俳優の山田裕貴さんが主演を務める金曜ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(TBS系、金曜午後10時)。6月9日放送の第8話では、元の世界に戻れるかもしれないという手がかりが見つかった乗客たちが、今後について究極の選択に迫られていく最終章でのキーポイントとなる回だという。ドラマを手がける宮崎真佐子プロデューサーに、撮影の裏側や、印象に残るシーンを聞いた。
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ドラマは、「恋はつづくよどこまでも」「着飾る恋には理由があって」(共に同局系)などを手がけた脚本家、金子ありささんによるオリジナル作品。8時23分、いつもと同じく都心に向かう電車の一両が、未来の荒廃した見知らぬ世界にタイムスリップ。同じ車両に乗り合わせた見ず知らずの客たちは水も食料もない極限状況に直面しながらも、元の世界に戻ろうと奮闘する。
今回の企画誕生の背景について、満員電車に乗っていたことがきっかけだったと明かした宮崎さん。「まわりを見渡すといろいろな人がいて、それぞれにみんな人生があって、社会の縮図だなと思った。赤の他人だからこそ生まれる人間ドラマを見てみたいなと思ったのが始まり」と振り返る。
その際、乗客全員がスマホを見ながら、動画を視聴したり、SNSをやったりしていた。「(乗客同士)こんなに近くにいるのに、小さな画面を見ていて。これがなくなったときにどうなるのかな?」と考えたのだという。
ドラマのプロデューサーという職業柄、SNSを通じて反響をもらうなど、うれしいこともたくさんある一方で、つらい口コミも結構あった。「作り手のことなんて、見ている人には関係ないけれど、簡単にひどいことを言うのは悲しいなって思って。そういうことを直接感じているからこそ、『そういうの嫌じゃない?』『直接関わって話せた方がよくない?』というメッセージを込められるようなドラマをやりたいなと思いました」と続ける。
「全部が大変すぎる」という今作の撮影。「先日、オフィスでのシーンを久しぶりに撮影したのですが、みんなで『床が平らだと落ち着かない』と話していて。椅子と机があって、『どうやったらいいかわからない!』というぐらいまで来ています(笑い)」と話す。
そんな撮影現場では、乗客同士がだんだん団結していく今作のストーリーと同じように、キャスト陣も連帯感が出ていると感じている。「とくに(直哉役の)山田さんと(優斗役の)赤楚衛二さんは、最初は敵対していたところから始まって、今はバディみたいになって。ドキュメンタリーじゃないですけど、ご本人たちも初共演からここまでやっていて、オフの時も仲が良くて、それがよかった」と振り返る。
第2話(4月28日放送)では、直哉が鋭い目つきで「じゃあ、土下座しろ!」と怒鳴る場面が登場。第3話(5月5日放送)では、弟と過ごした時間を思い出し「どうしてんのかな、あいつ。ちゃんと飯食ってるのかな。会いたい、会って謝りたい」とつぶやき、涙を流す直哉の姿が描かれた。
そんな山田さんの演技に、視聴者からは「表情、目つき、声色、指先、細部にこだわるお芝居は絶品」と絶賛の声が上がっているが、宮崎さんも「これはお世辞でもなんでもなく、全シーンいいんですよ!魂がこもっているんですよね」と話す。
とくに印象に残っているのが、直哉が美容師免許を取って初めてハサミを触る回想シーン。「ト書きで言うと、『ハサミを取って、握る』くらいのシーンですが、直哉はハサミを握ってめちゃくちゃ泣くんです。うれしいだけではなくて、今まで大変な中で勝ち取った美容師免許。あそこのシーンの山田さんのお芝居はすごいなと思いました」と振り返っていた。
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