高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ばけばけ」（総合、月～土曜午前8時ほか）の第22回（10月28日放送）で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか？　テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」（REVISIO社調べ、関東地区、速報値）の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時11分の74.5％だった。

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　「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン（小泉八雲）だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

　◇興味の赴くまま、松江の街を歩き回るヘブン　注目度は70％超を安定飛行

　第22回は、ついにアメリカから英語教師レフカダ・ヘブン（トミー・バストウさん）が松江に上陸。大興奮の観衆の中、知事の江藤（佐野史郎さん）や通訳として呼ばれた英語教師、錦織（吉沢亮さん）が出迎える。初めて訪れた日本に興味津々のヘブンは、勝手に松江の街を歩き回り、あちこちで“騒動”を巻き起こす。

　テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、この日も比較的高めの状態が安定して続いた。自由気ままで、何をしでかすかわからないヘブンに錦織は振り回されるのだが、視聴者もヘブンの一挙手一投足に視線がくぎ付けになっていたようだ。

　第22回のドラマ開始後まもない、午前8時2～4分の3分間にさっそく注目度は70％超。ピークは午前8時2分の71.7％だった。

　午前8時2分台は、上陸したヘブンが知事の江藤にあいさつを始めたあたりから。集まった人々へのスピーチを求められ、話し始める。「神々……の国……松江……来て、うれしい」。江藤も日本語を使って人々の心をつかむ様子に大喜びの様子だ。

　集まった人々からも「ヘブン」コールが起こり始める。午前8時3分から4分台は、盛り上がった群衆がヘブンらに押し寄せ、収集が付かない状態に。たまたまヘブンの近くに押し出されたトキ（高石さん）はヘブンに握手してもらう。

　この後、オープニングをはさみ、ドラマは午前8時6分台から再開。いったん下がっていた注目度もすぐに上昇し、午前8時8分に71.9％を記録する。

　ヘブンは歓迎式典の会場に向かう人力車に乗らず、三味線の音色に引かれ、遊郭の方へとふらふらと歩き出す。午前8時8分台は、帰宅中のトキとサワ（円井わんさん）が、遊郭の前でヘブンと話すことになる場面。三味線の演奏を外から眺め、音楽ホールかと尋ねるヘブンだが、トキやサワとは言葉が通じない。日本語で「なまえ？」と聞かれた2人が「天国町の遊郭」だと必死に伝えようとするうち、たまたま「天国＝ヘブン」ということにサワが気付き、ヘブンも自分の名前と同じと喜ぶ。そんなヘブンとトキが接近するエピソードのような場面だった。

　◇最高値は午前8時11分の74.5％　前日に続き“サムライ”勘右衛門が活躍

　注目度は午前8時9分台でわずかに下がるが、午前8時10分からラストの午前8時14分台まで70％超が続く。ピークは午前8時11分の74.5％で、第22回全体でも最高値だ。

　ヘブンは錦織の求めに応じ、遊郭の一帯から人力車に戻ろうとするが、何かを見つけ、逆方向にふらふらと歩き出す。見つけたのは「サムライ」。ピークの午前8時11分台は、その「サムライ」が勘右衛門（小日向文世さん）だったことが分かったあたりから。「本物だ」「会いたかった」とヘブンは近づくが、勘右衛門は木刀を手に取り、「覚悟！」といきなり斬りかかる。必死に止めるトキとサワ。そんな状態でもヘブンは「サムライ、すごい！」「素晴らしい！」とどこ吹く風だ。前日の第21回に続き、変わらぬサムライぶりを見せた勘右衛門。注目度も2日続けて、勘右衛門が斬りかかる場面が注目度のピークだった。

　その後、ヘブンは用意されていた旅館ではなく、自分が気に入った花田旅館に泊まると言って、錦織を困らせる。最後まで振り回されっぱなしの錦織だった。

　活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。（文・佐々本浩材／MANTAN）