スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース:話題作に参加した日本人アニメーター 日本のアニメの影響も 限界に挑戦した映像

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のビジュアル(c)2023 CTMG.(c) & TM 2023 MARVEL. All Rights Reserved.
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「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のビジュアル(c)2023 CTMG.(c) & TM 2023 MARVEL. All Rights Reserved.

  米マーベルコミックスの人気キャラクター・スパイダーマンの劇場版アニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」が、6月16日に日本で公開される。前作は、第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞に選ばれた大ヒット作で、アメコミをそのままアニメにしたような革新的な映像表現が話題になった。「アクロス・ザ・スパイダーバース」のエンドロールを見ると、さまざまな国、地域のクリエーターが集結しているようで、日本人クリエーターの名前も見られる。その一人が、CGアニメーターとして参加した園田大也さんだ。園田さんに同作の制作の裏側を聞いた。

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 ◇制作現場の人種はバラバラ 新しい表現を目指す

 園田さんは「モンスターズ・インク」を見たことをきっかけにCGアニメーターを目指し、学生時代にほぼ独学でCGを学んだという。大学卒業後、日本のゲーム会社で3年ほど勤務した後、2015年にカナダに渡り、ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスを経て、現在はカナダ・バンクーバーのディズニーアニメーションスタジオに所属している。前作「スパイダーバース」のほか「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」「ジェイコブと海の怪物」などに参加してきた。

 「アクロス・ザ・スパイダーバース」には、園田さんを含めてさまざまな国と地域のクリエーターが参加している。

 「日本人のアニメーターは自分を含めて4人で、韓国、台湾、インド……とさまざまな人種が集まっています。スタジオはカナダのバンクーバーなのですが、バンクーバー出身の人を見つけるのが難しいくらいです」

 「アクロス・ザ・スパイダーバース」は、マルチバース、さまざまな宇宙(ユニバース)のスパイダーマンが登場するが、制作現場の人種もバラバラで、一丸となって制作した。

 映像表現も多様だ。古き良きアメコミ風、日本のアニメ風、実写風などユニバースによって異なるスタイルの映像が融合した。多様な表現によって化学反応が起き、違和感が格好よく見えるところもある。

 「アニメのスタイルとしては、メインのキャラクターは前作を踏襲しながら、新しいキャラクターに関しては、新しい表現を目指しました。ディレクターや複数のアニメーターがさまざまなテストを重ねていました。自分の担当ではありませんが、例えばスパイダーパンクは、体の部位によってフレームレートを変えています。一回見ただけでは、分からないかもしれませんが、細かいところまで作り込んでいます」

 ◇日本のアニメならではの表現 「フリクリ」の影響も

 園田さんは、マイルス・モラレス/スパイダーマン、グウェン・ステイシー/スパイダーグウェン、ミゲル・オハラ/スパイダーマン2099、ヴィランのスポットなどの動きや表情を担当した。前作は、日本アニメの影響と思われる表現が随所に見られ、日本のアニメのクリエーター、ファンを驚かせた。続編も日本のアニメの影響があるのだろうか?

 「大きいと思います。参考資料の中にも『NARUTO -ナルト-』などのアニメがありました。自分は『フリクリ』を参考にしたところもあります。個人的に大好きな作品で、ほかの方が参考にしたかどうか分からないのですが。日本のアニメは特にアクションがすごいんです。構図、タイミング、演出などがほかのアニメとは違います。例えば、日本のアニメは、画面に手が近付くと、すごく大きくなるなど、ウソのあるパースをつけるのがすごくうまいんです。日本のアニメの素晴らしいところを3Dで表現するために時間をかけて作り込みました。

 「フリクリ」は 2000~01年にOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)として発売された人気作。鶴巻和哉さんの初監督作品で、2003年にカナダ・ファンタジア映画祭でアニメーション部門銅賞に選ばれるなど海外でも人気を集めている。日本独自のアニメの表現は、多くの映像作品に影響を与えている。もちろん、海外のアニメならではの素晴らしい表現もある。

