菅野美穂&小泉孝太郎:「ベイマックス」吹き替え声優として再登場 「精神的に追い詰められた」

「ベイマックス ザ・シリーズ」に声優として出演する菅野美穂さん(左)と小泉孝太郎さん
1 / 4
「ベイマックス ザ・シリーズ」に声優として出演する菅野美穂さん(左)と小泉孝太郎さん

 女優の菅野美穂さんと俳優の小泉孝太郎さんが日本語版で声優を務めるテレビアニメシリーズ「ベイマックス ザ・シリーズ」が4月21日から、ケーブルテレビやCS放送のエンターテインメント・チャンネル「ディズニーXD」でスタートする。テレビアニメは2014年12月に公開されたディズニーの劇場版アニメ「ベイマックス」(ドン・ホール監督、クリス・ウィリアムズ監督)のその後の物語を描いたシリーズで、劇場版に続き菅野さんは主人公ヒロと兄のタダシの母親代わりを務める明るいキャスを、小泉さんはタダシの声を担当する。2人に再び「ベイマックス」と関わることへの思いや、吹き替えの苦労などを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇続編決定も「絶対出ないと思っていた」

 「ベイマックス」は、架空都市「サンフランソウキョウ」を舞台にしたアドベンチャーで、第87回アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作。幼くして両親を亡くし、最愛の存在だった兄タダシも謎の事故で亡くしてしまった天才少年のヒロが、兄の形見で人々の心と体の健康を守るケア・ロボット「ベイマックス」と出会い、心の傷を癒やしながら悪に立ち向かう……というストーリー。テレビシリーズではヒロとベイマックスが、科学を悪用して街に危機をもたらす悪者から人々を守るため、仲間とともに大活躍する姿を描く。

 再びキャスおばさんの声を演じることになった菅野さん。劇場版に出演し、「ディズニー映画に関わることができて、家族も喜んでくれた」と明かす菅野さんは、「劇場版のラストが、続編がありそうな終わり方だなと思っていたので『ああ、やはり』という感じでした」と語り、「作品が愛されて続編が作られるわけですから、すてきなことだな、うれしいことだな、と」と新シリーズの放送を喜ぶ。

 劇場版で爆発事故で命を落としたタダシ役の小泉さんは「僕は絶対出ないと思っていましたからね(笑い)」と驚いたことを明かし、「映画を見終わったあとも、登場人物たちがどう生きていくのか気になっていたので、続編(の話)はワクワクするような気持ちになりました。『見たい』と。でも、そこに自分はいない(と思っていた)。本当に人ごとでした」と語る。

 声優の仕事は「普段の女優の仕事とは違う」と菅野さんは言う。「声だけの方が自由なのかなと思ったんですが、逆で。いろんな神経を声だけに集中するから、普段と全然違う緊張感とエネルギーが必要」と演じる難しさを語る。菅野さんは「何日もかけて、何十回もやって。本当に(せりふによっては)30回ぐらいやるので、下手だって言われている気がして、精神的に追い詰められるんですけど(笑い)」と収録を振り返る。「(普段は)経験が頼りになることってあるけど、吹き替えはまったくそうじゃなくて、『初心に戻りなさい』って言ってもらって。本当に初心者になれる。毎回が勉強で、新鮮な気持ちです」と語る。“天然”で明るいキャスおばさんは、菅野さんの人柄とも共通する。菅野さん自身も「似ていると思います」と認め、「なるほどのキャスティングだな」と笑う。

 演じる上で大事にしていることは?と尋ねると、小泉さんは「そのときの瞬発力を大事にしている」と説明。「ドラマや映画でお芝居するときの間は必要ないんですよね。とにかく瞬発力。瞬発力の連続でやっていくから、直感でぽーん、と。スピードで出しちゃった方がいいので、そこは大事にしています」と小泉さん。「ディズニーって『子供から大人まで』だから、『こんな簡単なの?』っていうせりふの連続なんですよ、実は。僕らは2~3行のせりふが続いて、専門用語もないし。だからこそ、すごい台本なんですよね。誰でも分かる言葉だから。直感で、素直な気持ちのまま出した方がいい。考えすぎたらできない。感じないと」と心構えを語る。

 ◇つらいときの“心のケア術”は?
 
 菅野さんと小泉さんにとって「ベイマックス」とはどのような作品なのか。「お預かりした“よその子”って感じです。大事に育てられた、よその子」と菅野さん。小泉さんは「いたらいいなって本当に思いますからね。ベイマックスってキャラクターを考えたことがすごいと思う。人間にとって、もっとも幸せな形のロボットかなと思う」とベイマックスへの思いを吐露し、「欲しくなるとか会いたくなるとか、そういうキャラクター。そこまで思うキャラクターってなかなかない」と熱い思いを語る。

 ベイマックスは、人々の心と体の健康を守るケア・ロボットだ。では、2人にとって、つらいときの心のケア術とは? 小泉さんは「人と会うのって疲れますけど、人と会うことでしか解消されないのかなって気がします。友人だったり、家族だったり」といい、「行きつけのお店にいくとか、バーにいって音楽を聴きながらマスターと話すとか。そういう毎日のルーティンは大事にしていますね」と説明する。菅野さんも「すごく分かります」とうなずき、「人と会うときは、いろいろやらなきゃいけないことがたまっちゃっていて『また繰り越しになっちゃう』と思うんだけど、会ったら『会ってよかったな』って思う。人に元気もらえますよね」と笑顔で語る。

 最後に、テレビシリーズの見どころについて、小泉さんは「『テレビシリーズでヒロはタダシを生き返らせるんだ』と菅野さんが……(笑い)」と明かすと、菅野さんは「そう、そんな気がします。映画でも、タダシが死んだときに生き返って戻ってくると思ったんです」といい、「でも、テレビシリーズではやらないかも。次回作の劇場版かな(笑い)。ベイマックスが“ケア・ロボット”から“生き返らせロボット”にアップデートして、タダシを生き返らせる。それにはヒロが精神的に大人になっていくことが必要だから、そのためのテレビシリーズかな、と」と楽しげに予想を話していた。

 テレビアニメシリーズ「ベイマックス ザ・シリーズ」は4月21日から毎週土・日曜の午後6時から放送。4月5日には、序章となる特別番組「ベイマックス/帰ってきたベイマックス」が正午から日本初放送され、大学生になったヒロがベイマックスを復活させるまでのストーリーが描かれる。

 <菅野美穂さんのプロフィル>

 かんの・みほ 1977年8月22日生まれ、埼玉県出身。93年に女優デビューし、95年にNHK連続テレビ小説「走らんか!」の準主役に抜てきされる。96年には「イグアナの娘」(テレビ朝日系)で主人公を演じ注目を集める。97年の「君の手がささやいている」(テレビ朝日系)ではエランドール賞新人賞を受賞。NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」や「ひよっこ」にも出演。「ベイマックス ザ・シリーズ」ではキャス役の声を担当する。

 <小泉孝太郎さんのプロフィル>

 こいずみ・こうたろう 1978年7月10日生まれ、神奈川県出身。2002年にドラマデビューして以来、ドラマや映画、CMなどで活躍。主な出演作はNHK大河ドラマ「八重の桜」(13年)のほか、宮部みゆきさんの小説を基にドラマ化し主演を務めた「名もなき毒」(TBS系)、同続編の「ペテロの葬列」、「下町ロケット」(TBS系)など。「ベイマックス ザ・シリーズ」ではタダシ役の声を担当する。

写真を見る全 4 枚

テレビ 最新記事