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親が先生芸人
10月31日(木)放送分
放送も残り1週間となった葵わかなさん主演のNHK連続テレビ小説「わろてんか」。脱稿した瞬間は「てんちゃんと離れたくなくて泣きました」と明かす脚本家の吉田智子さんと、制作統括の後藤高久プロデューサーに撮影の日々を振り返ってもらった。「わろてんか」はNHK総合で月~土曜午前8時ほか。最終回は31日に放送される。
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「わろてんか」は、京都の老舗薬種問屋の長女で、笑いをこよなく愛するヒロイン・藤岡てんが、大阪を日本一の笑いの都にしていく姿を描く一代記だ。吉田さんは2003年放送の連続ドラマ「美女か野獣」(フジテレビ系)などを手掛けた。昨年公開された映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」(月川翔監督)で「第41回日本アカデミー賞」優秀脚本賞を受賞した。朝ドラを手掛けるのは今回が初で、「体力的に、なんですけど、20週以降が本当にハードでしたね」と振り返る。
「山登りでは頂上が見えた時が一番きついと言うらしいんですけど、私も書こうとはするんですけど、どうしても筆が重くなってしまう。もう大変で……。それでも終わった時は、てんちゃんと離れたくなくて泣きましたね、純粋に悲しくて、寂しくて。もっと続けたくなっちゃうんですよね。『もう一回やれ』と言われたら、無理ですけど」とほほ笑む。
書いていて一番、面白かったのは「芸の歴史や変遷」という。「ドラマはてんちゃんと藤吉(松坂桃李さん)の夫婦愛、家族愛がメインですけど。芸の歴史、変遷は自分で調べていても面白かった。ただ昔の芸なので、今の人が見ても基本的にそれほど面白いものではない(苦笑い)。どじょうすくいで大爆笑!って時代なので。ただリリコ(広瀬アリスさん)の娘義太夫なんかは、今で言うAKB48みたいだなって。『どうする連』って親衛隊がいて、そういうシステムは昔からあったんだな」としみじみとする。
後藤プロデューサーは、キャストとして参加していた芸人たちから「今、自分たちがやっていることのルーツがこんなところにあったんだって知れて良かった」と言われたといい、「こういう人たちのやっていたことの上に自分たちがいるんだって思ったら、すごくためになったし、うれしかったっていうのは意見としてありました」と明かす。
その上で「決して僕らは『芸のドラマ』を作ろうとしたわけではない」ときっぱり。「『わろてんか』の『わろ』の部分は『芸で笑ってね』という意味ではなくて、日常の中に面白いこと楽しいことが転がっているよという意味なので。それこそ、風太(濱田岳さん)とトキ(徳永えりさん)のやりとりのところで笑ってもらおうとした。だから『芸よりもそっちのほうが面白いやないかい』って意見がありましたけど、そういうことなんですよ」と語ってみせた。
改めて「わろてんか」というタイトルに込められた思いを聞くと、後藤プロデューサーは「笑うということが人にとって一番大切だってこと。人間は苦しいこと、悲しいことをいっぱい抱えていますけど、笑うことでそういったものから逃れられる。『苦しいときこそ笑うんや』ってせりふもありますけど、そういうことのために人間は笑いを獲得していった。ここでの笑いとは別に演芸の笑いだけではない、日常の中にあるもの。ただ人が笑うためには、人を笑わすっていうプロフェッショナルが必要で、そこを突き詰めていった人たちの話を通して、日々笑うことの重要性を伝えたかったんです」と思いを明かす。
一方、吉田さんは「うちのドラマってダメダメな人間だらけなんですよ(笑い)。主人公がそのダメな人たちを照らすという設定になっている。どんなダメな人間でも笑うことによって顔を上げて、前に進めるんだって。そういう意味も含めて戦争をラストに持ってきた。3.11の震災も含めて人はゼロになっても、過酷な状況の中でも、前に突き進んでいける。そのためにも笑いという武器を持って生まれてきたんだって」。
最後に吉田さんは、自分の脚本を道しるべに、さまざまな重圧に耐えながらヒロインのてんを演じきった葵さんには「『本当にお疲れさまでした』と声をかけてあげたい。もうそれだけです。特に初めの方は、同世代がほとんどいない中でやっていかなくてはいけなくて、とても過酷だったと思うんですけど、座長として本当に愛されていたんだなって思います。みんなに愛されて、守られて、支えられていっていた、そういう形でやり遂げたことはすごい。感謝しかないです」と感謝の言葉は止まらない。
後藤プロデューサーも「よくあそこまでてんを演じ切ったなと。26週をご覧になったら、今まで見てきたてんと全く違う印象を受けるはず。『よくぞ、ここまで演じ切った!』と皆さんも思えるような演技を見せている。しかもわずか18、19歳の女の子が。本当にありがとうって、もう細かいことを言えない、本当に頑張ったと思います」とヒロインをねぎらっていた。
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