 「アニメーター視点ですと、アクティングチョイス、どういう演技をさせるかが秀逸だと感じています。キャラクターがちゃんとその場にいて、せりふを心の底から話しているように見えるんです。演技の知識、表情を作る表情筋の知識、自身の経験などがあるから実現するんです。タイミングなどは、アニメに寄せているのですが、実写的な見せ方も取り入れています。自分では思い付かないようなことが多く、勉強になります」

 「アクロス・ザ・スパイダーバース」は、さまざまなスタッフの力を結集して完成した。

 「前作を超えるために、限界に挑戦していました。ほかの部署を見て、どうやっているんだろう?となるくらい新しいことにチャレンジしています。アクションの格好よさはもちろん、エモーショナルなシーンにもぜひ注目していただけるとうれしいです。どこを切り取ってもアート作品に見えるような作品になっています」

 「アクロス・ザ・スパイダーバース」は、クリエーターの細部へのこだわりによって、これまで見たことがないような全く新しいアニメに仕上がった。徹底的にこだわった映像をぜひ堪能してほしい。

スパイダーマン:スパイダーバース:続編の予告公開 スパイダーマン同士が戦う? “さらなる続編”「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」2024年公開

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の一場面(C)2022 CTMG. (C)& TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.
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「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の一場面(C)2022 CTMG. (C)& TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

  米マーベルコミックスの人気キャラクター・スパイダーマンの劇場版アニメで2019年に公開された「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の予告がYouTubeで公開された。予告には、スパイダーウーマンやスパイダーマン2099などさまざまなユニバースから集結したスパイダーマンたちが登場。主人公のマイルス・モラレスが膨大な数のスパイダーマンに一斉に襲われる様子が描かれ、スパイダーマン同士が戦う展開を想起させる内容となっている。

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 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」は2023年に公開される。同作の続編として「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」が2024年に公開されることも発表された。

 「スパイダーマン:スパイダーバース」は、時空がゆがめられたことによって、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集結。新生スパイダーマンとして活躍する主人公の中学生のマイルス・モラレス、マイルスを導く師匠のピーター・B・パーカー、女性スパイダーマンであるグウェンなどが登場。第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したことも話題になった。

 続編では、マイルス役のシャメイク・ムーアさん、グウェン役のヘイリー・スタインフェルドさんらが前作から続投するほか、スパイダーマン2099/ミゲル役のオスカー・アイザックさんが出演する。

スパイダーマン:スパイダーバース:続編の新カット公開 スポット登場 空中で戦う

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のカット(C)2022 CTMG. (C)& TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.
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「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のカット(C)2022 CTMG. (C)& TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

  米マーベルコミックスの人気キャラクター・スパイダーマンの劇場版アニメで2019年に公開された「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の新たなカットが公開された。マイルス・モラレスにとって最も手ごわいヴィランとなるスポットが登場。マイルスは、空中で戦うが、足先がスポットの体の黒い穴に入り、スパイダー・グウェンの近くに存在する別の黒い穴から飛び出しているようにも見える。

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 「スパイダーマン:スパイダーバース」は、時空がゆがめられたことによって、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集結。新生スパイダーマンとして活躍する主人公の中学生のマイルス・モラレス、マイルスを導く師匠のピーター・B・パーカー、女性スパイダーマンであるグウェンなどが登場。第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したことも話題になった。

 続編は2023年に公開。

スパイダーマン:スパイダーバース:日本のアニメの影響、リスペクト アニメーター若杉遼が明かす

「スパイダーマン:スパイダーバース」にCGアニメーターとして参加した若杉遼さん
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「スパイダーマン:スパイダーバース」にCGアニメーターとして参加した若杉遼さん

  第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したアニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」(ボブ・ペルシケッティ監督、ピーター・ラムジー監督、ロドニー・ロスマン監督)。ブルーレイディスク&DVDが8月7日に発売される。日本アニメの影響と思われる表現が随所に見られ、日本のアニメ・クリエーター、ファンの話題になった。スタッフロールを見ると、さまざまな国、地域のクリエーターが集結していて、日本人のクリエーターも参加している。その一人がCGアニメーターとして参加した若杉遼さんだ。「スパイダーバース」が受けた日本アニメの影響とは……若杉さんに聞いた。 ◇日本のアニメ的な動きを 「やられた!」の声は複雑

