2012年に出版され、テレビドラマ化や教科書に掲載されるなどした実話エッセーを映画化した「はなちゃんのみそ汁」(阿久根知昭監督)が19日から公開される。結婚、妊娠、出産の間にがん患者となった女性と、愛する家族との大切な日々を丁寧に描き出している。ヒロインを広末涼子さん、その夫役を滝藤賢一さんが演じた。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
千恵(広末さん)は、新聞記者の信吾(滝藤さん)の猛烈なアプローチによって交際をスタート。乳がんの発覚を乗り越えて2人は結婚した。やがて娘・はな(赤松えみなちゃん)に恵まれる。妊娠・出産をするとがんの再発リスクが高まる危険があったが、葛藤の末に出産を決意した千恵。生まれた娘はすくすくと育っていく。やがて、がん転移が見つかり、千恵は自分がいなくても家族が生きていけるようにと、はなにかつお節を削って作るみそ汁の作り方や、洗濯物のたたみ方などを教えていく。夫や家族に支えられて穏やかな日常が続いていたが……という展開。
がん患者が書いたエッセーから日常の大切さが感じられる温かな家族ドラマを抽出した。広末さんは病気でつらそうという表情はあまりなく、がん治療を前面に押し出さずに描いたところに好感が持てる。前向きに生きた千恵のはつらつとした表情と九州の女性の強さ……。支える夫も加わり、映画が明るいものになった。喜んだり、がっかりしたり、泣いたりと感情豊かに演じた滝藤さんがとてもユーモラス。そして、オーディションで選ばれたという演技経験ゼロのはな役・赤松えみなちゃんを加えて、広末ママとほのぼのとした家族を生み出している。
「食べる」という命の基本を娘に託す母親の姿がたくましく、並んで弁当を食べるシーンもほほ笑ましい。大げさな演出をせず、日常の一コマ一コマをつづることで、命の大切さを伝えてくる。一家が住む福岡の空気を感じさせる映画になったのは、同郷の阿久根監督ならではだろう。阿久根監督が脚本を書いた「ペコロスの母に会いに行く」(2013年)で主題歌を担当した一青窈さんがヒロインの姉役で出演し、主題歌「満点星」も歌っている。テアトル新宿(東京都新宿区)と福岡県内で19日から先行公開。2016年1月9日から全国拡大公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。BS12で放送の昭和のドラマ「女と味噌汁」も楽しみ。
東宝の2025年の配給作品ラインアップ発表会が12月23日、TOHOシネマズ 日比谷(東京都千代田区)で行われ、2024年の興業収入などが発表された。市川南取締役専務執行役員は、…
2012年から7シリーズにわたって放送されたテレビ朝日系の人気ドラマの完結作となる映画「劇場版ドクターX」(田村直己監督)のクランクアップ写真が公開された。主演の米倉涼子さんをは…
俳優の米倉涼子さんが12月22日、東京都内で行われた主演映画「劇場版ドクターX FINAL」(田村直己監督)の“舞台あいさつFINAL”に登場。イベント終盤にあいさつを求められた…
花沢健吾さんのマンガが原作の映画「アンダーニンジャ」(福田雄一監督、2025年1月24日公開)の新キャストが発表された。津田健次郎さんが、謎の存在「アンダーニンジャ(UN)」の声…
木村拓哉さんが12月21日、歌舞伎町シネシティ広場(東京都新宿区)で行われた、主演映画「グランメゾン・パリ」(塚原あゆ子監督、12月30日公開)のレッドカーペットイベントに登場。…