俳優の小栗旬さん主演のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)で北条政子を演じてきた小池栄子さん。主人公・北条義時役の小栗さんと同じく、クランクアップまで、約1年5カ月にわたり撮影に臨んできた。その中で見えた役者としての課題、今後の展望などを語ってもらった。
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長期の撮影を終え、「自分が想像していたよりも北条政子という人間を愛してしまいました。もう一度、やり直したいと思えるほど政子に魅了されました。小栗さんが作り上げてくれた現場もとても心地よく、仲間たちと離れるさみしさもありました」と充実感を口にした小池さん。
一方で「課題もたくさん見つかりました。恥ずかしくて言えませんが、演出の方から芝居のダメだしも受けました。10年後も役者として残るためにも、芝居の質が変わったところを、来年以降お見せできるようにしたいです」と気持ちを新たにする。
さらに小池さんは「そのためにはたくさんの作品に出て、たくさんの作品を見て研究をしたいです。気持ちだけでは残れない仕事だと思いました。何気ない仕草であったり、話し方であったり、努力の必要を感じました」と、芝居の研さんを積む覚悟を見せる。
大河ドラマの魅力は、たくさんの役者が出ることから、いろいろな芝居に生で触れられることだという小池さん。その中でも、継母・りくを演じた宮沢りえさんや、丹後局を演じた鈴木京香さんの芝居から刺激を受けたと明かす。
「意表を突いてくるお芝居をされるんです。もちろん、リハーサルもやりますが、本番では自分の想像を超えた表現をされるので、驚かされることが多々ありました。私は、みんなが思いつくであろう芝居のパターンしか持っていないと気づかされて、先輩方とのお芝居はすごく勉強になりました」と学びの多い現場となった。
「これからは私にも、後輩が増えてきます。りえさんや京香さんに対して私が抱いた尊敬の気持ちを、後輩たちにも私から感じてもらえるような役者になりたいです。先輩たちは才能だけでここまで長くやっていない。悩んで、悩んで、悩み抜いて見えないところで努力を重ねているんだと思います」といった気づきも。
続けて「今回ご一緒したチーフ演出の吉田(照幸)監督からも『ちょっとなー、今のつまんないなー』と言われることもありました。なかなかそう言ってくださる監督もいらっしゃらないので、吉田監督との出会いも私にとってすごく大きなものになりました」と充実感をにじませた。
大河ドラマの長い撮影では、何気ない気遣いをする小栗さんの存在も大きかったと振り返る。「常にフラットで、一方でバカにもなってくれる。途中から参加するキャストも、最初は緊張していたけど、最後は『楽しかった』と言って帰って行きました。小栗さんが『失敗してもいいんだよ』という姿勢を貫いてくれたので、みんなも彼のために一生懸命頑張りたいという気持ちになりました」と話す。
小栗さんとは、2011年上演の舞台「髑髏城(どくろじょう)の七人」でも共演していた小池さん。当時も小栗さんが主演だったが、「ずいぶんと頼もしい男になったなと感じました。11年前の舞台のときは自分のことで精いっぱいだったと感じましたが、今回はすごく大きな人間になったように感じました。彼が海外を目指すのも分かります」と当時と比較しても、その背中が大きくなったと実感する。
今後、また大河ドラマに出たいかと聞くと、「今回の現場が本当に楽しかったので、『鎌倉殿』を引きずりそうで少し怖いです。でも、『鎌倉殿』を上回るような現場に出会えたらうれしいですね。今までは、一見嫌そうに見えるけど、実は優しいという役柄が多いので、本当に救いのない嫌なやつをやってみたいです」と次を見据えていた。
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