金曜ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(TBS系、金曜午後10時)で主人公の萱島直哉を演じる俳優の山田裕貴さん。物語が佳境を迎え、魂がこもった山田さんの芝居に、視聴者からは「細部にこだわるお芝居が絶品」といった声が上がっている。「僕の集大成をここでぶつけるべきだと思った」と強い思いを明かす山田さんに、撮影現場で大切にしていたことを聞いた。
ウナギノボリ
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ドラマは、「恋はつづくよどこまでも」「着飾る恋には理由があって」(共に同局系)などを手がけた脚本家、金子ありささんによるオリジナル作品。8時23分、いつもと同じく都心に向かう電車の車両が、未来の荒廃した見知らぬ世界にタイムスリップ。同じ車両に乗り合わせた見ず知らずの客たちは水も食料もない極限状況に直面しながらも、元の世界に戻ろうと奮闘する。
撮影の合間に取材に応じてくれた山田さん。今作の撮影現場について、スタッフ、キャストが「過去イチつらい」と話していることを明かしながら、「『ペントレの現場ってやばいんでしょ?』と業界で噂がまわるくらい(笑い)。でも、それってやばいんじゃなくて、頑張って、やれるだけやっているんですよ」と話す。今作に携わった皆で体感した思いや気持ちは、「どれだけ語ったって伝わらない感情がそこにある」と感じている。
直哉のバディーである白浜優斗を演じる赤楚衛二さんとは、二人のこれまでの人生について話し合う機会があったという。「彼はものすごい真っすぐな目で、『本当にこの作品で山田くんに出会えてよかったです』『こんなに素を出したことないんです』と言ってくれて。お芝居で作ろうとしても作れない、本物のバディーみたいなものにたどり着くきっかけを作ってくれた気がして、すごくうれしかったです」と話す。
鋭い目つきで「じゃあ、土下座しろ!」と怒鳴ったり、弟と過ごした時間を思い出して涙を流したり。山田さんの思いがこもった芝居には、絶賛の声が上がっている。ドラマを手がける宮崎真佐子プロデューサーも、「これはお世辞でもなんでもなく、全シーンいいんですよ! 魂がこもっているんですよね」と話していたが、山田さんはどのシーンも100パーセントの力で「全部一番いいシーンになれ!」と思いながら演じていたという。
畑野紗枝役の上白石萌歌さんは、作品のことを一番に考える座長の山田裕貴さんの姿勢に、刺激を受けていたことを明かしていたが、山田さんが撮影現場で大切にしていたことはどんなことなのだろうか。
「『芸術は細部に宿る』という言葉がありますけど、とにかく細部に目をこらすこと」と明かした山田さんは、「自分も含め、『今の表情だと違うよな』とか、『それだと伝わらないんじゃないか』というところがあったら、伝えにいきました。一つ目線を動かすだけでも、一つうなずくだけでも、受け取り方が変わるから」と話す。
これまでの作品では、監督などからのアドバイスを受けると、「時には『わかりました』って自分を押し殺して、折れていることもあった」という山田さん。しかし、「こうした方がいいと思う」というアドバイスを受け入れた結果、後悔した日々もたくさんあった。「あの人がああ言ったから」と人のせいにしたくなかったことから、今回は絶対に折れず、貫き通した。
「傲慢に言ってしまえば、どの角度からも絶対に(直哉を)突き通せるという自信があったので、そこは僕の集大成をここでぶつけるべきだと思いました」と話した山田さん。「もちろんそこにはすてきな表情をくれる、すてきなセリフをくれる相手あってこそ。並々ならぬ皆への信頼と、『お芝居で見せつけなきゃ!』というところと、いろいろなものが成り立ってのこと。最後まで魂を燃やし続けたいです」と力強く語っていた。
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