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 「スパイダーバース」は、時空がゆがめられたことで、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集結。新生スパイダーマンとして活躍する主人公の中学生のマイルス・モラレス、マイルスを導く師匠のピーター・B・パーカー、女性スパイダーマンのグウェン・ステイシーらが活躍する。

 若杉さんは、東京工科大学を経て米国の美術大学を卒業。ピクサー・アニメーション・スタジオでCGアニメーターとしてキャリアをスタート。2015年からソニー・ピクチャーズ・イメージワークスに所属し、「アングリーバード」「スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険」などに参加してきた。「スパイダーバース」では、動き、表情などの表現を担当した。

 「スパイダーバース」は、日本アニメを意識して作られているように見えるが? 若杉さんは「受けています」と即答する。製作にあたりスタッフが参考にした資料の中には「『NARUTO』など日本のアニメが結構ありました」という。特に参考したのは「動き」だった。

 「アクションが見どころのアニメなので、動きの部分に影響を受けています。米国のアニメは基本的に1秒24コマですが、『スパイダーバース』はベースが12コマなんです。ちょっとカクカクしている。このカクカクが格好よく、やりたかったことです。米国のアニメはリアルな演技が多いのですが、日本のアニメ的な動きをやりたかったんです」

 「スパイダーバース」を見た日本のアニメ関係者からは「やられた!」という声もあった。日本のアニメが進化させてきた表現に影響を受けながら、新しい表現に挑戦した「スパイダーバース」に感動しつつ、嫉妬も入り交じった複雑な感情があったのかもしれない。

 若杉さんは「勝負したのではなく、リスペクトがあり、日本のアニメが好き!というピュアな気持ちで作ったんです。米国のクリエーターは日本のアニメ好きが多い。だから『やられた!』というのは複雑な気持ちになりますね……」と話す。

 ◇CG進化で原点回帰? 手描きに近づいていく…

 日本のアニメと米国のアニメは、表現以外にも違いがある。若杉さんは「米国のアニメは基本的に子供向け。ファミリー、キッズというジャンルになります。分かりやすさが根底にある」と説明。日本のアニメは子供向けだけでなく、大人のアニメファンが楽しむ深夜アニメも一つのジャンルになっていて、海外にも日本の大人向けアニメのファンは多い。

 一方で、「スパイダーバース」は子供だけでなく大人も楽しめるメジャー映画に仕上げた。若杉さんが「これまでの米国のキッズ、ファミリー向けアニメよりも、ターゲットが上になるようにしたところはあります。自分自身がこれまで作ってきたアニメは、分かりやすさ、可愛さを考えていたけど、初めて格好よさを考えた。スタイルが独特なので、どれくらい受け入れられるか不安もあったのですが、反響が大きく、すごいことなんだ……と実感しています」と話すように、エポックメイキングな作品になった。

 CGアニメは常に進化している。「スパイダーバース」もCGの進化によって実現した表現も多いという。米国の第一線で活躍する若杉さんは今後のCG、表現の進化についてどのように考えているのだろうか?

 「『スパイダーバース』でもパンチした時の残像が手描きだったり、顔のしわが手描きだったりします。これまで、手描きだったら簡単にできることがCGでは時間が掛かって、もどかしく感じることもあったのですが、CGと手描きを合わせることができるようになった。できることが増えて、手描きに近づいていく……。原点回帰に向かっていくのかもしれません」

 CGが更に進化し、今後、日本、米国のクリエーターが刺激を受け合って、「スパイダーバース」のような革新性なアニメが続々と生まれる……。そんな未来もあるかもしれない。

悠木碧:女性スパイダーマンに夢中 「好きなタイプ」「推せる!」 吹き替えはシンクロを意識

アニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」の日本語吹き替え版に声優として出演する悠木碧さん
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アニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」の日本語吹き替え版に声優として出演する悠木碧さん

