2011年に公開されたスタジオジブリの劇場版アニメ「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督)が7月14日、「金曜ロードショー」(日本テレビ系、金曜午後9時)枠で放送される。本編ノーカット版の放送を前に、作品の概要を解説する。
ウナギノボリ
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原作は、1980年に「なかよし」(講談社)に連載されていた同名マンガ(佐山哲郎さん原作、高橋千鶴さん画)。宮崎駿さんが企画・脚本を担当し、息子の吾朗さんが「ゲド戦記」(2006年)に続いて監督を務めた。
東京五輪を目前に控えた1963(昭和38)年の横浜が舞台。父を海で亡くし、母を助け、下宿屋を切り盛りする16歳の少女、松崎海と、同じ高校に通う1年先輩の新聞部の部長・風間俊の青春物語が描かれている。海の声を、長澤まさみさんが、俊の声を岡田准一さんが担当し、俊の親友・水沼史郎を風間俊介さん、そのほか竹下景子さん、石田ゆり子さん、大森南朋さんらも出演している。
最終興収は44億6000万円を記録。「第35回日本アカデミー賞」の最優秀アニメーション作品賞や「第11回東京アニメアワード」では最高賞の「アニメーション オブ ザ イヤー」のほか国内劇場部門優秀作品賞、武部聡志さんが音楽賞などを受賞した。
早くに父を亡くし、留学中の母に代わって、下宿「コクリコ荘」の切り盛りをする高校生の松崎海(長澤さん)は、ある日、俊(岡田さん)と出会う。俊は、取り壊しが決まっている古いクラブハウス(文化部男子の部室棟)“カルチェラタン”を守る活動に没頭しており、俊に憧れる妹と共にカルチェラタンを訪れた海は、俊から新聞作りの手伝いを頼まれ、少しずつ距離を縮めていく。
だが、俊はあることをきっかけに急によそよそしくなる。いままで通りただの友達でいようといわれた海は深く落ち込むが……と展開する。
劇中にはフランス語にまつわる言葉が多く登場する。
タイトルにも使われている「コクリコ」とは、フランス語で「ひなげし」のこと。花言葉は「思いやり」「いたわり」など。ちなみにタイトルの「コクリコ坂」は実在しない。
また、「カルチェラタン」はパリにある地名。ソルボンヌ大学などがあるパリを代表する学生街で、「ラテン語(ラタン)を話すような教養のある学生が集まる地区(カルチェ)」を表している。
海が劇中で「メル」というあだ名で呼ばれることがあるが、「メル」はフランス語で「海」、またはスペル違いで「母」という意味もある。
「コクリコ坂から」は、高校生の青春恋愛ストーリーとはいっても一筋縄ではいかない話だ。俊が海と異母きょうだいではないかと思い悩む場面があるなど、親世代の物語も描かれる。吾朗監督は公開当時、「『コクリコ坂から』を通して、僕は過去の中から未来が生まれるのだということを教えられた気がする」と話していたが、そんな何世代にもわたる物語を放送でも堪能したい。
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