解説:「ブギウギ」で事件発生! 朝ドラの可能性を広げた?“高橋刑事”内藤剛志の存在感

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で刑事の高橋を演じる内藤剛志さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で刑事の高橋を演じる内藤剛志さん (C)NHK

 趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第24週では、スズ子(趣里さん)の8歳の娘、愛子(このかちゃん)の誘拐未遂事件が描かれた。捜査のため、内藤剛志さん演じるベテランの高橋刑事が登場すると、視聴者の間では「朝ドラが一瞬で刑事ドラマの様相に」と話題になった。高橋刑事が登場する一連のシーンの舞台裏や、演じた内藤さんの存在意義、朝ドラの可能性などについて、制作統括の福岡利武さんの言葉をもとにひもといた。

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 ◇刑事役で真っ先に浮かんだのが内藤剛志だった

 第24週では、スズ子の自宅に、3万円払わなければ愛子を誘拐するという脅しの電話がかかってくる。やがて、スズ子の家に3人の刑事がやって来て、内藤さん演じる高橋刑事が陣頭指揮を執り、捜査が進められた。

 脅迫した小田島(水澤紳吾さん)は、受け渡し役のスズ子のマネジャー、タケシ(三浦りょう太さん)の抵抗に遭い、金の受け取りに失敗、逮捕される。高橋刑事は取り調べの際、自分で先にカツ丼を食べ始めると、うらやましそうにながめる小田島に、「償ったら心を入れ替えて働くんだぞ」と優しく声をかけ、特上のカツ丼を振る舞った。

 内藤さんは、2004年度後期の「わかば」以来、19年ぶりの朝ドラ出演。これまでに「警視庁・捜査一課長」「科捜研の女」(ともにテレビ朝日系)など数々のドラマに刑事役で出演しており、内藤さんといえば刑事役というイメージを持つ人も多い。

 福岡さんは、誘拐未遂事件について「もともと(スズ子のモデルとなった)笠置シヅ子さんの本に書かれていまして。(ドラマのように犯人は)近所の人ではないんですけれど、娘を誘拐すると言ってお金を要求してきて、すごく怖い思いをしたと」と史実をもとにしていると語る。

 ドラマでは「今後、犯人の小田島とスズ子との関係が描かれるのですが、そこを含めて、(誘拐未遂事件は)挑戦したいエピソードということで盛り込みました」といい、刑事役については「ここまでくればこの事件を全力で楽しむ方法を、ということで思い立ったすぐ先に浮かんだのが内藤さんだった」と明かす。

 現場で、内藤さんは「(大阪での撮影で)ご出身ということもあり、とても楽しんでいただいた」という。

 「内藤さんはもちろんお芝居は確かですし、しっかり任せられる方。事件の空気感、刑事ものの空気感は得意な領域でもあるので、良い意味でリラックスして、スタッフや趣里さんとも話して、いろいろアイデアを出されていました。アドリブもたくさん入ってます」と語る。

 ◇高橋刑事が先にカツ丼を食べる展開に「ひっくり返った」

 第115回(3月14日放送)では、取り調べ室でカツ丼が出てきて、犯人に食べさせるベタな展開かと思いきや、高橋刑事がまず自分で食べ始めるという意外性のある場面があった。これは、足立紳さんが書いた台本にしっかり描かれていた。

 「僕も台本を読んでひっくり返りました。笑いましたね。台本で“高橋、おもむろにカツ丼のふたを開けると食べ始める”と。足立さんのユーモアといいましょうか、高橋刑事がおなかがすいてたから自分で食べるという(笑い)。(そのあと小田島に出された)特上のカツ丼がとてもおいしそうで、逆に泣けてくる」

 福岡さんは「スタッフもみんなひっくり返りました。撮影現場でも大分不思議な空気になった」と笑いながら振り返る。

 「警察指導の方に、当時、取調室でカツ丼を振る舞うことはあったのかと尋ねると、『ないこともないですよ』と」というが、「(取り調べの刑事が先に食べる)『この展開は見たことがありませんね』と真剣な表情をしつつも、とても楽しそうに見ていました」と明かした。

 ◇「朝ドラで刑事もの、いけるんじゃないか」と確信

 内藤さんが登場する一連の事件捜査の場面は、刑事ドラマやサスペンス調のアングル、雰囲気のシーンも多く、「一瞬見ている番組を間違えた?」という声もあった。

 福岡さんは「僕はこれを見て、『朝ドラで刑事もの、いけるんじゃないか』と思いました。もともと朝ドラは、職業ものとは相性がいい企画だと思っていたんですけれど、刑事もので朝ドラはありだなと強く思いました。今週の放送を通して面白いということが証明されたので。毎週事件が起こって、捜査員が現れて……ぜひ企画してみたいと思います」と朝ドラの未来について、思いをはせていた。

 3月18日から始まる第25週では、スズ子の前に若手スター歌手が現れる。本編は残り10回となったが、歌手としてのスズ子の思いを、最後まで見届けたい。

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