解説:民放キー局、10月改編は“水入り”に 今年だけの特別な事情

民放キー局
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 民放キー局の10月の改編が出そろった。年度初めの4月と比べると小幅な調整となりがちだが、今年の改編が小幅にとどまった背景には、例年とは異なる特別な事情が影響したとみられる。

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 まず改編率の見方について、各局ごとの傾向が大きく左右されるため、単純に数字だけを他局と比較しても意味がないことが多い。例えばテレビ朝日は、平日の午後10時台は40年にわたって報道番組を編成している。必然的に毎クール入れ替わるドラマがゴールデン帯に集中することになり、他局と比べてゴールデン帯の改編率が高く出やすい。また、当然ながら苦戦している局の改編率は、苦戦している番組を終わらせて新番組を編成することが多いため、高くなる傾向にある。

 それを踏まえつつ、全日帯(午前6時~深夜0時)の改編率をみると、日本テレビが3.6%、テレビ朝日が7.5%、TBSが2.13%、テレビ東京が5.1%、フジテレビが10.05%と、5局中4局が改編率1桁だった。

 全体的に小幅な改編となったが、今年ならではの理由として、やはりフジテレビの昨年末からの不祥事に伴うCM出稿の停止は大きいとみられる。大ざっぱにいえば、テレビCMの枠として主要な5分の1がなくなったことになり、残りの枠を巡って差配に苦心する広告関係者の話も耳にした。結果的に既存番組の広告価値も評価が難しくなり、低い改編率の一因になったのではないか。

 もっとも、「激レアさんを連れてきた。」「家事ヤロウ!!!」(ともにテレビ朝日系)「カズレーザーと学ぶ。」(日本テレビ系)など既に定番化していたバラエティーが複数本終了。特に視聴率の“現王者”で、バラエティージャンルでは深夜も含めて攻めた編成に定評があるテレビ朝日で目立ったのが興味深い。

 フジテレビへのCM出稿を再開する企業も目立ちはじめた昨今。10月からはソフトバンクや花王といったナショナルクライアントも再開を予定するなど、徐々に以前の状況に戻りつつある。いわば“水入り”状態となった今回の10月改編だが、来年の4月にどんな波が押し寄せるのか。定番を終わらせて始まる新番組の行方とともに注視していきたい。(MANTAN/立山夏行)

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