松竹＆東映：史上初！　大型特撮映画を共同製作　山田涼介主演、土屋太鳳ヒロインで怪獣の死体の“その後”描く

　松竹と東映が史上初めてタッグを組み、全く新しい切り口で完全オリジナル脚本の大作特撮映画を製作することが2月27日、明らかになった。タイトルは「大怪獣のあとしまつ」で、人気グループ「Hey！Say！JUMP」の山田涼介さんが主演、女優の土屋太鳳さんがヒロインを務める。

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　2020年に洋画「GODZILLA VS. KONG（原題）」（アダム・ウィンガード監督）や2021年に邦画「シン・ウルトラマン」（樋口真嗣監督）と、大作特撮映画の公開が相次ぐ中、普段は映画会社のライバルである松竹と東映が史上初のタッグを組む。

　「大怪獣のあとしまつ」は、特撮映画で倒された怪獣の巨大な死体を、誰がどうやって始末しているのか、といった“その後”を描く。ある日突然、この国を襲う大怪獣が死んだ。片付けられなければ国家崩壊となる危機の中、現場指揮の任務を背負わされたのは首相直属の特殊部隊の帯刀アラタ（山田さん）だった。そんなアラタの前に、環境相の秘書で、元婚約者の雨音ユキノ（土屋さん）が現れる。2人は前代未聞の無理難題 ”巨大な死体のあとかたづけ” に、知恵と工夫と愛で立ち向かう……というストーリー。

　監督と脚本は、連続ドラマ「時効警察」（テレビ朝日系）シリーズやバラエティー番組「タモリ倶楽部」（同局系）などで知られる三木聡さんが担当する。今年春に撮影、今年以降に公開予定。

　◇松竹・迫本淳一社長のコメント

　映画の興行収入が今までにないくらいの記録を作り、映画を大きなスクリーンで鑑賞することが昨今ブームになっています。そんな中で松竹と東映さんという今までにない組み合わせで、特撮映画という最も典型的な映画らしいコンテンツでの共同プロジェクトという素晴らしい機会をいただきました。

　松竹の「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」シリーズに代表される“庶民的人情”と東映さんの“義理人情”。その両方の“人情”がぶつかると、どうなるのか？　とても期待しております。山田涼介さん、土屋太鳳さんは松竹とは縁が深く、出演していただくことがとても楽しみです。

　死んだ怪獣の後始末はどうするのか……という本来、スポットが当たらない部分を真剣に作るのがこの作品の面白さですから、その点は昨年大ヒットした映画「翔んで埼玉」（武内英樹監督）を作られた東映さんの力をお借りして、勉強させていただきたいです。三木聡監督はじめ、作り手の方々にははじけてほしいし、大ヒットを期待しております。

　◇東映・多田憲之社長のコメント

　本作の企画が初めて当社で出たのは、5年ほど前のことです。当初は低予算で進めるという案もありましたが、このような映画の仕掛けは規模を大きくしなければ面白くならない。そこで松竹さんにお話を持っていったところ、賛同していただくことができました。松竹さんと手を組めるのであれば、大掛かりかつ面白いうそがつけると東映内部でも話が進みました。

　これまでさまざまな特撮映画がありましたが、死んだ後の怪獣の後始末……という仕掛けが非常に面白い。一見ふざけたような内容ですが、ストーリーには環境問題も政治の混乱も描かれており、まさに今の時代が反映されています。山田涼介さん、土屋太鳳さんをはじめ、キャスティングも素晴らしく、まさに松竹さんがいなければ成立しなかった企画です。いい映画と面白い映画はイコール。いい結果が出ることによって両社にとっての次のステップもあるはずです。作り手たちにはいい映画を作っていただき、ヒットに導いてほしいです。

　◇山田涼介さんのコメント

　最初にお話を聞いたとき、真面目な映画への出演が多かった中で、本格コメディー映画は初めてのお話で、すごく迷いがありました。ただ台本を読ませていただいて、ふざけた情景の中に超真面目な主人公のギャップ……これは面白い！と思い、ぜひ出演させていただこうと思いました！　今はプレッシャーはあまりなく、とにかく三木監督の期待に応えられるよう、全力でふざけて、面白く仕上げていきたいと思います。

