黒島結菜:コロナ禍で実感した仕事への意欲「本当に運がいい」

Netflixオリジナルドラマ「呪怨:呪いの家」にはるか役で出演する黒島結菜さん(カメラマン:堤博之)
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Netflixオリジナルドラマ「呪怨:呪いの家」にはるか役で出演する黒島結菜さん(カメラマン:堤博之)

 数々の話題作に出演し活躍の幅を広げている女優の黒島結菜さん。7月3日から配信される動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」のオリジナルドラマシリーズ「呪怨:呪いの家」では、“呪いの家”に隠された真相を探る芯の強い新人タレント役を演じる。黒島さんに同作に出演した思い、活躍中の現状について、また、新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛中の心境の変化などを聞いた。

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 ◇ホラーは「細かい部分の芝居」が大事

 「呪怨」シリーズは2000年にオリジナルビデオが発表され、2003年に劇場版が公開、その後もハリウッドリメーク版が公開されるなどした人気ホラー。「呪怨:呪いの家」は呪いの家にまつわる恐怖が描かれる。心霊研究家の小田島(荒川良々さん)はオカルト番組で共演した新人タレントのはるか(黒島さん)が経験した怪現象に興味を引かれる。同じ頃、あるトラブルによって転校した女子高生の聖美(里々佳さん)は級友たちに誘われ、“猫屋敷”と呼ばれる空き家を訪れる。6年後、ソーシャルワーカーの有安(倉科カナさん)は虐待されている子供を救おうと行動を起こす。接点のなかった人々が、一軒の家に引き寄せられていき……というストーリー。

 黒島さんが演じるはるかは、“呪いの家”にまつわる恐ろしい出来事に巻き込まれ、恐怖を感じながらも、強い意志で真相へと向かっていく女性だ。もともと「霊やおばけに対して、怖いという気持ちはないです」といい、ホラー映画を見ることも好きで、「苦手意識は全然ない」という。

 過去には「呪怨 ー終わりの始まりー」「呪怨-ザ・ファイナル-」など同シリーズへの出演経験がある。今回は過去作品とは異なる役どころでの出演となり、「違うお話、違う役で呼んでいただけたことはすごくうれしかったです。緊張感みたいなものはありましたけど、現場はすごく楽しみでした」と喜ぶ。

 黒島さんは「はるかは、恐怖におびえるのではなく、『なんでこんなことが起こるんだろう』という疑問や怒りを持っている子だと、監督からお話があったので、それはずっと意識しながら演じていました。恐怖に対して逃げない、ということが、はるかの強さにつながっていくんだと思っていました」と役への思いを明かす。
 
 劇中では、ホラー作品ならではの恐怖の表情や絶叫する姿なども見せる。ただ、黒島さんがホラーを演じる際に大事だと考えているのは、より細かい部分での表現だという。「分かりやすく『ギャー!』と叫んだり、怖い顔をしたり……というのは、分かりやすく伝わります。でも、そうじゃないところが大事なのかな」と話す。「ホラーは細かい息遣いが大事なのかなと思います。撮影後にアフレコの作業があるんですが、そこでの息遣いで、見ている人に緊迫感のようなものを伝えられるんだな、と。そういう細かいところのお芝居で恐怖が伝わるんだなと思いました」と語る。

 ◇恋人役・井之脇海との共演は…

 はるかは、荒川さん演じる主人公・小田島とともに行動する場面が多い。黒島さんは、小田島というキャラクターを「つかみどころがない不思議な人」といい、荒川さん自身と近いものを感じたという。現場では、演技中以外にはあまり会話をせず、「絶妙な距離感だった」と黒島さん。「それははるかと小田島との距離感も同じで、小田島ははるかが取材対象で、はるかもそれを知っていながら過ごしている。(実際の距離感が)そういう距離感につながっていったのかなと思います」と振り返る。

 また、はるかの恋人・哲也を演じる井之脇海さんとは初対面だったが、「居心地は良かったです」と黒島さん。「お互いに、なんとなく似ているところがあるような感じがしていました。人見知りであまり話さないところとか……。同じ空間にいて居心地の悪さを感じない人」と共演の感想を明かす。

 ◇ステイホーム期間中に心境に変化

 黒島さんといえば、最近はNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」や大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の演技で存在感を発揮。昨年12月公開の映画「カツベン!」ではヒロイン役を務めた。今年4~6月には、新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くのドラマのスタートが延期されたり、中断する中、主要キャラクターの汐見ゆとりを演じた連続ドラマ「行列の女神~らーめん才遊記~」(テレビ東京系)は予定通り放送された。そんな活躍中の黒島さんに現状への思いを聞くと、「とにかく運がいいな、と思います」と回答する。

 「『行列の女神』は3月に撮り終わり、途切れることなく放送されて。コロナウイルスの影響で放送できない番組があるため、(2017年にNHK総合で放送された連続ドラマ)『アシガール』が再放送されて……この期間に私の出演したドラマが2本放送されました。そして、Netflixで『呪怨:呪いの家』が配信される。こういうよくない状況で、自分にとってはだけど、いいこともあって……本当に運がいいなと思います」と語る。

 外出を自粛していた期間に、改めて気づいた思いもあった。「仕事に対して、モチベーションがどこから来ているのか、なんで今、働いているんだろう、と考えたとき、生きるためということもあるけれど、『自分のためじゃなかった』ということに気づいたんです」と黒島さん。学費などを援助している妹の存在が大きなモチベーションになっているという。「現場が好きだし、作品が続いていてありがたいし……『途切れずにやりたい』という気持ちがあるのは、妹がいてくれているからだな、と感じられて。誰かのために働けているんだなという気持ちになりました」と仕事への思いを明かした。

 同様に、視聴者の声も黒島さんの大きな力になっているようだ。「(視聴者の)『楽しんでいます』という声も、以前よりも『ありがたいな』と思うようになりました。こういう状況だから、普段以上にありがたみを感じるというか……。ちょっとでも人の喜びになっているんだと思ったら『なんかうれしいな』と」と心境の変化を語る。改めて演じることへの思いを強くした黒島さんの今後の活躍に、ますます注目が集まる。

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