ばけばけ:第23回の注目度推移 松江の幻想的な朝の風景から、朝食や仕事の情景まで ヘブンの生活ぶりに視聴者はずっとクギヅケ状態

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第23回(10月29日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時14分の70.8%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇“神々の国の首都”松江の朝の情景に視聴者クギヅケ

 第23回は、ヘブン(トミー・バストウさん)が松江で迎える最初の朝の情景から始まった。米をつく音で目を覚ましたヘブンは、憧れの“神々の国の首都”松江で迎える幻想的な朝の風景に感動を覚える。モデルの小泉八雲が著書「神々の国の首都」に書き残した松江の描写を参考にしたと思われる。

 浴衣姿のまま旅館を出たヘブンは、美しい街並みを目にし、人々がものを売る声、遠くで響く鐘の音を聞く。「遠くで鐘の音が響く中、人々は太陽と社がある方角に向けて、手をたたいて神々への祈りをささげる。これら全てが神秘的で新鮮に感じられる」「まさにここは君と来ることを願っていた……神々の国の首都だ」と心の中でつぶやき、すっかり松江の美しさに魅了された様子だ。

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 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、開始早々から、序盤の午前8時3分までに68.3%まで急浮上。午前8時3分は、「この町は想像以上だ」「日本滞在記が書けたら、すぐにアメリカへ帰る」「そして、君に一番に読んでもらう」などと、ヘブンの心の声が続いた後、「君」と思われるアメリカの新聞社時代の同僚女性の写真を机に伏せて置くあたりから。シジミを売るため松江市内を回るトキ(高石さん)の姿も一瞬登場する。幻想的な松江の朝の描写のエンディングに当たり、注目度が次第に増していったのだと思われる。

 ◇外国人の朝食風景に興味津々 司之介も乱入で注目度アップ

 第23回も、前日の第22回と同様、中盤と終盤にもさらに大きな“山”を作り、ピークが長く続いた。“山”の頂が、とんがった鉛筆状ではなく、台地のような平らな形状のグラフとなったのが特徴だ。

 中盤の“山”の頂点は70%超が続いた、午前8時6分~9分の4分間。ほぼ横ばいだが、あえて言えばピークは午前8時8分の70.6%だ。

 午前8時6分からは、ヘブンの朝食の風景。松江新報の記者、梶谷吾郎(岩崎う大さん)がその様子を取材していると、「ラシャメン」になりたいなみ(さとうほなみさん)のため“密偵”を務めるトキも観察している。生卵を一気飲みする姿に「やっぱり天狗だわ」(トキ)、「明日の一面じゃな」(梶谷)。糸こんにゃくの小鉢に「虫!」と大騒ぎするヘブンを見て、「明日の三面じゃな」(梶谷)、「そうですね」(トキ)と息の合った2人のやりとりが楽しい。

 ちょうど「三面じゃな」のやりとりのあたりからがピークの午前8時8分台。まもなくトキが花田旅館から帰ろうとすると、牛乳売りをしている父親、司之介(岡部たかしさん)がやってくる。牛乳を言葉を耳にしたヘブンも降りてきて、牛乳を飲みたがっているようだ。

 会話はできないが、“雰囲気”で牛乳の販売に成功。司之介は通常より高い20銭で売りつける。そのやりとり以降が午前8時9分台だ。朝食を巡る、楽しい朝の情景で、注目度も高まったが、実は最高値はこの中盤ではない。

 ◇この日のピークは錦織がヘブンに振り回されっぱなしだった午前8時14分台

 終盤の“山”で70%超は午前8時13分と14分。この日の最高値は午前8時14分の70.8%だった。午前8時13分は、書き物をするヘブンの部屋の前に、通訳の錦織(吉沢亮さん)が訪ねてきたあたりから。

 「明後日から授業が始まります」
 「その前に是非、松江中学校の実情を知って頂き、加えて授業の内容や、日本人への英語教育についてご意見をお聞かせ願いたいのですが」

 部屋の廊下から、英語で必死に語りかけるが、ヘブンはまったく答えない。午前8時14分台で、とうとう錦織はあきらめて、松江中学の英語の教科書を残して去る。錦織が去った後、ヘブンは教科書を手に取り、また部屋に戻り、ドラマは終わる。

 前日に続き、振り回されっぱなしで、少しかわいそうになってきた錦織の描写がこの日の注目度のピークだった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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