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解説:「東京ブギウギ」から「ヘイヘイブギー」まで スズ子の“ブギ”歌唱シーンを制作統括の言葉などで振り返る

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の一場面(C)NHK

 趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第121回(3月22日放送)では、ヒロイン・スズ子(趣里さん)が「ヘイヘイブギー」をステージで初披露。これまでにも劇中で「東京ブギウギ」「ジャングル・ブギー」「買い物ブギ」など、さまざまな“ブギ”が登場したが、それぞれの歌唱シーンを、制作統括の福岡利武さんのコメントと共に振り返る。

 ◇「東京ブギウギ」で“ブギの女王”に

 「東京ブギウギ」は、1947年の年末に公開された正月映画「春の饗宴」に笠置さんが出演し、劇中で歌った曲。1948年1月にレコードが発売され、同年3月の日劇ショーで披露されると、評判となり、大ヒット。敗戦で虚脱状態だった日本人に活を入れた日本のブギウギ第1号の曲であり、笠置さんの代表曲となった。

 第91回(2月9日放送)では、スズ子がステージで「東京ブギウギ」を披露し、“ブギの女王”が誕生した。ステージに上がる前の楽屋での羽鳥(草なぎ剛さん)やりつ子(菊地凛子さん)とのやりとりや、ステージでのパフォーマンスは、第1回と同じシーンが描かれたが、そのときの映像は使わず、新たに撮り直したのだという。

 その理由について、福岡さんは「今まで積み重なったものがあり、そのときの気持ちで演じていただいた方がつながりもいいと思いました。見ている方も、これまで人物を追ってきて、(同じシーンが)違って見えても面白く、楽しんでもらえると思うので。ここまできたかという感じにもなりますし、今のスズ子での『東京ブギウギ』のパフォーマンスを見せたかった」と語る。

 趣里さんのパフォーマンスについては「ここまで数々のステージをやってきて、すごく堂々としていて自信もついたと思いますし、今回、フルで歌って、弾(はじ)ける感じや見ているお客さんとの一体感が本当にいいなと感じました。趣里さんもドラマとともに大きくなっていく感じで、すてきでした。すごい体力で、見事にフルコーラスを一連で撮っている。躍動的なステージになったなと思います」と成長を感じていた。

 ◇スズ子の新境地「ジャングル・ブギー」

 「ジャングル・ブギー」は、1948年4月に公開された黒澤明監督の映画「酔いどれ天使」の劇中歌で、黒澤監督が作詞も手がけた。笠置さんは「ブギを歌う女」役で同作に出演。三船敏郎さんや木暮実千代さんらが登場する酒場でのダンスシーンで、この曲を歌い踊った。

 第96話(2月16日放送)では、スズ子が新境地となる「ジャングル・ブギー」を初披露。スズ子は黒い羽があしらわれ、大胆に脚を露出したワイルドなヒョウ柄の衣装でステージに立ち、まるで“女豹(めひょう)”のような挑発的な表情で踊り回り、野獣のようなポーズを決めながら、この曲を歌い上げた。

 福岡さんは「スズ子の表情と、体全体から出てくる力強さを撮ることを意識しました。そのため、他にダンサーは入れずに『みんながスズ子を見る』という構成になっています。冒頭に出てくる『私は女豹だ』という歌詞からインスパイアされた、中腰で何かを狙うような動きをしたワイルドな振り付けや、ジャングルが思い浮かぶような衣装も面白かったです。出来上がった衣装を見て、趣里さんも『テンション上がります!』と盛り上がっていました」と振り返る。

 ステージシーンの撮影は、見学していたスタッフからも手拍子が起こるほど大盛り上がりだったといい、福岡さんは「おミネさん(田中麗奈さん)たちもとても楽しそうに踊っていましたし、指揮をしている草なぎさんも本当にノリノリで、すごく良いステージになったと思います」とうれしそうに語った。

 ◇「買物ブギ」は「スズ子の成長を感じられるステージに」

 「買物ブギ」は、笠置さんの代表曲の一つで、作曲はこれまでと同様、服部良一さんが担当し、作詞は服部さんが「村雨まさを」名義で手がけた。上方落語の演目「無い物買い」を参考にしているといい、大阪弁でつづられたユニークな歌詞が印象的だ。

 第106回で、エプロン姿のスズ子は、買い物かごを手にステージに立ち、満員の観客の前で「買物ブギ」を歌い踊った。食材名や「オッサン」を連呼する大阪ことばの歌詞と、商店街の人々に扮(ふん)した大勢のダンサーたちを従えたコミカルなダンスに観客は大笑いし、会場は拍手と歓声に包まれた。

 このステージを振り返り、福岡さんは「とても面白く、すてきなステージでした。『買物ブギ』の撮影が始まると、他の準備をしていたスタッフもステージを見に行くくらい、楽しい歌に仕上がっていました」と語る。

 大阪ことばでまくし立てるような歌詞を、踊りながら見事に歌い上げた趣里さんについては、「すごく難しい歌だと思いますが、本当に楽しいステージにしてくださいました。今までスズ子として舞台に立ってきた積み重ねだと思いますし、趣里さんも良い意味で肩の力が抜けつつ、スズ子の成長も感じられる魅力的なステージになりました」とたたえた。

 ◇「ヘイヘイブギー」で「新しい局面に」

 「ヘイヘイブギー」は、服部さんと笠置さんコンビのブギ第2弾として1948年4月に発売された。笠置さんが1956年の「第7回紅白歌合戦」で大トリを務めた際に披露した楽曲で、笠置さんにとって、これが生涯最後の紅白出場となった。

 第100回(2月22日放送)で羽鳥が新曲として完成させていたが、第101回(2月23日放送)でスズ子が寝室で眠る娘・愛子(小野美音ちゃん)に向けて静かに歌いかけるに場面のみ描かれた。

 その後、第121回(3月22日放送)ではステージで初披露され、スズ子がベテラン歌手ならではの貫禄あるパフォーマンスを披露した。

 このタイミングでステージシーンを描いた理由について、福岡さんは「脚本の足立紳さんが、大和礼子(蒼井優さん)の娘を登場させたいという強い思いを持たれていました。その大和の娘である水城アユミ(吉柳咲良さん)と共演する歌合戦で、スズ子が何を歌うのかを考えた時に、ドラマの中での新鮮さもほしいですし、時代を超えて今聞いても新しく思える楽曲ということで『ヘイヘイブギー』を登場させることにした」と説明。

 趣里さんのステージを振り返り、「ステージの見せ方が新しい局面に入ってきたということで、趣里さんはすごく緊張していましたし、とても集中していました。ステージシーンを何回も撮影してきていますので、そんなに大きく踊っているわけではないのに、自信も相まって貫禄のあるステージになりました。スズ子の魅力ある歌が見ている人を楽しくするというシーンを見事に成立させていて、すごく良かったです」と語った。

 「東京ブギウギ」で“ブギの女王”となったスズ子が、革新的な「ジャングル・ブギー」を経て、「買物ブギ」「ヘイヘイブギー」で成熟したパフォーマンスを披露した。ドラマの放送もあと1週間、シングルマザーとして愛子を育てながら、芸能活動を続けるスズ子の奮闘を最後まで見守りたい。

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