改めてお互いと向き合うようになる、という展開になっている。
「言葉によって言葉を超える思いを届けられたら」という願い、気持ちがなかなか伝わらないもどかしさを表現した楽曲は、紬と想、そして2人を取り巻く人たちの繊細な表情とも巧みにシンクロし、物語の切なさや美しさを増幅させている。
奈緒さんが主演を務める「ファーストペンギン!」(日本テレビ系、水曜午後10時)の主題歌は、緑黄色社会の書き下ろし楽曲「ミチヲユケ」(CDシングル発売中)。ジャジーなフレーズ、どこか懐かしさを醸し出すエレクトリックピアノの音色、骨太なベースといった華やかなアンサンブルが響くアップテンポのナンバーだ。
ドラマは、ひょんなことから縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んだシングルマザーの岩崎和佳(のどか、奈緒さん)が、片岡洋(堤真一さん)ら漁師たちと、経営難に苦しむ漁船団を立て直していくサクセスストーリー。タイトルの「ファーストペンギン!」は、臆病な動物とされるペンギンの群れの中で、最初の一羽が海に飛び込めば、仲間は次々とその「勇気ある一羽目(ファーストペンギン)」について行くことに由来する。
古い慣例を押しつけてくる中間業者の漁協の妨害にも屈せず、魚の直販業「お魚ボックス」で浜の活況を取り戻そうとする和佳や海の男たちの雄姿に、多彩な音作りで新境地に挑む楽曲が絶妙に重なり合う。同時に、これまでの慣習に風穴を開け、漁業の大改革に乗り出す人々の背中を押す役割を担っている。
岡田将生さん主演の「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系、木曜午後9時)の主題歌は、DISH//の新曲「五明後日(ごあさって)」(配信中)。作詞はボーカルの北村匠海さんが担当、作曲はDISH//のオファーで山崎まさよしさんとの共作が実現し、ドラマのために書き下ろされた。
ドラマは、トラベルナース(フリーランス看護師)の那須田歩(岡田さん)が、看護師の九鬼静(中井貴一さん)と同時期に「天乃総合メディカルセンター」で働くことになったところから始まる。米国帰りで意識もプライドも高い那須田、謎多きスーパーナースの九鬼が、反発しながらも患者を救い、医療の現場を改革していくというストーリー。
「遺書」をテーマに制作された主題歌は、最愛の人を残して旅立つ悲しみと感謝の思いが交錯しつつ、温かみを感じさせるナンバー。命の危機や最期と対峙(たいじ)するシリアスな面と、トラブルや苦しみを乗り越えた時の穏やかな空気感を併せ持つドラマに見事にマッチしている。
福原遥さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)の主題歌は、back numberの新曲「アイラブユー」(配信中)。飾らない愛を歌ったback numberらしいラブソングに仕上がっている。
ドラマは、空や飛行機に憧れるヒロイン・岩倉舞(福原さん)の物語。ものづくりの町・東大阪の町工場の娘として生まれた舞は、幼少期の一時期を長崎・五島列島で過ごす。それぞれの土地で暮らす人々との絆を深めた舞は、やがて旅客機のパイロットを目指すようになる……という内容だ。
ゆったりとしたテンポ感と独特のボーカルスタイルは、ドラマに和やかな空気とぬくもりを添える。木の葉が舞っている光景に触れ、広い空に憧憬(しょうけい)の念を抱く、という歌詞の世界観も劇中のストーリーとリンクしている。
また、清原果耶さん主演の「霊媒探偵・城塚翡翠」(日本テレビ系、日曜午後10時半)の主題歌は福山雅治さんの新曲「妖(あやかし)」、大地真央さん主演の「最高のオバハン 中島ハルコ」(東海テレビ・フジテレビ系、土曜午後11時40分)はENHYPENの「Make the change」(最新アルバム「定め」に収録)、本田翼さん主演の「君の花になる」(TBS系、火曜午後10時)のメインテーマソングは、劇中から飛び出した期間限定7人組ボーイズグループ「8LOOM(ブルーム)」の2作目のシングル「君の花になる」(配信中)、平野紫耀さん主演の「クロサギ」(TBS系、金曜午後10時)と、高橋海人さん主演の「ボーイフレンド降臨!」(テレビ朝日系、土曜午後11時)の主題歌は、King & Princeの両A面シングルとして発売中の新曲「ツキヨミ」と「彩り」がそれぞれ採用されている。
大物ソロアーティストをはじめ、話題のバンド、劇中グループのシングル曲など、バラエティーに富む楽曲が並んだ今年の秋ドラマ主題歌。医療もの、恋愛、ミステリーなど、さまざまなドラマのシーンを構成する重要な要素として、今後もドラマを盛り上げてくれるだろう。(水白京/フリーライター)
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