サザエさん：「磯野家の人々」ドラマPインタビュー（上）　“20年後”を選んだ理由は…

　フジテレビ開局60周年記念とアニメ「サザエさん」の放送50周年を記念したスペシャルドラマ企画「磯野家の人々～20年後のサザエさん～」が11月24日放送される。“日本一有名な家族”であるサザエさん一家の20年後を、オリジナルストーリーで描く内容で、2016年からアニメのプロデューサーを務め、今回のスペシャルドラマも担当している渡辺恒也プロデューサー（以下、渡辺P）に、ドラマの制作の裏側などを聞いた。　

ウナギノボリ

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　女優の天海祐希さんがサザエ役で主演する今回の「磯野家の人々～20年後のサザエさん～」。31歳のカツオは野球選手、マンガ家などを夢見ては挫折し、今は洋食店のシェフに。29歳のワカメはアパレル関係のデザイナーだが仕事に苦労。23歳のタラオは就職活動中だがやりたいことが見つけられず。74歳の波平は定年退職しカツオたちの将来を案じていた。70代のフネは変わらず波平と磯野家を案じる日々。48歳のマスオは中間管理職に就き、サザエとマスオの17歳の娘のヒトデはサザエと距離を置いていた。サザエはすれ違う家族の仲を修復しようと町内の盆踊り大会へ、家族全員で行こうと計画を立てるが……というストーリーだ。

　◇「サザエさんは現代劇」　ワカメの恋人登場の理由は

　－－これまで何度も実写化されてきたアニメですが、なぜ再び実写ドラマ化しようと思ったのですか？

　50周年の企画として実写化したいと思いました。50周年は1回しかないのでここでしかできないことをやってみたかったんです。

　－－20年後が舞台となりますが、なぜ、20年後を選んだのでしょうか？

　50周年を迎え、現在、スペシャルアニメやイベントなどが展開されている中で、どういう形のドラマにするのが良いのか悩みました。今までのアニメを実写化するというのも考えましたが、例えば将来像を描いてみるのはどうだろうっていうのが最初のきっかけでした。
　
　アニメの「サザエさん」は「いつの時代の話なのか」っていうのがあります。以前、アンケートをとったのですが認識が違ったりしていました。（アニメは）基本的に“現代劇”として作っています。（原作の）長谷川町子先生の4コママンガが新聞に掲載されていた当時は、時事ネタがあったりもしました。今の時代を描いているところから始まったアニメなので、我々も現代劇として考えています。しかし、携帯電話などが出てきてしまうと、アニメの面白さが表現しづらくなる。（携帯電話が）存在しないというわけではなく登場しないという認識です。

　「サザエさん」はいつの時代も、日本人誰しもが持っている家族像だと思います。20年後の磯野家、フグ田家になったとしても、ドラマで、サザエさんの面白さは伝わると思います。

　それと、子供たちが大人になったというストーリーを描く中で、（20年後を舞台にすると）カツオが31歳、ワカメが29歳、タラオが23歳になっています。普段の日常生活でいうと、3人の年齢は仕事や結婚など人生の転換点や節目にいたりして、僕らが想像しやすい世界だと思いました。また、サザエとマスオも40代中盤となり、マスオは中間管理職になっているかもな、波平は定年退職しているななど、キャラクターそれぞれがどんな風に過ごしているのか想像したら、いろいろなストーリーが浮かんできました。

　20年後というのは「サザエさん」の面白さを崩さずに、ドラマのストーリーが展開できると思ったからです。

　－－20年後にすることで、キャラクターそれぞれのストーリーが膨らみ、ドラマ性が高まったということですね。

　そうですね。時代が変わっても「サザエさん」の面白さを伝えるというのは、ある種のチャレンジでもあります。

　－－ドラマには、“幻の8人目の家族”ヒトデも登場しますね。

　ヒトデも、20年後にしようと思ったきっかけの一つです。ファンの方の中には、20年後というのに対して賛否両論あるかと思います。長谷川先生が描いた中で、20年後だからこそ描けることが何かないかと探していました。長谷川先生がサザエさんの10年後を描いていたのを知っていて、それに描かれていました。

　厳密に年齢は書かれていなかったのですが、7歳ぐらいを想定しました。プラス10年したら17歳。多感な17歳の女の子が、あの磯野家にいたら、また1つストーリーが加えられると思い、20年後にする上での面白さにつながると思いました。

　－－ワカメの恋人・貝塚タケシ（中林大樹さん）も登場します。

　29歳になったワカメが、仕事と結婚に悩むシチュエーションがあったらどうなるのだろうか、と考えました。「サザエさん」には悪いキャラクターが出てきません。なので、貝塚も良い人なんです。魅力的な仕事をしているワカメが、魅力的な恋人の貝塚との間で、仕事と結婚をてんびんにかけるというのが、物語の一つの鍵にもなってきます。

　※第2弾は、渡辺Pが「国民的アニメをドラマ化させる上での苦労」について語る。

　「サザエさん」の放送50周年を記念した「サザエさんウィーク」が11月18日から展開中。同22日午後7時からは特別番組「池上彰×サザエさんスペシャル　お茶の間ニッポン史50の解説でございま～す！」、同23日午後7時にバラエティー番組「逃走中15周年記念！50周年のサザエさんとコラボスペシャル」、同24日午後6時半にスペシャルアニメ番組「アニメ『サザエさん』放送50周年記念スペシャル」も放送される。スペシャルドラマ「磯野家の人々～20年後のサザエさん～」は同24日午後8時から放送。