ばけばけ:トキのモデル・小泉セツは“ラシャメン”だった? “覚悟の第6週”で制作統括が描きたかったこと「逃げずに正面から向き合っていきたい」

連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK

 高石あかりさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(月~土曜午前8時ほか)。第30回(11月7日放送)の終盤では、トキ(高石さん)が錦織(吉沢亮さん)に、ヘブン(トミー・バストウさん)の女中になると告げるシーンが描かれた。第6週を通して、『どっちもできる女中』などセンシティブな表現も登場したが、このような内容を朝ドラで描くにあたって、意識したことはあるのだろうか。今作で制作統括を務める橋爪國臣さんに聞いた。

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 第30回では、ヘブンは錦織と一緒に借家へ引っ越しをしていた。新居に満足気なヘブンだったが、いまだ女中が決まらないことに、いらだちをおぼえる。一方、三之丞(板垣李光人さん)と再会したトキは、松江を離れたはずのタエ(北川景子さん)と三之丞が再び戻ってきた経緯を聞くことになる。その帰り道、物乞いをするタエを再び目にし、いたたまれない気持ちになったトキは何か考え込むような表情を見せる。翌朝、覚悟を決めたトキは、錦織に「ヘブン先生の女中になります」と告げるのだった。

 橋爪さんは「朝ドラなので、子どもたちも見ている番組ですし、“分かる人には分かる”線を攻めなければいけないので、言葉遣いには気を付けて作りました」と話す。

 「脚本のふじきみつ彦さんが笑いを交えて表現するのが得意な方なので、面白く書いていただけているなと思います。直接表現しない良さもあるし、『どっちもできる女中』は江藤知事(佐野史郎さん)のせりふですが、偉い人たちは本当のことは明言せずに、どっちとも取れるような言い方をする。そういうキャラ付けにもなっていると思います」

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 ヘブンの女中になることを引き受けることで、“ラシャメン(異国人の妾)”になる覚悟を決めたトキ。橋爪さんは「トキのモデルとなった小泉セツさんが本当にラシャメンだったのかは、記録に残っていないのでよく分からないんです」と明かす。

 「資料の中には、ラシャメンだったのではと読み取れるものもありますが、小泉家にとっては隠したかった歴史だと思いますし、小泉八雲のご子息の一雄さんが書かれた『父小泉八雲』には、清廉潔白だったと書いてあります」

 これまで触れられることのなかった史実に踏み込むストーリー展開となったが、橋爪さんは「本当に清廉潔白で、好きだから結婚しました、王子様が来ました、というドラマにするつもりはありませんでした」と語る。

 「この時代、いろんな苦労もあった中で生きていかなきゃいけない。その中に恨めしさも素晴らしさもある。なので、この生き様をそのまま描くことは、とてもこのドラマのテーマを伝える上で重要だと思いました。(小泉八雲のひ孫の)小泉凡さんにもお話をして、『そういうふうに書いてもいいですか?』と確認したら、凡さんも『資料を見る限りそうだと思うし、その重要性はとても理解できるのでぜひ書いてください』とおっしゃってくださいました」

 ドラマの舞台・松江市出身で、小泉八雲の朗読をライフワークとして続ける俳優の佐野史郎さんは、本作には知事の江藤役で出演しているが、第6週の台本を読んだ際には「これは攻めたね」と驚いていたという。

 橋爪さんは「佐野さんと30分くらいお話をしましたが、『今までみんな知ってたけど隠してきたことだよ』とおっしゃっていました。そこから逃げずに正面からちゃんと向き合っていきたいなと思いました。覚悟が詰まった第6週です」と振り返っていた。

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NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人物紹介図 (C)NHK
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人物紹介図 (C)NHK
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人物紹介図 (C)NHK
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人物紹介図 (C)NHK
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の人物紹介図 (C)NHK
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