松下奈緒:被災地・大船渡の今を「伝える懸け橋に」

ドラマ「恋の三陸 列車コンで行こう!」に主演する松下奈緒さん=NHK提供
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ドラマ「恋の三陸 列車コンで行こう!」に主演する松下奈緒さん=NHK提供

 女優の松下奈緒さんが主演する連続ドラマ「恋の三陸 列車コンで行こう!」(NHK総合)が、27日からスタートする。震災から5年の節目を迎える被災地・岩手県大船渡市を舞台に、恋に、仕事に、力強く生き抜く人々の姿を描くストーリー。ドラマを通じて「大船渡がどういう場所で、そこに生きる人たちがどのように頑張っているのか、お伝えできる懸け橋になれたら」と語る松下さんに、作品の魅力や撮影舞台裏を聞いた。

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 ◇現地で感じた大船渡の魅力

 「お話をいただいたときは、震災から5年の今年、被災地のお仕事に携われることをうれしく思う半面、すごくデリケートな部分でもあるので、不安も少なからずありました」と明かす松下さん。しかし、「台本をいただいて、自分が想像していたものを超えた面白い作品でしたし、また実際にロケで現地に行ったことで、その思いはどんどん変わっていきました」と続ける。

 「復興のためのトラックがバンバン走っていて、工事がたくさん行われていた」と現状を語る一方で、「大船渡はすごくきれいな景色がたくさんありました。美しい朝日や、活気のある漁港……。それから、そこに暮らす人たちは、自分たちのことを“ラテン”とおっしゃっていたんですが、明るいし、お祭り好きで。変わってしまった部分もあるのですが、そこにいる人たちは、変わらないんだなあっていうのを間近で感じました」と同地で発見した魅力を語る。

 ◇方言と和太鼓に挑戦

 その上で、「実際に大船渡に行ってみて、その場所にいる方たちと会ったり、その場所のものをいただいたりしたときに初めて役作りがスタートしました」と話す松下さん。

 大船渡に生きる等身大の女性を演じるため、今作では、地元の方言に挑戦。「勢いだったり、濁音だったりを大切に演じました。優しい雰囲気なんですけど、気質は明るく、ちょっとパキッとした感じなので、そのバランスは難しいなと思いました」と苦労を語りつつ、「でも、方言でしゃべると、それだけで役が近づいてくる感じがしましたね」とにっこり。

 また、郷土芸能である和太鼓の演奏シーンにも参加しており、「撮影の1カ月前から練習を始めて、撮影中は地元の高校生たちと一緒に練習していたんですが、みんなめちゃくちゃうまいし、その中ではどうしても浮いちゃうので、すごく苦労しました。でも、みんなと一丸になれたなあ、という思いがして。いい経験になりました」と充実した表情を浮かべる。

 ◇ラブストーリーも見どころ

 今回、松下さんが演じるのは、西大船渡市役所の地域振興課に勤務する主人公・岩渕由香里。男女の出会いの場を提供するイベント「列車コン」を開いていたさなか、由香里は、不審な男を発見する。その人物は、震災で行方不明になってしまった姉・彩佳の夫で、その後、奇妙な同居生活が始まる……という物語。由香里の義兄を安藤政信さん、由香里の母を松坂慶子さん、由香里の同僚をお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山崎静代さんが演じている。

 ドラマでは、大船渡の魅力が映し出されるのと同時に、由香里のラブストーリーも描かれており、そこで登場するのが地元のB級グルメ「さんまラーメン」。突然、大船渡に現れた東京の大手銀行で働く義兄・達也が、「NEOさんまラーメンを作る」と言い出したことで、由香里もラーメン作りを手伝うはめになり、2人で試行錯誤を重ねるうち、お互いの距離も縮まっていく。

 ◇幸せはすぐそばにある

 「由香里のお父さんはもういなくて、お姉ちゃんも行方不明。由香里はお母さんを守らないといけない、そして仕事として、この町を守らないといけないっていうどこか責任感があって、しっかりしないといけないとダメなんだと思っている女性。でも、達也さんとどんどん新しいことにトライしたり、恋心が芽ばえて変わっていく」と語り、自身の演技について、「そこで今まで家族に見せたことのないような表情や言葉を出せるように頑張っています。その瞬間をぜひ見ていただけたら」とアピールする。

 そして、「由香里の姿を通じて、幸せってすごくそばにあるんだなっていうか、今まで頑張ってきたことがいつかは実になったり報われたりする……ということを感じていただければ。一番に、由香里を身近に感じていただけたらうれしいですね」と笑顔で語った。

 ドラマは、NHK総合で27日から全3回、毎週土曜午後10時(第3回のみ午後10時15分)に放送。

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