UFC242:ヌルマゴメドフ対ポワリエは「1ラウンド目から注目」 高阪剛が見どころ語る

ヌルマゴメドフ選手(左)とポワリエ選手 (C)GettyImages
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ヌルマゴメドフ選手(左)とポワリエ選手 (C)GettyImages

 世界最高峰の総合格闘技イベント「UFC242」が日本時間9月7日、アラブ首長国連邦・アブダビで開催される。メインイベントは、ライト級正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフ選手が、暫定王者のダスティン・ポワリエ選手と対戦するライト級王座統一戦。さらに今年4月にUFCデビューした日本の佐藤天(たかし)選手が、ベラル・ムハマッド選手を相手にUFC2戦目を戦う。2戦の見どころを、WOWOWの「UFC-究極格闘技-」解説者を務める格闘家の高阪剛さんが語った。

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 ◇勝負どころは?

 ――ヌルマゴメドフ選手とポワリエ選手の試合のポイントは?

 まず、大きなくくりとしてライト級という階級は、今や“ライト”といっても軽量級とは呼べない、比較的重い階級になってきているんですね。なのでフライ級、バンタム級、フェザー級なんかと比べると、どうしても試合の後半、動きが遅くなっていくものなんですよ。でも、ヌルマゴメドフは最後まで失速しないし、いわゆる“組み力”も落ちないところが、強さとしてあるんですよね。

 ――スタミナ配分も含めて、どこで勝負をかけるかという。

 例えば、5ラウンドをフルに戦うつもりなら、攻める時間をショートにして“攻め疲れ”を防ぐことも一つの手段かと。あとは組まれた時の対処をどうするか。徹底して立つか、サブミッションを仕掛ける割合をどうするか。下からの関節技や絞め技を仕掛けるのって、どうしても体力を奪われるんですよ。そういったところをどう調整していくかが重要になると思うんです。

 ――いずれにしても、相当難しい作業を強いられるということですか。

 そうなりますね。8月に行われたヘビー級タイトルマッチでのスティーペ・ミオシッチのように、後半失速してきた相手に対して、ボディブローという、それまでとは別の攻撃で活路を見いだせればいいのですが、ヌルマゴメドフは後半になっても隙やミスを見せる選手ではないので。また、ポワリエはボクシングがすごくうまいんですけど、なかなか一発KOにはさせてもらえないと思います。

 ヌルマゴメドフは、マクレガー戦のときもそうだったんですが、パンチをもらいながら、自分も手を出してどんどん前に出ていくんですよ。あれをやられちゃうと、距離が詰まっているので当ててもなかなか効かないんです。また、打つときに自分のバランスも崩れてしまって、パンチをクリーンヒットさせられないんですよね。

 ――ヌルマゴメドフが序盤でテイクダウンを成功したら、そのままペースを完全に握られてしまう可能性が高い。ポワリエからしたら、まず先手は取らせないことが重要だと。

 そうですね。先手を取らせずに、いかに的確に当てるか。正直なところ、1ラウンドはポイント稼ぎの戦い方になってもいいと思うんです。ラウンドを一つ取ったら、ポワリエサイドとしては試合運びに余裕ができる。余裕ができれば、いろんな技が使えるようになりますからね。この試合は1ラウンド目から注目してほしいと思います。

 ◇佐藤選手「ケージレスリングが突破口」

 ――今大会は日本の佐藤天選手が、UFC第2戦としてベラル・ムハマッドと対戦します。この一戦はどう見ていますか?

 佐藤選手にとって、ここは勝負でしょうね。前回、ベン・サンダースにいい勝ち方(2ラウンドTKO勝利)をして、今回のムハマッドはUFCでも6勝3敗と実績を残している選手ですから。

 ――普段通りの戦いがしっかりできたという。

 だから今回も同じようにできるとは思いますが、当然ながらより難しい相手にはなってますよね。ムハマッドはオーソドックスなボクシング技術がしっかりしていて、レスリングも強いですから。ただ、ディフェンスはそれほどうまくないので、どの試合でもかなりパンチをもらっていて、血まみれになるような試合も多い。

 ――前回のサンダース戦は、そのパンチからパウンドでTKO勝ちでした。

 なおかつ、ヒジもうまいんですよ。至近距離からの縦ヒジとか。だから、相手に打撃を入れることはできると思いますが、当てたからといって安心できないのが、このムハマッドなんです。かなり打たれ強くて、タフな選手ですから。あとはテイクダウンの攻防もカギですね。相手はタックルを仕掛けてくるので。

 ――ボクシングと、グラウンド&パウンドがムハマッドの強みですね。

 それに対して佐藤選手は柔道出身で、上半身を組むのが得意なので、そこをどううまく交ぜられるか。ムハマッド相手に自分から組みにいく相手はあまりいなかったのですが、上半身を組まれてからの外掛けや投げといった柔道技術への対処は、そこまでうまくないはずなんです。だから佐藤選手は、打撃でしっかり先手を取った上でのケージレスリングが突破口になるかもしれないですね。

 ――UFCでは、なかなか日本人選手が勝てない状況が続いていますから、頑張ってほしいですね。

 そうですね。ここでいい勝ち方できれば、ランキング戦も見えてくると思うので、しっかり自分の戦いをして、いい勝ち方に期待したいですね!

 *……WOWOWでは二つの試合を生中継する。「生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC242 in アブダビ ライト級頂上決戦!真の最強王者はどっちだ!」と題して、WOWOWプライムで9月7日深夜3時に放送。WOWOWライブで、8日午後5時半にリピート放送。

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