俳優の小栗旬さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)の第25回「天が望んだ男」が6月26日に放送された。同回では、源頼朝(大泉洋さん)の生死が分からぬまま、放送を終えたが、死が限りなく迫っているのは間違いない。脚本を担当する三谷幸喜さんが、頼朝の最期をどのように描こうとしたのか、演じる大泉さんへの信頼とともに、明かしてくれた。
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大泉さんと三谷さんといえば、大河ドラマ「真田丸」(2016年)のほかにも、映画「ステキな金縛り」(2011年)、「清須会議」(2013年)など映像作品にとどまらず、舞台でもタッグを組んできた。2021年の「第72回NHK紅白歌合戦」では、総合司会の大泉さんと審査員の三谷さんの掛け合いも話題になった。
三谷さんは頼朝役を大泉さんに託す上で、特段言葉をかけることはなかったという。
「『鎌倉殿』の放送が始まってからは彼に会っていないですし、メールのやりとりもほとんどないです。最後に会ったのは紅白のときですが、特に話したわけでもありません」
それでも三谷さんは、大泉さんの俳優としての実力に最大級の賛辞を送る。
「大泉洋という俳優が頼朝を演じることになったので、結果として今回の頼朝像になったと思います。僕は大泉君の魅力や力量をよく分かっていますし、僕が望んでいる頼朝をそれ以上に演じてくれるだろうという信頼はありました。彼は(三谷さんが描く)頼朝を分かってくれていると感じていましたし、彼以上に今回の頼朝を演じきれる人はいないと思います。こんなに人間味のある頼朝を演じられる俳優さんはいるんだろうか、と思っています」
また、二人の間では、こんなホッコリするやりとりも。
「(頼朝が)日本中で嫌われているという話を聞いたので、『日本中で嫌われても僕は君のことが好きだよ』と連絡しました。そうしたら『お前のせいだ!』と返事がありましたね(笑い)」と明かした。
いよいよ迫る頼朝の最期だが、三谷さんは「ちゃんと死なせてあげたかった」といい、「暗殺されたなど、いろいろな説がありますが、それでは殺す側のドラマが生まれてしまう。あくまでも頼朝側でドラマとして完結させるためにも、静かに死なせてあげたかった。これまで放送された24回の物語と比べると、とっても厳かになるようなイメージで台本を書きました」と解説する。
三谷さんの思いを演出の吉田照幸さんをはじめ、スタッフ・キャストがくみ取り、さらに良いものへと仕上げていったといい、「大泉君もそれを感じてやってくれたと感じています」と感謝する。
頼朝をドラマのメインキャラクターとして描くことができたのは「脚本家冥利に尽きる」と笑顔を見せる三谷さん。
「あれだけドラマチックな人生はない。聖人君子でもなく、マイナス面も抱えた人物。誰が書いても魅力的になると思いますし、それだけ人物として面白い方です」と、一人の脚本家として“源頼朝”と向き合うことができたことを喜んだ。
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