前作「そこのみにて光輝く」(2014年)が、モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど高く評価された呉美保監督の4作目「きみはいい子」が27日から公開される。中脇初枝さんの短編集から3編を抽出し、「そこのみにて光輝く」の脚本家・高田亮さんが一つにまとめあげた。高良健吾さん、尾野真千子さんを軸に実力派の俳優たちが集まり、印象に残るエピソードをつむいでいく。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
小学校の新米教師、岡野匡(高良さん)は、やんちゃ盛りの生徒たちに手を焼く毎日。その日も、生徒のいたずらをわびるために独り暮らしの老女・佐々木あきこ(喜多道枝さん)の家を訪れていた。一方、夫が単身赴任中の水木雅美(尾野さん)は、3歳になる娘あやね(三宅希空ちゃん)と2人暮らし。雅美は日頃から募ったイライラを娘にぶつけていた……というストーリー。
それぞれに悩みを抱え同じ町で暮らす人々が、さまざまな局面で交差しながら、やがてささやかな幸せを見いだしていくまでを描く。ほかに、池脇千鶴さんや高橋和也さん、富田靖子さんらが出演。彼らが演じる役柄がどういう関係なのかはすぐには分からず、それがおいおいつかめていく展開が絶妙だ。幼児虐待、いじめ、老人の孤独など、決して軽い話ではないが、そこには間違いなく“救い”がある。それはおそらく、人間の優しさや愛を信じたいという原作者の中脇さんと、呉監督をはじめとするスタッフの心模様が編み込まれているからだろう。登場人物のせりふや仕草が心にしみる。抱き締めるという行為、理解するという行為、相手の心の叫びに耳を傾けるという行為……こうしたことがより合わさっていけば、世の中はもっと幸せになるだろうに……そんなことを考えさせられ、印象に残る作品となった。27日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
俳優の長澤まさみさんが「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」などで知られる矢口史靖監督とタッグを組んだ映画「ドールハウス」が2025年初夏に公開されることが明らかになった…
ディズニー&ピクサーが手がける新作アニメーション映画「星つなぎのエリオ」が2025年夏に日本公開されることが12月18日、明らかになった。同作は今年春に公開予定だったが昨年、公開…
現代の渋谷に転生した諸葛孔明を向井理さんが演じて人気を博したドラマ「パリピ孔明」が「パリピ孔明 THE MOVIE」(渋江修平監督)と題して映画化することが明らかになった。孔明役…
12月16日に発表された13~15日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)によると、人間の細胞を擬人化したキャラクターが登場する清水茜さんの人気マンガを実写化した「はたらく細…