良いこと悪いこと
最終話 真犯人、だーれだ?
12月20日(土)放送分
松本潤さん主演のNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)で、今川義元(野村萬斎さん)の嫡男・今川氏真を演じている溝端淳平さん。3月26日放送の第12回「氏真」は、副題通り氏真にスポットが当てられ、家康(元康、松本さん)とのライバル関係にピリオドが打たれた。ドラマには第1回「どうする桶狭間」(1月8日放送)から登場し、随所で好演を披露。視聴者を魅了してきた溝端さんに今の心境を聞いた。
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第12回では、武田信玄(阿部寛さん)から攻め込まれ、家臣にも見限られた氏真は、駿河・今川館を捨てる。妻・糸(志田未来さん)は、彼女の実家である北条に身を寄せるよう勧めるも、氏真は耳を貸さない。
一行が徳川領に近い懸川城に落ち延びたため、家康は兄弟同然に育った氏真と直接戦うことになり……というストーリーが展開した。
満身創痍の氏真は、家康に敗れたが、溝端さんは「氏真は早くこの乱世から降りたかったんだと思います。どこかほっとしている自分もいました」と明かす。
氏真にとって家康は、自分を裏切り、人生を狂わせた憎き相手でもあるが、「最後、一目会いたかったと思っていたし、とどめは家康にと。そこは演じていて感じたこと」といい、「家康はただただ憎き敵というだけではなく、幼少の頃からのいい思い出もたくさんある、可愛い弟だったと思うし、手を取り合って父上を支えよう、父上を超えようと、今川をもっと繁栄させようと本気で思っていた仲だと思うので」と、二人の関係性を交え、理由を説明する。
望んではいないものの、天命によって選ばれ、どんどんと出世していく家康と、望んでいるけれど、才能と時代に見放されて落ちていった氏真。これまでずっと対極に描かれてきた二人の決着がついた瞬間となったが、家康のように「選ばれし者」になりたいけど、氏真のように、なれない人の方がずっと多いのが現実だ。「なれない人の悩みはもちろんあるけれど、でもなれたらなれたで、ずっと悩みがつきものなんだ」というメッセージが込められ、「そこに僕は感動しましたし、すごく好きな回になりました」と振り返った。
また同回では、“偉大な父”義元から「お前に将としての才はない」と言われた氏真だが、溝端さん自身は「ないからといってだめなわけじゃない。今までの自分の俳優人生の答えなんです」と冷静に受け止めている。
そういった考えに至った経緯には、過去の葛藤や苦しみがあったといい、「20代の頃は仕事は順調だけど、周りに認めてもらえない、孤独感がありました」と告白する。
当時「結果が伴わなくて、仕事が減っていく状況の中、自分はどうしたらいいか分からなかった」といい、そんなときに出会ったのが、故・蜷川幸雄さん。舞台稽古(げいこ)で「下手くそやめちまえ、お前は才能ないと罵声を浴びせられ、追い込まれつつも実があった」と振り返る。
「それまでは目に見えないものとの闘いでしたが、蜷川さんが正面切って言ってくれたことによって吹っ切れた」といい、「ないなりに、自分なりに頑張ればいい、才能がない、できないからこそ、できることを少しずつ積み重ねていけばいいんだって思えて。それが第12回の氏真に近かった」と話した。
そんな溝端さんだからこその今回の氏真好演。当然、反響は大きく「今すごく幸せです」と笑顔を見せた。
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