  米マーベルコミックスの人気キャラクター「スパイダーマン」の劇場版アニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」(ボブ・ペルシケッティ監督、ピーター・ラムジー監督、ロドニー・ロスマン監督)が8日公開される。第91回アカデミー賞の長編アニメーション賞に選ばれた話題作。時空がゆがめられたことによって、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集結する。日本語吹き替え版の声優陣が豪華なことも話題。悠木碧さんが唯一の女性スパイダーマン・グウェン・ステイシー/スパイダー・グウェンを演じる。「好きなタイプの女の子」「この子、推せる!」とグウェンに夢中な悠木さんに、収録の様子、吹き替えならではの演技などについて聞いた。

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 ◇グウェンは超格好いい! ファンとしても魅力的

 悠木さんは昨年、マーベル作品にどっぷりハマった一年だったという。それだけに「スパイダーマン:スパイダーバース」の吹き替えに出演が決まったことは喜びが大きかったという。

 「マーベルは知ってはいましたが、あまり詳しくはありませんでした。昨年、家族で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を見てすごくハマったんです。今回、出演できることになり、すごくうれしかったです。ご縁じゃないですか」

 「スパイダーマン:スパイダーバース」は、新生スパイダーマンとして活躍する主人公の中学生・マイルス・モラレス、マイルスを導く師匠のピーター・パーカーらも登場する。小野賢章さんがマイルスを演じるほか、宮野真守さん、大塚明夫さん、高橋李依さんらも出演する。悠木さんの演じるグウェンはバレリーナのような優雅さとロックスターのようなクールさが魅力で、「推せる!」とすっかりとりこになっているようだ。

 「グウェンちゃんは普段はやらないようなキャラですが、好きなタイプの女の子です。飾らずに超格好いいけど、優しいところもある。『仲間を作らない』と言っているけど、仲間思いでもあります。巡り合えてよかった。私、この子を推せる!となりました。仕事として芝居に取り組ませていただきましたが、ファンとしても魅力的に見える。マイクの前に立ったら仕事だし、マイクを離れたらファンに(笑い)」

 ◇吹き替えは道に沿いながらアレンジ

 悠木さんは「魔法少女まどか☆マギカ」「戦姫絶唱シンフォギア」など数々のアニメに出演する人気声優だ。映画や海外のアニメの日本語吹き替え版の声優としても活躍している。日本のアニメと吹き替えでは演技に違いはあるのだろうか?

 「日本のアニメは脚本がメンタル、絵がボディーで、声優はそれをつなぐ仕事。吹き替えはそれがつながれているので、(外国語の演技を)道しるべにします。道に沿ってきちんと作ることも重要ですが、日本語と英語は違いますし、いかにアレンジしていくかが楽しいですね」

 グウェンの声優を務めるのは女優のヘイリー・スタインフェルドさんだ。吹き替え版で悠木さんの演じるグウェンは、英語のようなイントネーションで日本語をしゃべっているようにも聞こえる。

 「原音はさりげなく格好いいところが魅力だったんです。さりげなく格好よくするのは難しい。私は、可愛いキャラを演じることが多く、立っているだけで格好いいようなキャラはこれまであまりありませんでした。どうするか?と考えた時、原音に魅力が詰まっていたので、シンクロすることが正解だと思いました。まだまだ未熟者なのですが……」

 ◇いつか、ゼロから何かを作っていきたい!

 悠木さんはソロ歌手や竹達彩奈さんとのユニット「petit milady(プチミレディ)」としても活動するなど活躍の幅を広げ続けている。今後、どんな声優を目指すのだろうか?

 「今年からちょっとずつ言っているのですが、いつかゼロから何かを作っていきたいと思っています。もちろん、音楽活動で一から作っていくこともありますが、何か物を作ることにいつか関わっていきたい。『スパイダーマン:スパイダーバース』は、物を作りたい!と思う作品です。やりたいことがたくさん浮かんできます」

 日々、刺激を受けながら表現者としての幅をさらに広げようとする悠木さん。今後、どんな活躍を見せてくれるのだろうか。

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