山田裕貴:「SEDAI WARS」でのこだわりは「カッコ悪さ」 同時期に連ドラ2作で主演を務める心境は…

連続ドラマ「SEDAI WARS」と「ホームルーム」で主演した山田裕貴さん
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連続ドラマ「SEDAI WARS」と「ホームルーム」で主演した山田裕貴さん

 MBS・TBS深夜の「ドラマイズム」枠の連続ドラマ「SEDAI WARS(セダイウォーズ)」が1月5日から順次、放送される。世代間のあつれきで多くの問題が深刻化した近未来の日本を舞台に、首相に代わって日本を治める大統領を決める「SEDAI WARS」が開催されるという内容。連ドラ初主演で、「SEDAI WARS」の出場者「SEDAI」に選ばれてしまったゆとり世代の主人公・柏木悟役を演じる山田裕貴さんに作品の見どころや役作りについて、また同時期にMBSの「ドラマ特区」枠で「ホームルーム」(1月23日スタート、毎週木曜深夜0時59分ほか)に主演するという、同時期に2作品で主演を務める心境などを聞いた。

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 ◇外見じゃなくて大事なのは心

 各世代の代表者がVR空間内でバトルロイヤルするという今作について、山田さんは、「(自分が演じるのが)主人公ということもあって、アクションだけ楽しんでもらうのではなく、ちゃんとストーリーもしっかり追っていってほしいし、その中で何を受け取ってもらえるかがとても重要」と主演として責任を口にする。

 自身が演じる悟役を、「『HiGH&LOW THE WORST』とか、今までやってきたカッコいい役がある中で、今回はさえないし、一番かっこ悪い男」と評する。そして「そういう男に何ができるのか。カッコ悪い男が何を持っているのか……。誰とでも平等に接するし、人を悪く思わないし、その人の心が世界を変えていく。キャラクターを自分の中で変換しストーリーと沿わせていき、それがうまくはまった」と語る。

 山田さん自身も、「外見じゃなくて大事なのは心」という信念を持ち、「仕事だったり、友人だったり、恋人だったり、人とのつながりに大切なのは見栄えの良さではなく心、ということを受け取ってもらえるキャラクターを目指した」といい、「だから、わざとカッコ悪くしました。別に自分のことをカッコいいと言っているわけじゃないですよ(笑い)。外見で見てもらわないように、そぎ落とし、ちゃんとカッコ悪く見えるようにチャレンジしている感覚」と説明する。

 ◇ゴーカイジャー以来、信頼を寄せる坂本監督とのアクション

 アクションも見どころの一つとなる今作。米国の「パワーレンジャー」のシリーズ監督や総合プロデューサーを歴任し、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」の3大ヒーローすべてでメイン監督を担当した経験を持つ坂本浩一さが監督を務めている。坂本監督とは山田さんのデビュー作である特撮ドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」(2011~12年)から4度目のタッグとなるが、「アクション×坂本監督なので、アクションのことは気にしなくていいとは思っていた」と山田さんは全幅の信頼を寄せる。「僕はとにかく逃げている。ほぼ戦っていない。必殺技を受けるシーンは、デビュー作で必殺技を受けて倒れたりした経験させてもらっているので想像がつきやすかった」と話す。

 アクションへのこだわりを、「普通の男の子が、蹴られて痛いときの顔とか声とかってどうなんだろう、普通だったらこうではないか、ということを考えた」といい、「パンチを避けてキック出してとか、普段だったらアクション(シーン)のようにきれいにできないと思う。その普通の状態を追い求めました。ただ必殺技を出したり単純に身体能力が上がっていたり、皆さんそれぞれの世代にちなんだ変身をしたり、VRの世界だからできる面白さもある」と語る。

 ◇世代特有の描写が面白い

 今作は「団塊世代」「バブル世代」「ロスジェネ世代」「ミレニアル世代」「ゆとり世代」など、世代別“あるある”ネタも多く登場する。そんな世代ごとの描写について、山田さんは、「面白いですよ。西岡(徳馬)さんとか、めっちゃ楽しそうにやってくださっていた」と話し、「世代だなと思うのは、『撮影早く終わってゴルフ行きたいんだよな』って言っていたこと」と明かす。

 さらに、「ロスジェネ世代は聞いたことがなかった。『(ロスジェネ世代は)何もないみたいに言われるのは嫌』とか現場で話しながら、すごく楽しかった。ただ、そんなにかみしめて時代を生きてきましたかって(笑い)」と楽しそうに話す。