　大人が全力でふざけるとこうなるのか！と思うような内容です（笑い）。そしてさらに、ウソかと思うような驚きの豪華キャストで、ふざけ倒します！　土屋さんとは芝居で初めての共演になりますが、“ツッコミ”の多い役どころで、すごく真面目ながらユーモアさを持つ彼女の今作での“ツッコミ”が楽しみです。

　松竹さんと東映さん、業界激震の前代未聞の初タッグがホントにこの作品でいいんですか！？と内心思いつつも、映画界の巨頭が組んで全力で“遊ぶ“ことにすごく意義があるなと！　山田や土屋さんがこんなことするの！？という驚きを存分に楽しんでいただきながら、お金を払って見ていただく以上の価値がある映画を全力で作り上げていきたいと思いますので、皆さま応援よろしくお願い致します。

　◇土屋太鳳さんのコメント

　私はヒーローが好きです。特撮と呼ばれる作品には、人生において大切なことも、許されないことも、それさえ許すことも、でも忘れてはならないことも……例えば現実を風刺するリアルな危機感も……ありとあらゆるものが含まれていて、ヒーローはその真ん中で輝き、苦しみ、戦って、たくさんの勇気を教えてくれました。

　私がヒーローを知った子どものころは映画館の座席予約システムがなく、朝から並び、「映画が始まる前のワクワクする暗闇」を最初に味わったのは、松竹の映画だったか、東映の映画だったか……どの映画でもスクリーンにのめり込み、衝撃的に感動したことを覚えています。

　「大怪獣のあとしまつ」の脚本を読んだとき、その記憶にある感情が、渦巻きながら目を覚ましました。そして三木聡監督とお会いしたとき、この作品が持つ深さとパワーを予感しました。山田涼介さん演じる主人公を支えるチームの一員として、全ヒーローへの恩返しを込め、踏んばります！

　◇三木聡監督のコメント

　そもそも、20年以上前、ある番組で映画になってない時間を想像する企画をやったことが遠因。例えば「007」で、ウエットスーツの下がタキシード……。どうやって着るのか？　また「ゴッドファーザー」で朝起きると切られた馬の首がベッドに入っている……。果たして夜中にどうやって寝ている人を起こさないように入れたのか？　で、特撮映画の映画にならない時間の一つが死んでしまった怪獣の死体をどうしてるのか？　非常に映画的でない時間を映画にしてみたい、そういう天邪鬼（あまのじゃく）なところがスタート。

　果たして一体誰がこのある意味、不毛な企画を映画化してくれるのか？　でも、日本もまだまだ捨てたもんじゃない。手を挙げてくれる人たちがいたのです。それが、松竹と東映という日本を代表する映画会社。しかも共同で製作してくれるという歴史的な出来事なんだとか。いいのか？　日本映画界？って私が言うのも何ですが、すでに真っ当でない感じはありあり。別に何か才能があるわけではない私だけど、妙な遭遇運はあって、主に番組とか映画とかで物事が大きく変わるときに立ち会う率高し。今回も間違いなくその一つ。でも今後こういう機会が増え、新しいクリエーティブの場が広がるといいなあと真顔で思っていたりする私、責任取れないけどね。

　そして、このバカバカしい企画を主演とヒロインという形で支えてくれるのが、山田涼介と土屋太鳳という、今、日本映画を支える俳優のお二人。世代的にもかなり離れているが、お二人の感性は非常に楽しみです。山田くんは欠落した過去を持つ主人公を、時にクールに、また、時に青い炎ともいうべき情熱を持って芝居作りに臨んできてくれてますし、土屋さんは予想できない表情と的確なせりふのトーンでやや負の面を持った新しい特撮もののヒロインを演じてくれる……はず。2人と一緒にスタッフ一同、思い切り後ろを向いて撮影に臨みます。