ばけばけ:トキと銀二郎が東京で“ランデブー”を楽しんだ第19回の注目度 「ずっと続け」と願う視聴者の思いがデータに反映?

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第19回(10月23日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時13分の74.4%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇やや低調な序盤から中盤 

 松江でまた一緒に暮らしたいトキ(高石さん)と、東京で夫婦をやり直したい銀二郎(寛一郎さん)。トキと銀二郎は東京で再会を果たしたものの、2人が描く未来は異なったままだ。第19回は、そうした違いを互いに詰め切ることができない2人の関係が丁寧に描かれた。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、序盤からずっとやや低め。中盤以降は少しずつ上昇するが、60%台後半止まりが続く。序盤は、大事な試験の前日、眠れない錦織友一(吉沢亮さん)とトキが語り合う場面から始まり、試験当日の朝に錦織をトキらが見送る場面へと続く。

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 中盤は銀二郎がトキに、錦織の事情を説明した後、仕事に向かう場面や、勘右衛門(小日向文世さん)がタエ(北川景子さん)を訪ね、トキが東京から帰らない可能性を報告する場面が描かれた。

 試験に向かう錦織に、トキが弁当を手渡すシーンで、少し動揺した表情を見せる銀二郎。自分が仕事に向かう直前、トキから弁当を渡され、「よかった」とほっとした表情で笑顔を見せる。「錦織さんだけかと思った」と言う銀二郎に、「そげな、夫婦なんですから」と笑うトキ。2人の微笑ましい場面だったが、放送された午前8時7分台の注目度は67.9%だった。

 ◇終盤の4分間はずっと70%超 最高値は午前8時13分の74.4%

 だが、終盤に入ると一転、午前8時11分から14分までずっと注目度は70%超に浮上する。4分間も継続し、71~74%台の高い状態が続くのは、そんなにあることではない。ピークは午前8時13分の74.4%だった。

 午前8時11分以降は、トキが東京の街を散策する場面。見知らぬ男性にぶつかり、転倒したトキはその男性から「おわびに、アイスクリンでもご馳走しましょう」としつこく絡まれる。困っているところに、人力車を引いた銀二郎がたまたま駆けつけ、2人は甘味を食べたり、神社を参拝したりと、見合いの時に清光院に行って以来の楽しいひとときを過ごす。

 ピークとなった午前8時13分台は、銀二郎の人力車で下宿に戻ったあたり。トキが「楽しいランデブーでございました」と言うと、最初は「ランデブー」の意味を知らなかった銀二郎も「久しぶりのランデブーでしたね」「また行きましょう、ランデブーに」と返す。銀二郎の手を借り、トキは人力車を降りる。幸せなランデブーの時間の頂点だったシーンだろう。

 続く午前8時14分台。銀二郎に向かい合ったトキは「私……銀二郎さんと……夫婦2人で、東京に……」と言いかけるが、そこに客引きの男性が割り込んできて「当節随一の怪談落語『牡丹灯籠(ぼたんどうろう)』が今ならすぐに見られるよ!」と声を掛けてくる。大事な話をトキは最後まで伝えきれなかった。銀二郎は「給料が入ったら一緒に聴きに行こう」とトキと約束する。

 銀二郎はトキが何と言いかけたかはわかったはずだ。「給料が入ったら一緒に聴きに行こう」という答えも、それに呼応する彼なりの答えなのだろう。借金のために働き詰めだった2人の新婚夫婦らしい「ランデブー」の4分間。視聴者の視線も、この貴重な一瞬一瞬を見逃さないよう、ずっと注視していたのかもしれない。仲睦まじい2人の関係が「ずっと続け」と願いながら見ていたことだろう。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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