10月クールのドラマも出そろい、序盤の評価も固まりつつあるが、中でもテレビ朝日の作品のキャスティングが話題を呼んでいる。NHKの連続テレビ小説（朝ドラ）や大河ドラマに出演して話題のキャストを多く起用しているのだ。ここでは、NHKの作品から“転生”した人たちを紹介したい。

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　◇「光る君へ」の行成、「転生しても間に挟まれちゃう」と話題に

　まずは、約2年ぶりの続編となった「ザ・トラベルナース」（木曜午後9時）で主演する岡田将生さん。9月まで放送されていた朝ドラ「虎に翼」で、主人公の寅子（伊藤沙莉さん）の二人目の夫（事実婚）である航一を演じていた。「虎に翼」には最終回まで登場しており、年老いた白髪姿も見せたが、翌月からは、優秀ではあるがプライドの高いイケメンナースに“転生”した。

　「虎に翼」出演者で、「ザ・トラベルナース」でもメインキャストを務めている人がもう一人。前作には出演しておらず、今作から加わった森田望智さんだ。「虎に翼」では主人公寅子の親友で義理の姉・花江を演じ、視聴者から“花江ちゃん”の愛称で人気を博していた。花江はしっかり者で、家族を支える屋台骨的な人物だったが、「ザ・トラベルナース」で演じる新米ナースの柚子は、仕事は遅く、ふてぶてしさもある人物。キャラの違いに視聴者からSNSでは「別人すぎるよ花江ちゃん」「花江ちゃんと全然違う」といったコメントも見られた。

　また、ゲストではあるが「ザ・トラベルナース」の第2話には、「虎に翼」で岡田さんと親子役で共演していた井上祐貴さんが出演。“トラつば親子”が、今度はナースと患者として、新たな物語を紡いだ。

　「ザ・トラベルナース」には、大河ドラマの出演者も。森田さんと同じく、今作から加入した渡辺大知さんだ。佳境に入っている「光る君へ」に、書道に優れた「三蹟」の一人としても名高い藤原行成役で出演中。「ザ・トラベルナース」には外科医の小山を演じているが、第2話（10月24日放送）で組織と上司の間で葛藤する姿が行成と重なった視聴者もおり「転生しても間に挟まれちゃうのね」「こっちでもヤバい上司おるやん……かわいそう」「現世に転生して医者になっても似たようなポジションで、むしろ現世の方が胃が痛そうな件」といった声が上がっていた。

　ちなみに「ザ・トラベルナース」に前作から出演している野呂佳代さんも、「光る君へ」に出演していた。序盤の序盤だったので忘れてしまっている視聴者もいるかも知れないが、道長（柄本佑さん）の従者・百舌彦（本多力さん）と逢瀬を楽しむ町娘として登場していた。

　◇1000年の時を超え、従者が帝にダメ出し

　「無能の鷹」（金曜11時15分、一部地域を除く）にも“転生者”が。主人公の鷹野（菜々緒さん）の相棒ポジションである鶸田（ひわだ）を演じている塩野瑛久さん。既に物語からは退場したが「光る君へ」では聡明な一条天皇を演じていた。美しく心優しい帝から、もっさりヘアでいざとなるとおなかが緩くなる“ひ弱男子”鶸田とのギャップは衝撃的で、SNSでは「顔の美しさは変わらないのにここまで違うとは」「塩野さん、変幻自在すぎる」「帝やってる時の高貴さと美しさが完全に消えてる」と話題になった。

　「光る君へ」とギャップのある人はもう一人、井浦新さんだ。「光る君へ」では、どんどん権力に染まっていき、民を顧みないダークな人物になった藤原道隆を演じていたが、「無能の鷹」では、衝撃的に無能である鷹野をひたすら温かく見守る優しい上司・鳩山を演じている。鳩山という名の通り、作中きっての“癒やしキャラ”として人気を博している。

　ゲストではあるが「無能の鷹」第3話（10月25日放送）には、百舌彦役の本多力さんもゲスト出演。取引先の社長役での出演で、SNSでは「百舌彦が一条天皇にめっちゃ偉そうな口の利き方しててワロタ」「百舌彦が一条帝にダメ出ししてた」「百舌彦が上座！　これが1000年の時を超えることか……」などと話題になった。

　個性豊かなキャラが数多く登場する「無能の鷹」だが、オレンジヘア＆パーカー姿で存在感を放っているのが、エンジニア・鵙尾（もずお）を演じている土居志央梨さん。「虎に翼」で“よねさん”の愛称で人気だった男装の弁護士を演じていたが、その“激変”ぶりに視聴者は仰天。「よねさんに全然気付かずww」「よねさん演じてた人とは思えないww」といった声が続出した。

　ちなみに今作で土居さんにインタビューした際、役のイメージを固定したくないから、振り幅の大きい役のオファーを受けたのか聞いたところ「タイミングです。どんな役でもどんな作品でもありがたいので、たまたまビジュアルから何からすべて違う役をいただけたのはありがたいです」との答えだった。

　「無能の鷹」で“老害になり果てた男”という残念な肩書を背負っている営業部部長・朱雀（すざく）を演じている高橋克実さんも「虎に翼」に出演していた。新潟編で主人公寅子の前に立ちはだかる弁護士・太郎を演じていたが、今作の朱雀も、太郎に負けず劣らずくせのある役。さすがの演技力で表現している。

　また、朝日放送制作ではあるが、「マイダイアリー」（ABCテレビ・テレビ朝日系、日曜午後10時15分）には、「光る君へ」での中宮彰子の好演で話題の見上愛さんが出演中。同じ日曜夜に、平安の姫と令和の大学生を演じている。

　配信サービスの影響もあって、以前と比べてドラマは増加しており、人気キャストの掛け持ちや連続出演も格段に増えている。数ある楽しみ方の一つとして、キャスティングに注目し、“転生者”に思いを巡らせてみては。