 各世代のキャラクターが登場する中、山田さんの“お気に入り”は岡田浩暉さんが演じる大谷修と横山めぐみさん演じる鈴木香織のバブル世代。「時代のニオイがするってすごい」と称賛し、「失礼に当たるかもしれませんが、バブルだけ印象が強くないですか。巻いた前髪とかジュリ扇(ジュリアナ扇子)も分かりますし、プロデューサー巻きとかも似合いすぎていた」と語る。

 ◇自身が“ゆとり世代”と呼ばれるのは「言わせておけばいい」

 世代描写を楽しむ山田さんだが、自身がゆとり世代と呼ばれることには、「全然ゆとりじゃない」ときっぱり。「『自分でやると決めたことは最後までやれ』とか、家は厳しかったし、流れで生きていけばいいと思ったこともなく、何かを人に任せようと思ったこともない。ゆとり世代じゃないですし、『言わせておけばいい』ぐらいの心の広さは持っています」と真剣な表情で語る。

 さらに、「世代は関係ない。人といったら、ヒト科の動物で男も女も関係なくて、地球に住んでいる動物の一種。みんな仲よくすればいいのにと思っている」と前置きし、「先輩、後輩とか社会というものがあってこの世界が存在するので、もちろんそういうことはきっちりと守りますが、それで苦しめられている部分もたくさんあると思う。世代でしか考えられなかったり、世代でしか世の中を見られなかったりするのはもったいない。みんな仲よくなれば、それでいいとは思っています」と持論を語る。

 そして、「“本物”は、どんな人とも仲よくなれるし、どんな人とも会話できるし、どんな人も愛せる人。僕はそういう男になりたいと思って生きているし、悟もそうなってほしい。そう思っていたら、台本がまったくそういう形になっていた」と自身の理想と役がリンクしたという。

 ◇現状は「神様が味方してくれている感覚」

 山田さんは、今作と同時期にMBS深夜の「ドラマ特区」枠で放送される連ドラ「ホームルーム」でも、「ラブリン」の愛称で親しまれている爽やかイケメン教師でありながら、生徒の桜井幸子(秋田汐梨さん)に“狂愛”を注ぐ愛田凛太郎役で主演を務める。

 同時期に2作で主演することについて、山田さんは「『難しいです』って言ってもやらなきゃいけない」と切り出し、「『ちょっと時間ください』という思いはありますが、やっていけばいくほど芝居は変わっていくし、気持ちとしても感覚としても違っていて、すごくいい状態……。プロ野球選手みたいなことを言っていますね。今いい状態って(笑い)」と本音を交えつつ話す。

 そんな現状に、「運がいいというか神様が味方してくれている感覚」と感じており、「弱音を吐きたくないし、本当はつらいんですよ(笑い)」と山田さん。「休みがほしいのではなく、パフォーマンスを落としたくない。最初から100%でやりたいから準備時間がほしいというのは、めちゃくちゃ思っています」と真意を明かす。

 そして、「もともと細々とやらせてもらっていた。一度に2、3作とかが普通で(笑い)。1作だけだと仕事がない……と思うぐらいだけど、そんな状態にも限界がきているかな(笑い)。ただ、だからこそ研ぎ澄まされてきているし、集中力が半端ない」と明かし、「『ホームルーム』の撮影では、台本には書いていませんが、なぜか『ジョーカー』の踊りをしています(笑い)。そこに階段があったので。そういうのも楽しんでほしい」とアピール。

 最後に「SEDAI WARS」の見どころについて、「ちょくちょく笑える。『SEDAI WARS』の出場者は大々的に抽選だったり時間を決めたりとかあるのが普通だけど、急に指されていく。ぶっ飛び感みたいなのは面白い」といい、「僕も最後大好きなマンガの技を使わせてもらっていて、その必殺技がどうなっているか楽しみ。あと最後は、僕が一番なりたかったものになれている。見たら分かります。気軽に見ていただければ」と呼びかけていた。

 「SEDAI WARS」は、MBSで毎週日曜深夜0時50分、TBSは毎週火曜深夜1時28分に放送。TBSの初回は1月7日深夜2時29分に放送。

 *西岡徳馬さんの「徳」は旧字。

 (取材・文・撮影:遠藤政樹)

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