玉山鉄二:共演の小林薫や陣内孝則には「いやあ、勝てないです」 俳優としての目標とは…

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ドラマ「連続ドラマW トップリーグ」に主演した玉山鉄二さん

 俳優の玉山鉄二さんが主演するドラマ「連続ドラマW トップリーグ」が、WOWOWで10月5日からスタートする。「1年で戻すから」といわれ、政治部への異動を告げられた大手在京新聞社の経済部に勤める記者が、官房長官番から破竹の勢いで永田町の中枢に上り詰め、首相や官房長官、与党幹部に食い込むトップ記者「トップリーグ」で活躍する様を描く。政治家とメディアの癒着や圧力など、現代の日本の問題を浮き彫りにしながら、昭和史に残る一大疑獄事件の謎に迫り、官邸最大のタブーを暴いていく政治サスペンスだ。日ごろから「ニュースやドキュメンタリーが好きでよく見ていて、社会派の作品に興味があった」という玉山さんに、役作りや作品の魅力、ベテランとの共演エピソードについて聞いた。

 ◇視聴者と一緒になって立ち向かい、闇を暴いていきたい

 原作は、食品偽装問題をテーマにした「震える牛」や、巨大企業の不適切会計問題を描いた「不発弾」などでも社会のタブーに斬り込み、暗部をえぐりだしてきた相場英雄さんの同名小説(ハルキ文庫)。主人公で新聞記者の松岡に扮(ふん)する玉山さんは、政治家と新聞社の板ばさみになる場面も多い中、「松岡の抱える苦しみやいら立つ思いに、視聴者も感情移入してもらえるような表現方法を模索しながら、見えない何かに共に立ち向かい、闇を暴いていくような構図になれば」と考えて撮影に臨んだという。

 オファーを受けて、「個人的に自分が見たいと思える企画だった」と感じたという玉山さん。「数あるドラマの中には、すごく説得力があるドラマもあれば、もっと見やすい軽いタッチの作品もありますが、年々後者が増えているような気がするんですよね」といい、「でも、5年後、10年後に『あのドラマ、すごく面白かったよね』と思えるような作品って、どこか攻めているところがあったり、奇抜であったりするような、メッセージ性が強い作品だと思うんです。そういう作品を、僕は選んでいるのかもしれないですね」と自己分析する。

 さらに「『こうした方がいいんじゃないか』と思った時は積極的に監督と話すし、自分なりのアイデアが出てきたら台本に書き込んでトライしてみる」という玉山さん。「セオリー通りというか、無難に演じないようにだけは常に気をつけてます。もちろん脚本の中にはサプライズがありますけど、演じる上でもっともっと、自分なりにスパイスが入れられるんじゃないのかなって」と役作りにも余念がない。

 新聞記者を演じる上で、改めて最近の報道に対し「きっと10年前なら多少事実を脚色されていたとしても、誰かが『おい、ふざけんな!』って言うこともなかったし、おそらくそれに気づくことすらできなかったと思うんです。でも今は『書いた記事一つで国民が暴発する可能性もある』という意味では、記者の仕事は責任重大。ニュースの裏側には、こういったドラマがあることを多くの人たちに知ってもらうこと自体、すごく大事なことなんじゃないかと思うんです」と持論を述べる。

 ◇情報と自分なりにどう向き合うべきか、考えるきっかけに

 今作で官房長官役を演じる小林薫さんや、政治部長を演じる陣内孝則さんとは既に何度か共演しているが、「シーンの緊迫感に加えて、お二人とお芝居する緊張感があって、背筋が伸びる」といい、「『お前はその程度か』って思われたくないし、もがいてでも同じフィールドにいなきゃいけないとは思ってますけど、いやあ、勝てないですよ」と苦笑い。とはいえ「そもそも比べるものじゃない」としながらも、「僕の年齢(39歳)だからこそ感じることや、表現できることもあるとは思う。同じ熱量で現場にいることが一番大事なのかな」と身を引き締める。

 今作の見どころについて、「今までなかなかスポットが当たりづらかった職業に迫った作品なので、きっと驚かれる部分もあると思います。普段なかなか知り得ない政治や報道の裏側を目の当たりにして、日々流れてくる情報と自分なりにどう向き合うべきか、考えるきっかけにしていただけたらうれしいです」とアピールした。

 ◇10年後の目標は「媚びずに現状維持!」

 40代目前の玉山さんに、10年後の目標を聞くと、玉山さんは「僕は別に野心家でもなければ、それほど向上心もないし、結構不器用なんですよ。『目標は現状維持!』みたいな感じかな」と現実的に語る一方で、「それこそ昔はすごく向上心もあったし、『人を蹴落としてでも上に上がりたい!』みたいな気持ちがあった」とも明かす。心境の変化が起きたきっかけは、芝居に対する行き詰まりを感じた時期があったからだという。

 「お芝居の世界は別に頑張ったからって、報われる職業じゃないんですよね。頑張りすぎてうまくいかないこともあるし、頑張ったからって必ずしもいい作品になるとは限らない。そんなふうに壁にぶち当たった時に『じゃあ、俺はどうすればいいんだ?』って考えて、自分なりに『役者はこうあるべき!』っていう哲学を一つでも二つでもいいから持たないと、役者としてはダメになっていくんだろうなって、気づいた時期があったんです」と振り返る。

 「僕が一番気をつけているのは、人や作品に対して“媚びない”ということ。誰かに媚びると自分自身の人格を削ってしまうような感覚になるし、ましてや作品に媚びたりすると、自分からクリエーティブの意識が失われていくんじゃないかっていう、恐怖に駆られてしまうんです」

 ドラマは10月5日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時に放送。全6話で、第1話は無料放送。

 (取材・文・撮影:渡邊玲子)

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