わたしの宝物
第5話 手に入れた幸せとバレた嘘・・・修羅場が始まる
11月14日(木)放送分
俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の放送が8月30日に再開された。同日放送の第22回「京よりの使者」において、今後のキーマンの一人として新たに登場したのが、本郷奏多さん演じる近衛前久(このえ・さきひさ)だ。本郷さんといえば、あまたの実写化作品に起用され、俳優としての評価を高めてきた演技派。大河ドラマに出演するのは実は今回が初となる。公家っぽさや高貴さはもちろん、少年っぽさ切れ味の鋭さ、ちょっとした狂気まで、キャッチコピーにもある「若き破天荒関白」としての片りんを感じさせるなど、制作サイドはもちろん、視聴者がイメージする役を具現化。今後に向けて、大いなる期待を抱かせてくれた。
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第22回「京よりの使者」の舞台は信長(染谷将太さん)が今川義元(片岡愛之助さん)を討ち果たした桶狭間の戦いから4年後。京では三好長慶(山路和弘さん)が権力を掌握し、将軍・足利義輝(向井理さん)は完全な傀儡(かいらい)に成り下がっていた。すっかりやる気を失い別人のようになった義輝の話し相手として、藤孝(眞島秀和さん)らの画策で京に呼ばれた光秀(長谷川さん)は、将軍の力を取り戻すため、いま勢いに乗る信長を上洛(じょうらく)させてみせると約束する。
一方、駒(門脇麦さん)は、新しい薬の製造をめぐって東庵(堺正章さん)と言い争いになり、診療所を飛び出す。伊呂波太夫(尾野真千子さん)と共に訪れた大和で、駒は貧しいものたちに施しをしている僧・覚慶(後の足利義昭、滝藤賢一さん)に関心をもつ……。
本郷さんの満を持しての大河デビューは冒頭2分過ぎに訪れた。二条御所で向かい合った義輝に前久が「何故じゃ? 何故、義輝殿は改元の申し出をなされぬ?」「今年は60年に一度の甲子の年。この年はいにしえより必ず改元を行ってまいった。帝(みかど)に改元のお伺いを立てるのは代々将軍家の務めであるぞ。それをせねば改元はできぬ。前代未聞のことじゃ。将軍の名に傷が付く」などと苦言を呈すシーンだ。
一方で義輝は「それがしを将軍と思われますか? 京を治めているのは誰であろう。私ではない。三好長慶です。私には何の力もない」「将軍などと名ばかり。帝も私を軽んじておられます」と徐々に感情を高ぶらせ、「帝は私に何も知らせず、勝手に永禄に改元あそばされた。軽んじている証拠。悔しゅうて……」「あのときから私は帝を信用しておりません。帝が何ほどのものですか。武家の後ろ盾がなければ何もできぬではありませぬか」と発言。ここで前久は「言葉がすぎる!」ととがめるも、聞く耳を持たない義輝は「私は改元など知りませぬ」と言い放ち、その場を去ってしまう。
オープニングタイトルバック前の導入シーンでありながら、重厚かつ緊張感のあるやりとりに「『麒麟がくる』が帰ってきた!」と感じた視聴者も多かったのではないだろうか。
本郷さんの演技に対してSNSでは、「本郷奏多さんの関白いいな」「気弱な義輝に対して叱咤(しった)する若く強く先進的な関白。切れ者感がすごかった」「色白で顔が良くてそこはかとなく公家っぽさがある。あと何より声が良い」「こういう役をあーやってやりきってんのほんとすごい」といった感想が並ぶなど、好評。その後、姉弟のような関係の伊呂波太夫とのやりとりで穏やかな表情をのぞかせ、「近衛本郷関白のオンオフの切り替えがすごい」「将軍家や三好家とのやり取りの時のピリッとしたお芝居と、伊呂波太夫の前で見せる柔らかいお芝居との差がでてて楽しい」といった投稿も見られた。
前久は、その類いまれなる行動力で、公家でありながら自ら政治に介入する、変わり種の貴族で、「前久は位は高いのですがまだ若いので、撮影では皆さんと対峙(たいじ)したときに弱々しく見えないように、威厳を持って堂々と演じるようにしています」と明かしていた本郷さん。
そんな本郷さんについて、制作統括・落合将チーフプロデューサー(CP)は、「変わり種の公卿という難役ですが、若いが切れ者のハードな政治的シーンも、姉代わりの伊呂波太夫との軽妙なかけあいも、本郷さんが自由自在に演じていて、まさに大河史に残る近衛前久役だと思います」と自信をのぞかせ、「見どころは伊呂波らとのかけあいの際にふっと出る、独特のきざったらしさがやけにコミカルで、チャーミングなものとなっています。本郷さんにしか出せない味わいです」と太鼓判を押していた。
「近衛前久役って『公家らしさ』と『こんな公家がいてたまるか』が同居している必要があるから、難しい役よね」といった声もあるが、「あの目力。今後が楽しみ」と期待せずにはいられないのも確か。本郷さんなら、「若き破天荒関白」を演じきってくれるのではないだろうか。
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2024年11月15日 11:00時点
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