舞いあがれ!:重工業トップ企業の“イケおじ”重役・荒金 鶴見辰吾が「説得力のある演技」

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で鶴見辰吾さんが演じる荒金正人 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で鶴見辰吾さんが演じる荒金正人 (C)NHK

 福原遥さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)で、重工業の国内トップクラス企業「菱崎重工」の重役、荒金正人(あらがね・まさと)を演じている鶴見辰吾さん。荒金は、舞(福原さん)の父、浩太(高橋克典さん)の元同僚だが、試作を依頼する際にはそんな関係はおくびにも出さず、IWAKURAの実力を冷静な目で判断しようとする“できる”ビジネスマンだ。鶴見さんの起用理由や現場での様子について、同作の制作統括・熊野律時(くまの・のりとき)さんに聞いた。

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 ◇初登場では「いい人なのか? 悪いやつなのか?」

 荒金は、第78回(1月24日放送)で初登場すると、「航空機産業支援セミナー」に参加していた舞とめぐみ(永作博美さん)に声をかけ、舞の発言に対し、「複数の会社が協力して部品を作る。夢があっていい」と言いつつ、「本当にそんなことが可能だと思いますか?」と質問する。

 舞が東大阪には独自の技術を持つ町工場がたくさんあること、それぞれの会社が協力し合うこともできると伝えると、荒金は「面白い」と納得した様子で去っていった。

 SNSでは「鶴見辰吾はいい人なのか? 悪いやつなのか? さっぱり分からない」「鶴見辰吾がただのいい役で終わるはずないと思う。怪しすぎる」などと疑惑の目が向けられていた。

 第79回(25日放送)で、荒金はIWAKURAを訪れ、航空機に使用する新型エンジンのボルトの試作を依頼する。

 戸惑うめぐみが「なぜ、弊社にご依頼いただけたのでしょうか?」と尋ねると、荒金は「航空機産業は新たな力を必要としています。中小企業がその力となり得るのか、私はとても興味があります。御社には優れた技術があるとおっしゃいましたよね? それを証明していただきたいのです」と答えた。

 SNSでは「荒金さん、イケおじ過ぎる」「浩太のこと知ってるだろうけど、そこは口に出さない荒金さん」「荒金さん、あくまでビジネスライクに接するのが良いよね」と荒金を信頼できる人物と推測していた。

 その他にも、鶴見さんがNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」内の寸劇「多分こうだったんじゃないか劇場」に出演していることから、「チコちゃんの再現ドラマ思い出してしまう」という声もあった。

 ◇大企業で経験値を積み重ねてきた人の説得力

 熊野さんは、「荒金という大事な役を説得力ある方に演じてもらいたかった」と鶴見さんに白羽の矢を立てた。

 「鶴見さんとは以前、NHKの終戦ドラマ(2021年放送の『しかたなかったと言うてはいかんのです』)でご一緒したことがありまして、お芝居が素晴らしい方だということを実感していました。今回、ドラマの後半に出てくる大事な役柄である荒金が、何か未来のこと、大きなことを考えている器量のある人のように見えてほしいと、鶴見さんにお願いしました」と起用理由を説明する。

 荒金がIWAKURAに試作を頼む際、めぐみや舞に浩太と同僚だったことは明かさなかったのは、「大企業の人が、町工場に仕事を依頼する。試作を頼んで実力を試している段階なので、個人的な縁があるから接触したという話にはしたくなかった」という。

 「荒金は、たまたま舞とセミナーで出会って、IWAKURAが浩太さんのところかとピンとは来ているんでしょうけれど、仕事上でそれをわざわざ言うようなことではないし、ビジネスの場なので、ちゃんと仕事ができるところとは仕事をするし、そうでなければ仕事をしないと判断する。荒金はいろいろな経験値を積み上げてきた人物でもあるので、ある種シビアであって、そういう人として登場してほしいという思いがあった」と語る。

 現場での鶴見さんは「撮影を楽しまれていました。終戦ドラマのときはかなり怖いキャラクター(捕虜の実験手術をする外科医役)だったので、『今回はいい人ですね』と喜んでやってらっしゃった」という。

 熊野さんは、鶴見さんの演技について「とても的確なお芝居をされていました。荒金は物腰の柔らかい人物でありながら、シビアに見るところは見ている厳しさも同時に感じさせる。大きな企業で多くの仕事と経験値を積み重ねてきた人の説得力を、鶴見さんが、そこにたたずんで、じっと舞の話を聞いているだけで感じさせてくれました。さすが素晴らしいなと思って見ていました」と称賛した。

 30日から始まる第18週では、荒金から依頼された試作のボルトが「菱崎重工」の品質試験に通過するのか注目される。IWAKURAと東大阪の人たちの未来を、これからも見守っていきたい。

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