緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
NHKの夜ドラ「いつか、無重力の宙(そら)で」(総合、月~木曜午後10時45分)で、日比野ひかりを演じる森田望智さん。ドラマは「超小型人工衛星」で宇宙を目指す、30代女性たちの2度目の青春物語で、ひかりは、自分の「好き」を探求し、周りの空気や世間の常識に惑わされず、我が道を突き進むパワフルさがある、いつも明るく前向きで“太陽”みたいな人だ。森田さんが役について語った。
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ドラマには、高校時代に「一緒に宇宙に行こう」と夢を語り合った天文部の女性4人が登場する。大人になってそれぞれの道を歩む中、ふと忘れていたかつての夢と再会。「超小型人工衛星だったら、今の私たちでも宇宙を目指せるかもしれない……」と、“あの頃”の自分に背中を押されて、2度目の青春が始まる……という内容。
高校時代は飛鳥(木竜麻生さん)と一緒に天文部を立ち上げ、「宇宙飛行士になりたい」という夢をひたすらに追いかけ続け、「変わり者」と言われることもあるが、本人は全く気にしていないひかりについて、森田さんは「強さと、諦めない気持ちをずっと持ち続けている人」と感じている。
「ひかりは高校生のときから宇宙に憧れて、大学で航空宇宙学を学び、JAXAに就職したという設定ですが、並大抵の努力ではかなえられなかったと思います。以前、宇宙飛行士の米田あゆさんが座右の銘にされているという『自分が歩んだ道を正しい道にする努力をしなさい』という言葉を目にしたとき、『やっぱり、そういうマインドを貫ける人しか宇宙飛行士にはなれないんだな』と痛感しました。地球から遠く離れた宇宙って、生と死の境みたいな場所ですから。ひかりは、多くの人が『普通これぐらいじゃない?』と無意識のうちに決めてしまっているラインを、全部突破できる人だと思います」
また森田さんは「好きなものを真っすぐに『好き』と言えるのが、ひかりの強さ、とも考える。
「人が何かを好きになったり、夢中になったりするときって、多少なりとも『これなら自分に合っているかも』という考えが頭をよぎると思います。でもひかりには、宇宙しかない。宇宙が好きすぎて、実現の可能性があるかどうかなんて関係なく、宇宙以外の選択肢が見えていないんです。それくらい、ひかりのなかで宇宙という存在が突出しているんですよね。『宇宙への夢がなければ生きていないのと一緒』というか」
一方で、宇宙への夢を抱きながら、病気になってしまうひかりの複雑な内面をどう表現したのか。
「私がもし病気が理由で長年の夢を諦めなくてはならないとなったら、壁にぶち当たって、落ち込むだろうなと思います。ひかりはそういう壁を打開する力がある人で、その『芯』を変わらず持ち続けるように心がけました」
まや、ひかりの強さの理由は「もともと持っている性格に加えて、病気になったからこそ生まれた感情にもある」と話す。
「ひかりの役作りをするときには、私が現実世界で出会った『すてきだな』と思う方々の姿を思い浮かべました。私は『乗り越えてきた人たち』に魅力を感じます。そういう人たちは、痛みを知り悲しみを負ったからこそ、人の気持ちが分かって、凛とした力強さを持っている。強さと優しさってイコールだと思うんです。ひかりはその二つが備わっている人。技術的な細かいことは考えずに、ひかりとして生きて、ひかりの強さと優しさから見え隠れする感情が伝わればいいなと思いました」
宇宙飛行士への夢を断念したひかりは、かつての友に会いたいと、13年ぶりに飛鳥の前に現れた。ドラマには飛鳥、ひかりの天文部の仲間・水原周役で片山友希さん、木内晴子役で伊藤万理華さんが出演している。
「4人のシーンは撮影していて楽しくて、本当にそれぞれの役柄にしか見えないです。木竜麻生ちゃん、片山友希ちゃん、伊藤万理華ちゃんとは『前から友達だったかも』と思ってしまうぐらいフィーリングが合います。こんなに奇跡的にバチッとくることって、なかなかないですよ」
天文部の仲間のほかの3人のことが「大好きだからこそ心配させたくない、悲しませたくないと願うひかりがとった“ある行動”が物語の鍵になっていく」とも明かす森田さん。最後に今作の魅力についても語った。
「大人になると、いろいろと現実的な問題がでてきて、なかなか好きなことだけを追求するのが難しくなってきますよね。それでもひかり、飛鳥、周、晴子は人工衛星への夢を追い続けます。何かを始めるのに『遅い』ということはない。やろうと思えば年齢を問わず同じ純度で夢を追いかけることができる。そんな気持ちにさせてくれる作品です」
ひかりを演じながら「やりたいことがあるんだったら、今やらなきゃだめだよ」と言われている気がした、とも。
「自分ひとりの頑張りだけではどうにもならないことも、みんなの力を持ち寄れば実現できることがあるし、探せばきっとそれぞれの居場所はあるはずです。このドラマが、見てくださった皆さんにとって『あ、私ちょっとこれやってみたかったかも』『これ好きだったはずだよね?』という気づきのヒントになることができればうれしいです。大きなことでなくてもいい、『小さな気持ちの選択肢』が増えたらいいなと願っています」
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