舞いあがれ!:航空学校ってどんなところ? 制作陣が1年かけて徹底取材 入学の条件やカリキュラムも

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第40回のワンシーン (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第40回のワンシーン (C)NHK

 福原遥さんが主演するNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)は、第8週(11月21~25日)から、舞(福原さん)が旅客機のパイロットを目指して入学した「航空学校」編に突入した。制作統括の熊野律時(くまの・のりとき)さんは、「1年くらいかけて実在の航空大学校を徹底的に取材した」といい、「極めて専門性の高い学校なので、人間ドラマとして落とし込むのが、ものすごく大変だった」と苦労を明かす。パイロットになるための学校とは、どんなところなのか。入学の条件は? カリキュラムは? ドラマに添って解説する。

 ◇実在の「航空大学校」がモデル 出願には身長制限も

 舞がパイロットになる夢をかなえるため入学した航空学校は、国内で唯一の公的なパイロット養成機関「航空大学校」をモデルにしている。ここはパイロットに必要な国土交通省が発行する「航空従事者技能証明」などのライセンスや各種の資格・証明を取得するための学校で、教育課程は2年間だ。

 パイロットになる資格は、一定期間の飛行経験が求められるため、独学での取得は困難だという。航空会社に養成パイロットとして就職し、社内で訓練するルートと、航空大学校のような教育機関で学ぶルートが一般的。中でも航空大学校の卒業生は日本のエアラインパイロットの4割を占めるといわれている。

 航空大学校の令和5(2023)年度の入学者は、すでに今年6月で出願を締め切っているが、出願資格として入学時点で年齢が20~25歳、身長が158センチ以上とある。

 ドラマの第29回(11月10日放送)で、大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」の由良先輩(吉谷彩子さん)が身長155センチだったためパイロットになる夢を断念したことを知った舞は、159センチと自身が要件を満たしていることも後押しとなって、夢でもあり、由良先輩の思いも受けて、旅客機のパイロットを目指そうと決意する。

 他にも、「4年制以上の大学に2年以上在学し、修得単位が62単位以上」「短大または高専を卒業」など高等教育機関に2年以上在学し単位を取得したことが出願要件となる。劇中で舞が航空学校の受験勉強をしながら、2年生として大学に通っていたのはこのためだ。

 試験は三次まであり、7月に行われる一次試験は「英語(筆記、リスニング)」と「総合(筆記)」、二次試験は心理適性検査を含む「身体検査A」(9月)と脳波検査の「身体検査B」(12月)、そして翌年1~2月に行われる最終の三次試験は面接試験と飛行訓練装置による操縦適性検査となる。

 第36回(11月21日放送)で、舞が柏木(目黒蓮さん)と“最悪の出会い”をしたのはこの三次の面接試験会場でのことだった。

 航空大学校は、私立の教育機関に比べて学費が安いこともあり、入試倍率は6~10倍になるという。舞はかなりの難関を突破して入学したことになる。

 ◇2年間のカリキュラムは? 座学ではチームで課題クリアを求められる

 試験に合格すると、晴れて入学となるが、入学時期は一斉ではなく、通常は6月、9月、12月、翌年3月の年4回に分かれているという。舞たちは入学してすぐにクリスマスがあったことから、12月入学といったところか。

 最初は5カ月間の「学科課程」を宮崎本校で受講する。第8週がこれに当たるが、「航空力学」「航空英語」など16科目を受講し、試験に合格すると、次の「フライト課程」に進む。「学科課程」は“座学”だが、個々で勉強していればいいわけではなく、チームを組んで協力しながら課題をクリアすることが求められる。このあたりもドラマでは第8週のチーム6人の姿に反映されている。

 次に北海道・帯広分校での半年間の「フライト課程」で飛行訓練に入り、単独でのフライト(ソロフライト)を経験する。ここでは教官1人と学生3人が1組となって訓練する。

 ソロフライトが成功すると、「自家用操縦士資格」相当の技量を身につけたと見なされ、宮崎本校に戻って半年間のプロのパイロットを目指す訓練を受ける。これをクリアすると「事業用操縦士資格」相当を身につけたとされる。

 最終のフライト課程は、仙台分校で7カ月間の訓練を受け、より高度な「多発機操縦」「計器飛行」の資格を取ることが目標となる。学生は終盤になると航空会社への就職活動も並行して進めるという。

 ◇全寮制 女子と男子をエリアで区切る部分もリアルに

 第8週では、舞らの2人1室の寮での生活ぶりが描かれているが、実際の航空大学校も全寮制だ。熊野さんいわく、「これにはパイロットとして必要な資質であるコミュニケーション能力や人間性の育成を図るという教育上の狙いもあると聞き、今回のドラマのテーマ的にも重要な要素だと思ったので、取り入れさせてもらいました」という。

 実際に航空大学校の入学者には女子学生も数パーセントおり、「男子学生しかいない時期が長く、近年、女子学生も入るようになった。そこで寮ではエリアを区切り、ルールを作ったそうです」といい、「パイロットになる女性はいまだに極めて少なく、そういうリアルな状況を反映していると思ったので、設定として取り入れました」と明かした。

 舞がパイロットになる夢をかなえるために入学した航空学校。第9週から始まる厳しいフライト訓練を乗り越え、見事、仲間と共に“舞いあがる”ことができるのか。舞の努力や成長を見届けたい。

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