NHKの「ドラマ10」枠(総合、火曜午後10時)で放送中の時代劇「大奥」。男女の役割が逆転した江戸時代が舞台の本作で、五代将軍・徳川綱吉を演じるのが仲里依紗さんだ。初めての時代劇に挑む心境、作品や役への思いについて語ってもらった。
◇華やかな衣装やセットに心奪われ「こんな家を建てたい」
ウナギノボリ
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ドラマは、2004~20年にマンガ誌「メロディ」(白泉社)で連載された、よしながふみさんの人気マンガを実写化。若い男性のみに感染する病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」で、男性の人口が女性の4分の1に激減した江戸時代を舞台に、将軍職が女性へと引き継がれ、大奥は美男3000人と称される男の世界になり……という設定で物語が展開する。
綱吉役のオファーが来たとき、仲さんは「本当に私で合ってます?」と戸惑ったという。
「時代劇が初めてで、“畳のへりを踏んじゃ駄目”ということすら知らなかったんです(笑い)。所作も何もかも、まるで分からない状態。そんな人に、こんな大役を任せて大丈夫ですか?と心配でした」
演じる綱吉は、美貌と教養を兼ね備えた女将軍という役どころ。
「美貌? 教養? って、そこがちょっと気がかりでした(笑い)。私が今までやった役は、不倫されたり、浮気されたり、ちょっと残念な女性の役が多かったんです。美男をはべらして、『上様に恋をしているのでござります』とか言われるような役を私がやっていいのかなって。それから、綱吉が持つ色気や妖艶な魅力を私に出せるのかという不安もありました」
一方で、綱吉を演じるのは「楽しくてしょうがない」と語る仲さん。「みんなが私のことを“上様”って呼ぶんですよ。私が『やれ』と命令したら何でもやるし、本当に最高です」と笑う。「最近は、家でも上様と呼ばれているので、とてもいい気持ちになっております(笑い)」と冗談めかして語る。
また、ファッションが好きな仲さんは、豪華絢爛(けんらん)な衣装やセットにも心奪われた。
「ギラついた可愛い着物をたくさん着られることがうれしくて。セットも華やかで、壁紙に蝶(ちょう)や花が飛んでいて、とにかく派手なんです。私が金持ちだったらこんな家を建てたいなって思いましたね」
派手で奔放なイメージの強い綱吉だが、仲さんは綱吉について「強がっているけれど本当は弱くて、心の奥底に孤独を抱えている人」と評する。
「自分の好きに生きているように見えるけれど、将軍として生まれてきたのに、やらなければならない定めを何もできていないと苦しんでいる。だけど、周りの人からはそう見られないじゃないですか。遊びまくって、自分ばっかりいい思いしてって……。でも、本当は孤独な人なんだなっていうのは演じていて感じました」
そんな綱吉を演じるにあたって、大奥総取締・右衛門佐を演じる山本耕史さんの存在に「救われた」という仲さん。「(山本さんは)時代劇の大御所の方ですし、舞台もされているので立ち居振る舞いもきちんとされていて。たたずまいも動きもセリフの掛け合いも、全てがすごかったですね」と振り返る。「ベテランってこういうことを言うんだなってしみじみ感じて、私は安心して綱吉を演じることができました」と語る。
山本さんからは「(時代背景など)あまり調べすぎないほうがいいよ。俺もほぼ何言ってるか分かんないから」と声をかけてもらったそう。
「私が時代劇のド素人なので……。『リラックスして』っていう意味合いも込めた励ましの言葉をいただきました」
最後に、ドラマの見どころを聞くと、「美男が勢ぞろいで、その中からいつも私がピックアップするんです。そういう展開を見るのは面白いかもしれないですね」と笑う。続けて、「家光編、吉宗編と比べて、お色気シーンが多いので、そこも見どころじゃないでしょうか」とアピールする。
「女将軍ってかっこいいですし、女性が物事を決めることって今の時代にも必要なことじゃないですか。時代劇ではあるけれど、現代にも通じるものがあって、逆に新しいというか、心に響くんじゃないかなと。きっと現代の皆さんにも楽しんで見ていただけると思います」
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