ばけばけ:錦織のモデル・西田千太郎を物語の中核に選んだワケ エリートでも人生がうまくいくとは限らない?

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK

 高石あかりさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(月~土曜午前8時ほか)。12月12日放送の第55回では、ヘブン(トミー・バストウさん)から「素晴らしい通訳。素晴らしいお世話係」と言われた錦織(吉沢亮さん)がショックを受けたのか、授業に同席しない、迎えにも来ないという場面が描かれた。錦織という人物を通して描きたいことは何か、制作統括を務める橋爪國臣さんに聞いた。

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 「ばけばけ」の登場人物の中で、実在したモデルがいると公言されているのは、高石さん演じるトキ(小泉セツ)、バストウさん演じるヘブン(小泉八雲、ラフカディオ・ハーン)、そして吉沢さん演じる錦織(西田千太郎)の3人だ。

 史実でも小泉八雲と西田千太郎は“無二の親友”と言われているが、橋爪さんは「ただただ仲が良かったとはしたくなくて、裏にはいろんなことがあっただろうと考えました」と語る。

 「聖人君子と言われている西田千太郎について取材をする中で、彼自身にコンプレックスがあったり、ものすごい逆境に立たされていたり、実は悲しい男だということが分かりました。西田家でもいろいろと資料が出てきて、その中に西田家の家訓のようなものがありました」と明かす。

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 「(千太郎の)息子さんが書かれたものですが、受け継がれてきた家訓だと解釈しました。家訓の中のはじめに『あきらめ、而(しこう)して、活動せよ』と書かれていて。家訓に“諦めよ”とあるところに、我々も衝撃を受けました。きっと西田千太郎はいろいろなことを諦めてきた人生なんだろうと。松江一の秀才と言われながら、お金の問題でうまくいかないなど、運の悪さもあったと思います。そこで自分がなせなかったことを、ハーンに託した思いもあったんだろうなと。彼みたいなエリートでも、人生はうまくいかないこともあるというのを描こうと。それがこのドラマの中核になると思いました」

 そんな重要な人物だからこそ、説明不要な実績を持つ吉沢さんに演じてもらう意味があるという。

 「錦織さんにも、千太郎の人生のようなものを背負ってもらいたいと思っています。今はヘブンに振り回される人に見えると思いますが、彼自身の裏側にある思いをこれから先、描いていきます。このドラマの重い部分になるかと思いますが、物語として楽しんでいただけたらうれしいなと思います」

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