俳優の渡辺謙さん自らが企画、主演するスペシャルドラマ「愛・命~新宿歌舞伎町駆け込み寺~」(テレビ朝日系)が、今冬に放送されることが20日、明らかになった。東京・新宿の歌舞伎町で、悩める人々を救済する“駆け込み寺”を設立し、これまでに1万人以上を救ってきた実在の人物をモデルにした、「愛と命」の物語。映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」での演技を見た渡辺さんが共演を熱望していたという女優の永作博美さんの出演も決定した。
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渡辺さんが演じるのは、歌舞伎町の片隅に「新宿救護センター」(通称『新宿歌舞伎町駆け込み寺』)を開設し、虐待や不当な借金などで困っている弱者を救済する活動を行っている玄秀盛さんをモデルとした平山秀盛(韓国名:玄秀盛)。どん底の幼少期を送り、中学時代からグレはじめ、成人後には“金の亡者”となって30以上もの職を転々としたが、白血病の原因ウイルスに感染したことを知ったときから自らの死と向き合い、生きていることの証しを得るために弱者救済のボランティア活動に目覚めた玄さんの生きざまに衝撃を受けた渡辺さんは「本音で生き、弱者を救うために命をかける」真実のドラマに挑もうと決意。09年に「刑事一代」でタッグを組んだドラマ界の巨匠・石橋冠監督との再タッグを切望し、その情熱が実を結んでスペシャルドラマ化されることになった。
渡辺さんは「昨今のドラマはある意味、危ない橋は渡らず、どこか萎縮している印象を受け、たびたび物足りなさを感じるんです。この現状をぶち壊しながら、さらなる高みを目指し続けている冠さんとともに、今回は『刑事一代』のときよりもさらに、ものすごい崖っぷちを1シーンごとにわたりながら、高みを目指しています。このように相当な緊張感を強いられる作品で、視聴者のみなさんの心をえぐりたいと思います。いや、みなさんが見終わったときに『なんでこんなドラマを見てしまったんだろう』と思うくらいえぐらなければ、冠さんと組んだ意味がない! 視聴者のみなさんはもちろんのこと、僕たち自身をも徹底的に破壊したいと思います」と並々ならぬ決意。
永作さんが演じるのは、アフガニスタンの戦場で取材した過去を持つが、ある理由から日本に帰国したフリージャーナリストの中原洋子。人生の目的を失い右往左往する中で出会った平山を、新たな取材対象として取り上げ、彼の人生に深くかかわっていく。渡辺さんは「(映画での演技を見て)女性のしたたかさ、深い強さを感じ、非常に印象に残りました。今回の洋子はものすごく大変な役だと思います。しかし、確かな技術と高いパッション、柔らかい雰囲気と内に秘めた強さ……そういったいい意味でのバランスの悪さを持つ彼女こそが、この役を演じるのにピッタリだと思いました」と期待している。
渡辺さんは「今年は日本の観客のみなさまに何かを届けたいと考えておりました。テレビ朝日、そして監督の石橋冠さんと再び仕事をさせていただく機会を得て、この企画を提案しました。今、私たちはじっと耐える日々を過ごしています。大きな壁にぶつかった後、どこに向かえばいいのか悩みながら……。このドラマは『叫び』だと思っています。どこにもぶつけられない悲しみを、怒りをそして喜びを叫びたいと思っています。竹山洋さんの刺激的な脚本を全スタッフ、キャストと格闘しながら命の限りを尽くして叫びたいと思っています」とコメントしている。
藤本一彦プロデューサーは「一昨年のスペシャルドラマ『刑事一代』に続き、渡辺謙さんとご一緒にドラマ作りができることを大変うれしく思います。“自分の命を懸けて、弱い立場の人々を救う”実在の人物を渡辺謙さんが迫真の演技で演じ切り、また共演に、進境著しい女優・永作博美さんを迎えて“究極の大人の愛のドラマ”が展開されます。この冬イチ押しの深い人間ドラマです。どうぞご期待ください」とアピールしている。(毎日新聞デジタル)
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