エール:薬師丸ひろ子はなぜ賛美歌を歌った? 本人発案で「ドラマ超えたシーン」に 演出明かす“舞台裏”

NHK連続テレビ小説「エール」第90回の一場面 関内光子を演じる薬師丸ひろ子さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「エール」第90回の一場面 関内光子を演じる薬師丸ひろ子さん (C)NHK

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第90回が10月16日に放送され、ヒロイン音(二階堂ふみさん)の母・光子役の薬師丸ひろ子さんの歌声が視聴者の胸を打った。

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 第90回は、長かった戦争がようやく終わりを迎える。豊橋では、梅(森七菜さん)を助けようとして戦火に巻き込まれた岩城(吉原光夫さん)が入院生活を続けていた。裕一(窪田さん)は戦争中、自分の作った音楽が人々を戦うことに駆り立て、その結果、若い人の命を奪ってきたことを自分のせいだと悔やんで曲を書くことができなくなってしまう。一方、劇作家の池田(北村有起哉さん)は、戦争孤児のドラマの企画をNHKに持ち込む……。

 劇中、焼け落ちた我が家の跡で薬師丸さんが歌ったのは、「うるわしの白百合(讃美歌496番)」。「エール」のチーフ演出で、脚本も手掛けた吉田照幸さんは、「歌はご本人からの提案です。僕の台本では『“こんちくちょう!”と言って地面をたたく』でした。僕は戦争の悔しさを光子さんに担ってもらおうと思っていまして、(役を演じる)薬師丸さんから(歌の)提案を受けたとき、せりふで表現しようとしていたものとは別の何かが生まれるんじゃないかなって思ったんです」と振り返る。

 曲については、薬師丸さんが「歌詞を含めて『ずっとキリスト教を信仰してきた光子だったら』ということを自問自答した」結果、本人が選んだ。

 吉田さんは「正直撮るまでは何が起こるか分かっていなかった」といい、「でも薬師丸さんが体現する悲しみと、そこから立ち向かわなくてはいけないという力強さを歌から感じたので、もうドラマじゃなくなっているなって思いました。みんなそれぞれが何かを感じ振り返る時間になっていて、それを(朝ドラの尺の)15分の中でやることに勇気と迷いはありましたけど、さすが薬師丸さんだなって」と舌を巻いた。

 「エール」は、昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲を数々生み出した作曲家・古山裕一と、裕一の妻で自らも歌手になる夢を追い続ける音の、音楽と共に生きる夫婦の物語。

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