染谷将太:「麒麟がくる」信長役は「生活の一部」「自分にとって宝」 感情激しすぎて「酸欠状態」にも

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NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で織田信長を演じる染谷将太さん (C)NHK

 放送も残すところあと5回となったNHKの大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)。2020年3月8日放送の第8回「同盟のゆくえ」から本格登場し、物語を大いに盛り上げてきたのが、織田信長役の染谷将太さんだ。見た目は“童顔丸顔”で、どこまでもピュアな「新しくて革新的な信長」を目指して、歩んできた撮影の日々を振り返り、染谷さんは今、何を思うのか? 「あまりにも長く携わっているので、信長を演じることが自分の生活の一部になっている。その時間の中で、どんどん役が熟していき、勝手に成長していっている感じがすごくあります」と手応えを明かす染谷さんに話を聞いた。

 ◇「麒麟がくる」の信長は「正真正銘の織田信長」 行動のベースに「承認欲求」

 今や誰もが認める染谷将太“信長”だが、大河ファン、歴史ファンの一部から当初「イメージと違う」という声が上がっていた。染谷さん自身も「最初にオファーの話をいただいたときは、本当に驚きました。自分は小柄ですし、そんなにすごみのある男だと思いません。なぜ自分なのか」と振り返る。

 その一方で、上がってきた台本を読んで「なるほど」と、どこか腑(ふ)に落ちたのもまた事実。そこで感じたのが「麒麟がくる」の新しくて革新的な信長は「正真正銘の織田信長」だったということ。「ただ純粋で、真っすぐで現代的。しかし、信長像から外れすぎてしまっていることはなく、『正真正銘の織田信長だ』と読んでいて、ものすごく思えたんです。役を演じられるってことがうれしかったですし、同時にちゃんと全うしなくてはいけないんだという、責任感みたいなものも感じました」という。

 「麒麟がくる」の信長を特徴づけているのが、子供のようなピュアさ加減と承認欲求の強さだ。物語の終盤になって、周囲への横暴さが目立ってきたが、「ピュアさは変わりません。ずっと続いていきます」としながらも、「そのピュアさは本当は変わらないと危ないと思う」とどこか自覚的。「世を平らかにするっていうのが彼の理想なのですが、暴力的なやり方で突き進んでいく」と話す。

 行動のベースにあるのは信長のほめられたい願望=承認欲求だ。父・信秀(高橋克典さん)や母・土田御前(檀れいさん)、妻の帰蝶(川口春奈さん)、そして正親町帝(おおぎまちてい、坂東玉三郎さん)から自分に向けられた言葉や態度を例に、いくども「褒められた」「褒めてもらえなかった」話を繰り広げてきた信長。

 信長が目指す天下統一の「ベースにあるのはやっぱり承認欲求です」といい、『自分の承認欲求が最大に満たされることって何なんだろう?』『あっ、この国を一つに自分がまとめることだ』と。そうするとみんなが喜び、褒めてくれる。気持ちとしては、日本のみならず世界を自分のものにしたい、それぐらいの承認欲求を持っている」ときっぱり。さらに「信長はずっと男の子っていいますか、男子だなと。分かりやすいといいますか」との印象で、「ただ話が進んでいくにつれ、自分の感情のコントロールができなくなっているんです。そこが魅力的だと思っているのですが、そこには複雑さもあって、読み切れないところがある人物」と結論づけた。

 ◇浅井の裏切りに怒りにもだえ、悔し涙 長回しの撮影で「意識を失いかけた」 

 染谷さんの言うように、感情のコントロールがきかず「キレる」シーンも増えてきた。「『麒麟がくる』の信長の面白いところは、やっぱり感情の波が激しいところ。急にご機嫌になったり。ご機嫌だと思ったら、泣き出したり。泣いていたと思っていたら喜んでいたり。本当に目まぐるしく感情が変わる。その感情の波がどうクライマックスに向かって、変化していくのか、すごく自分も楽しみですし、その流れで(長谷川さん演じる)光秀と対峙(たいじ)していったとき、果たしてどういう現象が生まれるのかというのは、想像できないくらい、壮大なものになるんじゃないかと思っています」と期待も寄せる染谷さん。

 心がけているのは「ワンシーンの中でいろいろな感情が見える、ワンシーンの中に喜怒哀楽が詰まっているような、感情の起伏の激しさ」で、「それは本当に演じていて、とてもトリッキーなのですが、やりがいがありますし、楽しいです」とうれしそうに笑う。

 象徴的だったのが、2020年11月8日放送の第31回「逃げよ信長」で、朝倉義景(ユースケ・サンタマリアさん)を討つため、金ケ崎まで攻め込むも、浅井長政(金井浩人さん)の裏切りにより撤退を余儀なくされた信長が、悔し涙を流しながら怒りにもだえるシーンだ。

 「ただ泣くだけではなく、悔しさと悲しみ、あと他人に対する怒りじゃなくて、自分に対する怒りも混ぜてほしいと、演出の一色隆司さんがおっしゃられて。それこそたくさん引き出しを教えてくださったといいますか。ただ泣くだけではなく、その中に本当にいくつものレイヤーがあって、それを長回しで撮ったので、若干酸欠にもなって、意識を失いかけたのですが、それくらい激しく感情を出すっていう、いい経験にもなりました」と振り返った。

 ◇織田信長という濃密な一人の人生を演じきり…

 改めて、長期間にわたり「麒麟がくる」の信長を演じてきたことについて、「濃密な一人の人生を演じきるというのは初めてのことで、自分にはなかった経験です。織田信長という面白い人物を皆で時間をかけて構築できたこと、演じられたことは自分にとって宝です」と染谷さんはしみじみと話す。

 また「単純にせりふも多く、信長の言葉が頭の中で常に回っていた」といい、「撮影の月日が進むにつれ、不思議と覚えるのもどんどん早くなって、信長の話、せりふの流れが自然と自分に落ちてくる、みたいなタイミングがあった」と告白。

 「自分はお芝居をする上で、そういうことを思ったりしないタイプなのですが。頭の片隅に、ずっとぐるぐるしているものがありまして。その上でお芝居していくと、自分も知らなかった信長が出てきたり、逆に皆さんに引き出してもらったりもしました。演出の皆さんも、いかにシーンを面白くするかを常に考えていらっしゃって、すごくいっぱい引き出しを教えてくれるんです。『こういうことやってみたら面白いかも』とか毎日が刺激的で。言ってもらえたことをそのままやると、面白い現象が起きたり、そういう楽しい日々でした」と充実感をにじませていた。

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